河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

その声は天にあふれる

2006-10-09 18:26:49 | 読書(小説)
ジャミラ・ガヴィン。徳間書店。
なかなか読み応えがあった。
児童文学なのに、けっこうヘヴィな題材を扱っていて、
18世紀の英国を舞台に、不衛生な時代の不衛生な行為や
人間の生と死が、余すところなく描かれる。
望まれない赤ん坊や、孤児院の子どもたち。
10にもなれば、働きに出される時代。
仲買人のオーティスは、ロンドンの「コーラム養育院」へ子どもを連れて行く。
その息子ミーシャクは、精神遅滞だが、父はなぜか捨てられない。
ミーシャクが「天使」として惚れ込んだ少女メリッサ。
大聖堂付属学校で音楽を学ぶアレックスとトマスが、
夏休みにアレックスの家で過ごすあたりで、前半のすべての役者がそろう。
後半は8年後が舞台。
父と子の確執だの、身分の壁だの、黒人奴隷の扱われぶりだの、
ほんとにいろんなテーマが扱われている。
トマスが結構いい味出してたんだけど、ラスト、そういうことになろうとは・・・。
悪者退治の部分やアーロンたちの生還はおざなり?とも思うけどおもしろかった。
欧州の不衛生な時代。
こういうのを乗り越えて、いまの時代があるんだ。
日本も、古き良き時代にも、いやな面いっぱいあったと思うな。
目をつむらずに、過去を認め、悪い点を直して生きていかなきゃなあ。
コメント
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