河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

土曜日

2011-01-19 22:13:24 | 読書(小説)
イアン・マキューアン、新潮クレストブックス。
1ヶ月以上かかってしまった。
脳外科医ペロウンの、長い一日を描く。
何事も起きないようで、後半いろいろ起きる。
詳細が、いちいちリアルに語られ、
脳のオペの様子も、かなり専門的に調べてある。
娘と交わす議論も、アフター9・11的で新鮮。
今に満足しまくってるイギリス人なのが共感を呼ばないだろうが、
彼の人生の1ページを読むことに不快感はない。
彼が考えること、惚けてしまった母や、愛する妻、息子と娘、
同僚や患者、周りで生きているたくさんの人たち一人ひとりが
生きている人間として描かれているところに好感が持てる。

母親を施設に入れるに当たって、家や荷物を処分した彼が、
たくさん所有していると思っているものすべては借り物だ、
と感じる当たりがとても興味深い。
コメント
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