新聞の書評欄で取り上げていて私が読みたいというので旦那が予約を入れて借りてくれた
「創造的破壊の力」
400ページ越え。「モスクワの伯爵」を読了した後だったので少し軽い物を読みたいと町田そのこの「ぎょらん」と荻原博子の「私たちはなぜこんなに貧しくなったのか」がやっと借りれたので読み始めたが、「創造的破壊」が返却期日が迫っていることもありまず、この大著を読み始めた。
全体は15章と終章からなっているが、最初は「難しい」だったが、訳の文章がとても読みやすく私みたいな経済の素人にもとても解りやすく感じられた。ページレイアウトもグラフや表の位置が的確ですごく解りやすい。
半分くらい読んだ段階で最後まで読みたいと読書をこの一冊に絞り込んだ。
「ぎょらん」と「貧しく」は次に予約が入っていたので未読のまま返却した。残念。
この本は1800年代からの社会と経済がどのように変遷していったのか。
動力の導入によって産業革命が起き、資本主義がどのように発達し、これからどの方向に進むべきかを論じている本だと思う。
主な執筆者のフィリップ・アギヨンは元フランス経済顧問を務めたこともある現コレージュ・ド・フランス(欧州経済大学院)の教授。
その中でも日本の事に触れているところが面白い。
第7章の 中所得国の罠
「どうしてそうなってしまうのか。理由は、フロンティア・イノベーションを促す政策が既存企業の利益に反することにある。中略
その典型例が日本だ。日本では、競争を政府が厳格に管理してきた。1949年に発足した通商産業省(現経済産業省)、略称MITI
が強大な権限を持ち、輸入許可証の発行を制限したり、系列と呼ばれる巨大な企業グループに設備投資の助成金を出したりした。政治権力、政府機関、産業界・金融業界がもたれ合っていたのだから、日本が1945~1985年に高度成長を遂げて他の先進国の羨望の的になったのも、1985年以降は低成長に落ち込んだのも驚くには当たらない。」
この本の趣旨は「イノベーションは既存を破壊するが時間を置いて必ず創造する。そして地球規模でグリーンイノベーションに向かえ」ということだと思う。
日本のように戦後、時代の流れに乗って閉鎖的に急成長した後は伸びはないということだ。それをいまだに「日本はそのままで成長できるはずだ」と思い込んでいる日本が恥ずかしい。これだけ論理的に客観的に指摘されているのに解らないのだろうか。
15世紀に海洋貿易で莫大な富を築いたヴェネツィアの衰退も血統を重んじ、限られた人達が権限を狭めようとしたために滅びたそうだ。なるほど。血統を重んじたら滅ぶのだやっぱり。
また終章には
「新型コロナウイルスの感染拡大は、さまざまな形の資本主義の限界が露わになった。情報統制と自己検閲のせいで新型ウイルスの危機を認識するのが遅れ、感染拡大に拍車をかた。アメリカでは、新型コロナ危機によって失業者や医療保険非加入者の窮状がさらけ出された。フランスでは、医療物資関連も含めてサプライチェーンの行き過ぎたグローバル化によって経済がいかに脆弱になっているかも思い知らされた。また、中央集権化と官僚主義が行き過ぎて市民社会やボトムアップのアプローチが育たない国の限界も明らかになった。
今回のような危機を経験すると、この先の世界をどう構築するかという存在論的な議論が不可避的に持ち上がってくる。その議論の行方を予測することはできないが、本書で取り上げたテーマのいくつかが論じられることは確実だろう。最後に「未来の資本主義はどんな形になるのか」という問いに対しては、アンリ・ブルグソンの言葉で答えない。「未来はこれから行くところではない。これから作るものである。」
「中央集権化と官僚主義が行き過ぎて市民社会やボトムアップのアプローチが育たない国」とは日本の事かな?
いずれにしてもこの本がコロナ禍を含めて論じているところがすごく興味深い。
この本は資本主義が行き詰って将来を悲観しているばかりではない。過去の様々な国の色々なデータから読み解き、どのような動きがどのように人間の社会に影響をあたえたか。その過去の歴史からどのような国家の動きがそこに暮らす人々の幸せにつながるかを解き明かした本である。本当のグローバルはどのような物かを深く考えさせられた。歴史から人間は学ばなければならない。
フィリップ・アギヨンをネットで調べていくと元旦にNHKで放映された「欲望の資本主義2023 逆転のトライアングルに賭ける時」の再放送を録画しているのを見つけた。グッドタイミングで観た。
そこでは現代の知の巨人がグローバルな視点から俯瞰して今の経済や社会を語っている。
その中で日本人に関して「気分が支配する。」という言葉が出てきた。
1970年代のオイルショックを調和と努力で乗り換え、勘違いした先が「バブル崩壊」だったわけだ。
日本と言う国は本当に過去を振り返り自省し、その事を元に未来に向けての理論的な手が打てない国なんだなと思った。
「自分で考えない。」そうだ。その通りだと思う。
今も日本のデフレは気分で流されているそうだ。何となくわかる。
テレビの中でも森嶋道夫さんが語る姿が出てきた。この方は一番日本人の中でノーベル経済学賞に近い方だったそうだ。
大阪人です。最後まで関西弁を話されていたそうだ。既存の考え方をいつも打破していく柔らかい頭の持ち主だったんだなと思った。
日本で喧嘩してイギリスに行ってしまわれた。この人の本を次は読もうと思う。
一番右がフィリップ・アギヨン氏
右から2人目ジャック・アタリ氏が日本について大切な事を語っていた。「日本は過去の過ちを認めアジアをまとめていかなければならない。」と。
昨日の晩御飯。久しぶりに駅前のスーパーに大きな赤カレイが出ていたのでお腹だけ出してもらうように頼んだら頭としっぽの取られてた。しまった。1匹498円。
ムニエルにしようと思ったが飲めるお酒が日本酒しかなかったので半分に切って唐揚げにする。
玉ねぎと豆腐、わかめの味噌汁、蓮根とズッキーニの素揚げ、ほうれん草炒め。大根おろし。
薬を飲んでかなりマシになったが、夜中に何度も咳込む。ふぇーん。
「創造的破壊の力」
400ページ越え。「モスクワの伯爵」を読了した後だったので少し軽い物を読みたいと町田そのこの「ぎょらん」と荻原博子の「私たちはなぜこんなに貧しくなったのか」がやっと借りれたので読み始めたが、「創造的破壊」が返却期日が迫っていることもありまず、この大著を読み始めた。
全体は15章と終章からなっているが、最初は「難しい」だったが、訳の文章がとても読みやすく私みたいな経済の素人にもとても解りやすく感じられた。ページレイアウトもグラフや表の位置が的確ですごく解りやすい。
半分くらい読んだ段階で最後まで読みたいと読書をこの一冊に絞り込んだ。
「ぎょらん」と「貧しく」は次に予約が入っていたので未読のまま返却した。残念。
この本は1800年代からの社会と経済がどのように変遷していったのか。
動力の導入によって産業革命が起き、資本主義がどのように発達し、これからどの方向に進むべきかを論じている本だと思う。
主な執筆者のフィリップ・アギヨンは元フランス経済顧問を務めたこともある現コレージュ・ド・フランス(欧州経済大学院)の教授。
その中でも日本の事に触れているところが面白い。
第7章の 中所得国の罠
「どうしてそうなってしまうのか。理由は、フロンティア・イノベーションを促す政策が既存企業の利益に反することにある。中略
その典型例が日本だ。日本では、競争を政府が厳格に管理してきた。1949年に発足した通商産業省(現経済産業省)、略称MITI
が強大な権限を持ち、輸入許可証の発行を制限したり、系列と呼ばれる巨大な企業グループに設備投資の助成金を出したりした。政治権力、政府機関、産業界・金融業界がもたれ合っていたのだから、日本が1945~1985年に高度成長を遂げて他の先進国の羨望の的になったのも、1985年以降は低成長に落ち込んだのも驚くには当たらない。」
この本の趣旨は「イノベーションは既存を破壊するが時間を置いて必ず創造する。そして地球規模でグリーンイノベーションに向かえ」ということだと思う。
日本のように戦後、時代の流れに乗って閉鎖的に急成長した後は伸びはないということだ。それをいまだに「日本はそのままで成長できるはずだ」と思い込んでいる日本が恥ずかしい。これだけ論理的に客観的に指摘されているのに解らないのだろうか。
15世紀に海洋貿易で莫大な富を築いたヴェネツィアの衰退も血統を重んじ、限られた人達が権限を狭めようとしたために滅びたそうだ。なるほど。血統を重んじたら滅ぶのだやっぱり。
また終章には
「新型コロナウイルスの感染拡大は、さまざまな形の資本主義の限界が露わになった。情報統制と自己検閲のせいで新型ウイルスの危機を認識するのが遅れ、感染拡大に拍車をかた。アメリカでは、新型コロナ危機によって失業者や医療保険非加入者の窮状がさらけ出された。フランスでは、医療物資関連も含めてサプライチェーンの行き過ぎたグローバル化によって経済がいかに脆弱になっているかも思い知らされた。また、中央集権化と官僚主義が行き過ぎて市民社会やボトムアップのアプローチが育たない国の限界も明らかになった。
今回のような危機を経験すると、この先の世界をどう構築するかという存在論的な議論が不可避的に持ち上がってくる。その議論の行方を予測することはできないが、本書で取り上げたテーマのいくつかが論じられることは確実だろう。最後に「未来の資本主義はどんな形になるのか」という問いに対しては、アンリ・ブルグソンの言葉で答えない。「未来はこれから行くところではない。これから作るものである。」
「中央集権化と官僚主義が行き過ぎて市民社会やボトムアップのアプローチが育たない国」とは日本の事かな?
いずれにしてもこの本がコロナ禍を含めて論じているところがすごく興味深い。
この本は資本主義が行き詰って将来を悲観しているばかりではない。過去の様々な国の色々なデータから読み解き、どのような動きがどのように人間の社会に影響をあたえたか。その過去の歴史からどのような国家の動きがそこに暮らす人々の幸せにつながるかを解き明かした本である。本当のグローバルはどのような物かを深く考えさせられた。歴史から人間は学ばなければならない。
フィリップ・アギヨンをネットで調べていくと元旦にNHKで放映された「欲望の資本主義2023 逆転のトライアングルに賭ける時」の再放送を録画しているのを見つけた。グッドタイミングで観た。
そこでは現代の知の巨人がグローバルな視点から俯瞰して今の経済や社会を語っている。
その中で日本人に関して「気分が支配する。」という言葉が出てきた。
1970年代のオイルショックを調和と努力で乗り換え、勘違いした先が「バブル崩壊」だったわけだ。
日本と言う国は本当に過去を振り返り自省し、その事を元に未来に向けての理論的な手が打てない国なんだなと思った。
「自分で考えない。」そうだ。その通りだと思う。
今も日本のデフレは気分で流されているそうだ。何となくわかる。
テレビの中でも森嶋道夫さんが語る姿が出てきた。この方は一番日本人の中でノーベル経済学賞に近い方だったそうだ。
大阪人です。最後まで関西弁を話されていたそうだ。既存の考え方をいつも打破していく柔らかい頭の持ち主だったんだなと思った。
日本で喧嘩してイギリスに行ってしまわれた。この人の本を次は読もうと思う。
一番右がフィリップ・アギヨン氏
右から2人目ジャック・アタリ氏が日本について大切な事を語っていた。「日本は過去の過ちを認めアジアをまとめていかなければならない。」と。
昨日の晩御飯。久しぶりに駅前のスーパーに大きな赤カレイが出ていたのでお腹だけ出してもらうように頼んだら頭としっぽの取られてた。しまった。1匹498円。
ムニエルにしようと思ったが飲めるお酒が日本酒しかなかったので半分に切って唐揚げにする。
玉ねぎと豆腐、わかめの味噌汁、蓮根とズッキーニの素揚げ、ほうれん草炒め。大根おろし。
薬を飲んでかなりマシになったが、夜中に何度も咳込む。ふぇーん。