■■ 21世紀勝ち残りの文化産業への期待 クールジャパンに乗り遅れるな No.38
【クールジャパン連載】
日本の企業が21世紀に勝ち残って行くための戦略を、日本政府が標榜する「文化産業立国に向けて ~文化産業を21世紀のリーディング産業に~」という課題である「クールジャパン」に見てみようと思います。
東日本大震災からの早い回復を願う経営者・管理職として、経営士・コンサルタントとして、あなたの生きる道が拓けるかもしれません。
4 クールジャパン政策の方向
4-4 創造性の発揮
4-4-1 クリエイション人材1 領域融合的アプローチによる生活文化の醸成
「クールジャパン政策の方向性」という第4章について記述してきていますが、今回からは4節として「創造性の発揮」について考えてみます。
クールジャパンは、主に「ファッション」「食」「メディアコンテンツ」「その他」の4つの領域において活動をしてゆくのですが、「生活文化の醸成」という観点で今回はまとめます。進め方としては、いろいろな領域からバラバラにアプローチをするのではなく、各領域を融合的な方向でまとめ、それぞれの領域が有機的に繋がるようにしようということです。
それには核となる活動が必要で、それを全体設計とかデザインという表現でまとめます。この全体設計(デザイン)とは、いわば質の高いライフスタイルをつくり出すために何を、どのようにするのかという方法論のことです。
日本人は、例えば食の世界において、海外の食を日本流にアレンジして、洋食風和食という形で定着してきました。例えば「あんパン」があります。パンという食材と日本伝統のあんこという食材を組み合わせて、今まで西欧にはなかったあんパンという食べ物を作り上げてきました。
風俗習慣という面でも、クリスチャンでもないのにクリスマスの季節になると何となく浮かれてしまい、またクリスマスパーティとかケーキとかを自分達の風俗習慣の一つのようにして生活しています。
このように日本人というのは、欧米を中心とした海外の文化を、日本人に最適化してしまう力を持っています。これをクールジャパン推進でも取り入れて、あらゆる領域でのイノベーションの創出をしていくことにより、海外の文化との融合を推進することができると考えます。
このような領域融合的な創出を推進するためには、産官学がそれぞれの垣根を超えてゆくことが基本です。これを経産省では、「リスペクトされる日本の良さ」という表現を使っています。そしてそれを進める人を経産省では「クリエイション人材」と呼んでいますが、このクリエイション人材を通して、海外の人達の「良き理解者」となって推進しようとしています。
では「リスペクトされる日本の良さ」を活かした領域融合的な創出活動とはどのようなものなのか、「百聞は一見にしかず」といいますので具体例で見てみましょう。
例えば伊藤直樹氏が推進している「ユニクロマーチ」があります。ご存知のように創業者の柳井氏の「超合理主義」というユニクロの個性を示す言葉があります。一方で「全体と個のバランス」というコンセプトを見るに、合理主義の最先端と全体と個におけるバランスという組み合わせの中に、記述の領域融合的な新しい発想をうかがうことができます。
竹村真一氏の「触れる地球儀」という芸術とも言える地球儀があります。これは「生きた地球の姿をリアルタイムに感じることができる、世界初のデジタル地球儀」です。地球儀を両手で抱え込むと、そこに地球の鼓動を感じ、青い星である地球、すなわちガイアをそこに感じ取れると言います。残念ながら筆者は体感していませんが、是非触れてみたいと思います。これも彫刻家や創作家が芸術作品を作るだけでは、触ったときの感触を電子的に制御することで表現することは困難ですが、竹村氏の芸術的センスと電子技術に対する造形からその仲間の協力で実現できた芸術作品です。
デュアルモード・トランスポーテーションというバスを線路の上に走らせるJR北海道の試み、任天堂のwiiにみる「家族みんなが関係するゲーム機」などなど異なった分野の涼気の良さを行かした商品・サービスを日本独自の力で生み出してきています。物まねが得意な日本人ということがしばしば言われますが、日本人の中には、組み合わせにより新しいものを生み出す力も備えている人がいるのです。
これを見ることにより日本における新しい「生活文化の醸成」能力を再認識できます。それをクールジャパンにも活かそうというのが、ここでは考えです。
<続く> 次回掲載をお楽しみに
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