動物と人との距離が「キモ」です
12月7日(土)
今年の「環境エンリッチメント大賞」の表彰式が行われました。
今年の受賞園館は
大賞 総合評価賞
トナカイの放牧飼育を含むエンリッチメント
(秋田市大森山動物園)
大賞 インパクト賞
Wild meǽt Zoo ~駆除された動物を動物園のご馳走に~
(大牟田市動物園)
大賞 技術賞
海鳥の遊泳を促す採食エンリッチメント
(東京都葛西臨海水族園)
奨励賞
ニホンカモシカのマーキング行動を引き出すためのにおいを用いた環境エンリッチメント
(飯田市立動物園)
が選ばれています。
それぞれの園館とも、工夫を凝らし、素晴らしい活動をしていると思います。
その中で個人的に注目している園館を紹介します。
1番は奨励賞の飯田市立動物園です。
出典:市民ZOOネットワークHP
市営ですが入場料は無料です。
南アルプスをバックにしたニホンカモシカの展示場が素晴らしく、展示場前のベンチでいつまでも眺めていられるロケーションです。
ええっ、
ここでお弁当を食べるのが好きなんです。
他の動物たちの展示場の工夫も素晴らしく、また、イベントも盛んです。
一番注目すべきは、昨年度の「チュウサギのための水流給餌水槽」に続き、2年連続の入賞です。
園としての「引き出しの多さ」は、注目すべき特徴です。
いずれも「自然に近い」行動を引き出す工夫での入賞が、個人的にはツボにはまります。
次は大牟田市動物園
出典:市民ZOOネットワークHP
延命公園の中にある小さな動物園ですが、一言でいうと「超エンリッチメント」です。
動物の幸せなくらしを究極まで追求する若い飼育員とそれを広く情報公開する姿勢が上手くかみ合い、来園者に「動物福祉」が広く伝わる成功例筆頭の園です。
この園の好きなところは、園の中を歩いていると、動物たち、飼育員たち、そしてお客様の「みんなが笑顔」なところです。
また、「施設の古さを、工夫で乗り切る」姿は、多くの他園が注目するところです。
今回の受賞は、各地で問題となっている有害駆除動物と、動物園で飼育される肉食獣のエンリッチメントを結びつけたものです。
動物園サイドからすれば採食エンリッチメント、供給側からすると小型で焼却処分している屠体の有効利用と、まさにWin-Winの関係です。
ちなみに屠体は有料であり、衛生面から内蔵や頭部を落とし低温殺菌処理する手間を考えると、通常の餌より高額になります。
感心するのはその辺のリスクを含め、有害駆除の必要性等を、お客様にきっちり情報提供しているところです。
とかくこの様な給餌をすると、盲目的に反対する者が出てくるんですが、正確に情報提供することでリスク回避ができます。
(もっとも相手は、「不勉強なお花畑な連中」か「何かにクレームつけないと生きていけない連中」なんですが、最近そんな「動物園クレーマー」が増えてるようで心配していたりします)
ところで・・・
こんな話をしていると
「おいおい、大森山を忘れちゃぁいないかい??」
的な意見もあるかと思います。
結論からいうと、
大森山は「興味が沸きません」
いえいえ、決して「アンチ柴田派」ではありません!!
(湧いてくるなよ、アンチども)
担当の柴田さんはすっごい努力しているのは存じていますし、トナカイもキリンも好きなんですよ。
(一部、施設の利用や協力してもらった園、他のスタッフを差し置き、一人ではしゃいでる担当者が「鼻に付く」ところはありますが、まぁそれ程のことをやってる自負があるんだったら、別にいいのかなと思うところもありますが・・・)
ただね、
指向というか方向性が違うんです。
まずですね、動物園に飼育されている動物は「野生動物」なのです。
動物園は、それを見せるための施設なのが大前提です。
野生動物ですから、ふれあい広場にいる家畜やイヌ・ネコという愛玩動物とは一線を画しいます。
しかし大森山の、今回受賞したトナカイたちには、首輪やハーネスが付いており、期待して見に行くと、きっと「トナカイ牧場かよ」とがっかりすると思います。
出典:市民ZOOネットワークHP
出典:秋田市大森山動物園HP
トナカイ牧場が
自分とこのトナカイ大切にするのは
「当たり前」なんですよ
100歩譲って「自然でも池を泳いだりします」といっても、別にそれを見たいわけではないんですよ。
トナカイは森にたたずむ凛々しい姿が一番似合うと思うんですよね。
そもそも「暑いから」とか「サシバエ」が付くとか、気候が原因になるのなら、『飼わなければいい』という結論も「あり」だと思います。
ついでにキリンについて言えば、大切にしているのは見て取れますが、
いやいや
ペットじゃないんだから・・・
と、感じたりもします。
動物園の大きな目的の一つが「種の保存」ということですが、そんな幸せなキリンが繁殖できていないのも負い目となっているのは否めません。
徳山なんざ、放っておいても、ガンガン子供作ってるけど・・・
えっと、改めて言いますが、
決して「アンチ」じゃないですからね。
(湧いてくるなよ、アンチども!!)
要は飼育されている動物と人との距離感が近すぎるのも「野生動物感」が薄れて楽しみが削がれる・・・
ってことだと思います。
とはいえ、受賞は大変喜ばしいことですし、やってることは「すごく高度」なことだと思います。
ただしハズバンダリートレーニングも、今や多くの動物園で「割と身近に」やってます。
すでに大森山の専売特許でもありません。
達人は、街のあちこちにいる
「カンフーハッスル」かっ!?
なお、当記事に関してアンチ&擁護派双方からの一切の苦情は受け付けません。
全て私の雑感です。