今日は、朝から初夏らしい爽やかな青空が広がり、外を歩くと陽射しが眩しい。日中、気温は二十六度まで上がり、湿度は四十パーセント台を推移するとの予報。
朝はいつもの通りプールに泳ぎに行く。
一年前の今日、六月三日は、現在の勤務校への正式任命が決まった日であった。
その日は、朝一番でパリを発ち、日中ストラスブールでアパート探しをしていた。現在のポストへの事実上の内定はその約一月前に出ていたから、すでにパリからストラスブールへの引越しの準備を少しずつ始めていた。
ストラスブールは以前四年間住んでいた街である。それぞれの地区について、だから、はっきりとしたイメージを持っている。探す地区を予め絞り込んだ上で、ネット上で二週間ほど毎日探し、最終的に三つに候補を絞った。それぞれの物件を掲載している不動産屋に電話で連絡を取り、一日で三つとも見て回れるように予定を組んだ。
今住んでいるアパートは、そのうちの一つ。建物が非常にしっかりしていること(それに、住んでみてわかったことだが、室内は、冬暖かく、夏涼しい)、周りに緑が溢れていること(近所にはジベルニーの「モネの家と庭園」を想起させる美しい景観がある)、周りがとても静かなこと(階上英国人夫婦がベランダで食事をするときはその会話が聞こえてくるが、それもさして気にならないほど。この地区は、ヨーロッパ議会その他国際機関が近いので、それらの機関で働いている人たちが住人の中にも多い)、そして、何よりも最新の市営プールまで徒歩六分という立地条件が決め手であった。
書斎の窓外は樹々に覆われ、その奥にわずかに澄んだ青空が見える。微風に新緑がさわさわとそよいでいる。若葉に陽光が煌めくように反射する。好天を寿ぐように小鳥たちがここかしこで競うように囀っている。窓を開けたままステレオで音楽を聴こうとしても、鳥たちの合唱と混ざり合ってよく聞こえないほど。
このように快適な環境の中に置かれた自宅で仕事に集中できるのは、それだけで私にとってこの上ない贅沢である。恵まれた一日一日、焦らず怠らず、働き続けたい。