内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

新年度対面授業開始 ― 教室という劇場空間と授業の演劇性

2020-09-07 23:59:59 | 講義の余白から

 今日から新年度2020-2021の授業が始まった。私は、今日、三年生の Civilisation et culture japonaise の一コマがあった。彼らがまだ二年生だった今年の三月十二日木曜日に近現代日本文学の授業を教室で行ったとき以来だから、半年ぶりの再会であった。みな元気そうで何よりである。名簿に名前が載っている学生は全員出席。去年前期の単位は取得している留年生も来ていた。皆やはり教室での授業が待ち遠しかったのだろう。二年生のときからできのいい子が多い学年だったが、半年ぶりの教室での授業に何か新鮮なものを皆感じているようでもあり、反応もとてもよく、気持ちよく授業することができた。
 もちろん以前の平常に戻ったのではない。感染症の危険は今もなお私たちを脅かし続けている。全員マスク着用したままであり、それは一歩距離を置いて見れば、異様な光景だとも言える。今日は天気が良くて、教室内で話し続けているとマスクの中に熱がこもってしまい、それはとても不快だった。
 空気が共有される教室でしか伝わらないものがある。そんなものは学習内容とは関わりがないと遠隔派の人たちは言うかも知れない。しかし、テレビやネットでの舞台中継の鑑賞と劇場での生の舞台の鑑賞とが同じ経験だという人はいないであろう。教室は一つの劇場空間であり、授業には演劇性が伴うと私はかねてより思っている。だから教室での授業は楽しい。毎回が舞台だから、もちろんうまくいかないときもある。
 いつまた状況が悪化し、教室での授業ができなくならないともかぎらない。それは学生たちだってわかっている。許されるかぎり、彼らと教室という劇場空間を共有し、楽しみたい。