内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

部分的に録音授業を使うことのメリット

2020-09-19 23:59:59 | 講義の余白から

 月曜日に行う「日本の文明と文化」という超ザックリとしたタイトルの学部三年生対象の科目を担当するようになって今年で三年目です。この授業はすべて日本語で行います。このブログですでに度々この科目のことを記事にしてきていますので、「またかよ」とうんざりされる方もいらっしゃるかと推察されますが、懲りずにまた話題にします。
 まあ、この授業は、ほんとうに好き勝手にやっているのですが、一つだけ原則があるとすれば、日本製の視聴覚教材(と言うともっともらしく聞こえますが、実際は日本の映画とドラマにほぼ限られています)を使って、学生たちに様々な問題を考えさせ、それらの問題について日本語で文章を書くことを宿題としていることです。提出された宿題は、もちろんすべて添削して返します。
 教室での対面授業は、要点と基礎語彙と重要事項をパワーポイントで示しながら授業を進めます。身振り手振りや表情も言説内容の伝達の補助手段となりますし(現状ではマスクのせいで表情はあまり役に立ちませんが)、ちょっと早口過ぎたかなと気づけば、少し速度を落として同じ表現を繰り返したり、学生たちの反応を見て、これはあまりわかっていないなと判断すれば、言い方を易しくしたり、鍵になる言葉を板書したりと、臨機応変に対応できます。
 しかし、学生たちの聴解能力を鍛えるという目的からすると、このような補助手段の利用や老婆心は必ずしも好ましくありません。なぜなら、ほんとうは完全には聴き取れていないのに、私が言っていることがわかったと彼らが思い込んでしまうからです。
 そこで今年度の新機軸(というほどのものでもありませんが)として、授業の一部を事前に録音し、それを各自聴いてから教室での授業に臨むようにさせたのです。この方法のメリットは、各自が聴解に集中できること、繰り返し聴けること、授業内容について自ずと予習できることです。
 今日、二回目の録音授業を大学の専用サイトにアップしました。何人アクセスしたかチェックできるようになっています。第一回目の録音授業のアクセス数は48回でした。登録学生数は29名ですから、何人かは複数回聴いていることがわかります。
 数回終えたところで、学生たちからのフィードバックを参考にして、改善を図るつもりです。