テキストを声に出して読む練習を学生たちに各自実行してもらいたいのだが、これがなかなかうまくいかない。二年生は出席者が五十名を超えているので、一人一文ずつでも時間がかかりすぎて授業では練習が行えない。今日の授業で十人ほどに一文ずつ読ませてみたが、彼らがまったくと言っていいほど家で声に出して読む練習をしていないことがわかる。三年生にしても四十人前後だから、やはり授業中に有効な仕方で練習することは難しい。どうすれば各自自宅で継続的に実行するようにできるだろうか。
一つ考えられるのは、宿題として音読の録画あるいは録音を提出させることだ。ただ提出させただけではあまり意味がない。発音や読み方の矯正をフィードバックとして返す必要がある。問題は、それには厖大な時間がかかることだ。合計九十人ほどの学生の音読すべてを矯正している時間などとてもない。そもそも私の講義は語学の授業ではない。
とはいえ、音読を各自実践しろといくら口を酸っぱくして言ってもほぼ無効だから、始めるきっかけを作るためには、なんらかの強制措置をとり、彼らの口を起動させねばならないだろう。そのために「アメ」も必要だ。上手に読めたら成績に加味することにするか。そんなことが本来の目的ではないのだが。