モンテーニュは日本で今もよく読まれていることは、『エセー』の翻訳が複数流通していることだけでなく、モンテーニュ関連書籍が近年も少なからず出版されていることからも想像できる。
本国フランスではもちろんのこと、モンテーニュ関連の出版物はとても多い。ただ、学術的な研究でしばしば引用される PUF 版原文は16世紀のフランス語表記を尊重している(この版には今日の専門家の間では批判がある)が、この表記法は一般のフランス人にとっては『エセー』を近づきがたい古典にしてしまっている。そこで表記を現代化した版や一部の表現を現代フランス語に置き換えている版も多数ある。私はただの素人であるが、『エセ―』は、PUF版以外に、Pochothèque 版(2001年)、Arléa 版(2002年)、Pléiade 版(2007年)Folio classique 版(2009年)が手元にある。それに加えて、Gallimard « Quarto » 版と Robert Laffont « Bouquins » 版の現代フランス語版も所有している。今月に入って、Le dictionnaire des Essais de Montaigne, Éditions Léo Scheer, 2011 と Dictionnaire Montaigne, Classiques Garnier, « Classiques jaunes », 2018 とが私の「モンテーニュ・コレクション」に加わった。これらの書籍はすべて仕事机の上か、机前に座ったままで手が届く書架に並べられている。神経を使う仕事で頭が疲れたときにふとそのいずれかを手にとって数頁読む。そうすると疲れた頭が癒される。