内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

悲しき休戦記念日

2022-11-11 23:59:59 | 雑感

 今日は第一次世界大戦休戦記念日である。1918年以来、フランス語で L’Armistice と言えば、この日を指す。語源辞典などによると、もともとは17世紀末から一般名詞として使われていた。いくつもの戦争があったから、休戦のたびに使われていたのだろう。ラテン語の arma(武器)と sistere(止める)を組み合わせてできた armistitium は14世紀から使われていたらしいが、中世からヨーロッパにはしばしば戦争があったからこそできた言葉なのだろう。ちなみに第二次世界大戦に関しては、5月8日が記念日だが、そちらは Victoire(勝利)と呼ばれている。
 国際法においては、休戦と和平は区別される。前者は交戦状態を一定期間あるいは無期限に停止すること、後者は敵対状態そのものを終わらせ友好関係を築くことである。
 ウクライナ戦争は休戦への見通しさえ立っていないし、どちらかが勝利に終わることもないだろう。ましてや和平は想像することさえ難しい。戦争が続くかぎり、ただ犠牲と破壊が積み重なるだけなのに、ウクライナとロシアのどちらかが自ら譲歩するようにも見えない。アメリカとヨーロッパが態度を変えないかぎり、まだまだ戦争はずるずると続くだろう。日本は例によってアメリカの驥尾に付すだけ。この間、中国だけが漁夫の利を得ているとすれば、近い将来、さらに怖しい時代がやって来るかもしれない。