先日の新聞によると、乗鞍山麓五色ヶ原の今シーズン入山者は僅か2.888人で、昨年の3割減となり、2年連続で3割ずつ減少と報じていた。ここを管轄している高山市は来年4月、運営を指定管理者に移すが、一人8.800円~20.000円という高額な入山料も見直しが迫られそうだ。とも報じていた。市は減少の原因を「興味を持つ人が限定され、本当に興味がある人は、初めの2.3年間で一通り入山してしまった。」とも報じていた。市の原因分析は、いかにもおざなりで、実態を捉えていない。入山者が限定されたり、一巡後リピーターが来ないのは、理不尽な条例を制定し誤った規制をしたことに原因があるとに、市の担当者は早く気が付くべきだ。
今年の8月下旬に、行政が考える観光開発と自然保護の折り合いの実態を知りたくて、ガイド付きのトレッキングツアーに参加してきた。登山道に橋をかけ、急坂に階段を取り付け、木道を整備し、立派な小屋を作って入山者の安全を守り、自然環境を損なわないため最小限の手を加えたとうたっている。しかし、ガイド付き以外の入山を認めないとか、10歳以下の子供連れを入れないなど、行政が登山スタイルを決めて押し付けるのは僭越なことであり、環境保護を錦の御旗に掲げながら、自然を人工的に加工して付加価値を高めようとする行為は、決して自然愛好家に受け入れられる事はない。五色ヶ原が開設3年目にして、同じ丹生川町の「ペンタピアスノーワールド」が、莫大な税金を投入しながら短期間で挫折した時と同じような失敗を繰り返そうとしている。飛騨や自然を愛するものとして、同じ轍を踏まないために行政の今後の施策を注目したい。