飛騨の山里から
ユキ(柴犬)と一緒に名古屋へ戻り
あっという間に9か月が過ぎた。
夫婦二人の平穏な暮らしに不満はないが
何か物足りなさを感じる時がある。
環境の変化は覚悟していたが
一人暮らしの兼業主夫を止めたので
炊事洗濯掃除や田畑の仕事も無くなり
暇を持て余すことが多くなった。
肉体労働から遠ざかり
山も登らなくなったので
体が鈍り気力や体力の衰えを感じるようにもなった。
ぜいたくな悩みを持ちながら
もう一度過疎の山里に戻って暮らす根性はない。
時々、雪に閉ざされた静かな古家を思い出して慰めている。
ユキも厳しい名古屋の夏を乗り切り
15歳の誕生を迎えることが出来た。
広い野山を自由に走り回っていた習慣で
僅かにある土の感触と匂いを楽しむ姿がいじらしい。
冷えた土の感触から
いつも駆け回っていた雪原を思い出しているかもしれない。
暇を持て余しながら
足腰が丈夫なうちにもう一度
スローでシンプルな暮らしが出来ないかと
思いを巡らしたりしている。