敬語!敬語!敬語!
★ 敬語が重要なわけ
主語や目的語が特定できるので文章が読める!(かもしれない)
主語や目的語を意識するので誤読を避けられる。
ずばり!入試にそのまんま敬語が問われることが多い
【例題】
傍線部の主語を答えよう。
今は昔、もろこしに、孔子、道を行き給ふに、八つばかりなる童会ひぬ。(宇治拾遺物語)
(答) 童
〇「孔子、道を行き給ふ」と「童会ひぬ」の部分の敬語表現に注目。尊敬語の「給ふ」が使われている孔子は敬意の対象だが、尊敬語の「給ふ」がない「童会ひぬ」の方の主語はは敬意の対象ではない。よって解答は「童」になる。
※某出版社は思い切り解答を「孔子」にしていた
※某塾は正解していたものの「『会ふ』ということばにはそういう用法があるのです。入試には出ませんが覚えておきましょう」との謎の解説がなされていた。
★ 誰の敬意・誰からの敬意
情報の発信者からの敬意
地の文・・・作者(文学史で明確な場合は作者名を書く場合がある)
会話文・・・会話をしている人(話主・会話主)
手紙文・・・手紙を書いた人
★ 誰に対しての敬意・誰への敬意
☆尊敬語 主語に敬意
☆謙譲語 目的語に敬意・へりくだる
☆丁寧語 聞き手・読者に敬意
※敬意の対象は偉い人とはかぎらない。敬意を見せなくてはいけない人かどうかである。
★ 敬語の重なり方
重なる順番・・・謙譲+尊敬+丁寧 ([KST]と覚えよう)
練習例文
「姫、帝に文奉り給ひ侍り」と中納言、宮に申し給ふ。
右の文の全部の敬語の説明をしよう
奉り(謙譲)・・・中納言(語り手)が帝(目的語)に敬意
給ひ(尊敬)・・・中納言(語り手)が姫(主語)に敬意
侍り(丁寧)・・・中納言(語り手)が宮(聞き手)敬意
申し(謙譲)・・・作者(地の文)が宮(目的語)に敬意
給ふ(尊敬)・・・作者(地の文)が中納言(主語)に敬意
※特に謙譲+尊敬の部分を二方面の敬語と言い、頻出事項である
※河合塾さんの例文に解説を付加したものです
※二方面=謙譲語は目的語を、尊敬語は主語を同時に高める。この例文で実感されたし。
(訳)「姫様は帝に手紙を差し上げなさったのです」と中納言様は宮様に申しだけなさる。
基本的な敬語動詞の群れ
① 補助動詞
敬語を見たら、まず、上を見る。上に用言があったら、補助動詞である。尊敬・謙譲・丁寧の気持ちがこめられているということになる。
※ 尊敬の補助動詞(1単語)
~たまふ(給ふ)・・・・(訳)~なさる・お~になる
※ 謙譲の補助動詞(5単語)
「たてまつる(奉る)(四段)」「申す(四段)」「聞こゆ(下二段)」「聞こえさす(下二段)」「参らす(下二段)」
訳「~申し上げる」
・ 身分の低い人が身分の高い人に対して動作をすることを表現している
※ 丁寧の補助動詞(2単語)
「~侍り(ラ変)」「~さうらふ・さぶらふ(候ふ)」
・ 訳 です、ます、ございます ※本動詞での謙譲語の用法に注意
② 本動詞(以下をあきらめて暗記するが吉と出た) ※後述の盲点もチェックする
※ 尊敬(傍線は最高敬語)(15単語)
・召す・・・お呼びになる、お召しになる、召しあがる(呼ぶ、着る、食ふ、飲む)
・たまふ・たまはす・・・お与えになる、下さる
給ふ・・・補助かも 賜ふ・・・本動詞
たまわす・・・「たまふ」グレードアップで本動詞
・おぼす(思す)・おぼしめす(思し召す)・・・お思いになる(本動詞一位)
・聞こす・聞こしめす・・・お聞きになる
・おはす・おはします・・・いらっしゃる おいでになる(本動詞二位)
(「あり、居り、行く、来」の尊敬)
・おほす(仰す)・おほせらる・のたまふ(宣ふ)・のたまはす・・・おっしゃる
・しろしめす・・・(知る・領る)お承知あそばす・御統治あそばす
・おおとのごもる・・・おやすみなる
※ 謙譲 (14単語)
・聞こゆ・申す・・・申し上げる (注意 聞こゆ・・・聞こえるの場合もある。またヤ行下二段)
・たてまつる(奉る)・まゐらす(参らす)・・・さしあげる・献上する(「参る」と混乱しない)
・まゐる(参る)・まうづ・・・参上する・(宮中に)参内する・(寺社に)参詣する・(後宮に)入内する(偉いとこへ行く)
・まかる・まかづ・・・退出する 下がる(偉いとこから帰る)
・うけたまはる・・・お聞きする お受けする 承知する(現代語と同じ)
・つこうまつる・・・いたす(「する」の謙譲)
・はべる(侍る【這いあり】)・候ふ・・・おります 控える お仕えする
・奏す・・・奏上する (天皇に)申し上げる
・啓す・・・(中宮・東宮に)申し上げる
※ 「奏す・啓す」は目的語がわかっているので、文脈でも、設問でも重要。
③ 助動詞(尊敬の場合)
「る・らる」は軽微尊敬 「す・さす」は最高尊敬 ※全部、未然形接続になる
【その他の重要事項】
〇二重敬語・・・[せ・させ・しめ]給ふ(高貴な人や会話文につかう)
(尊敬+尊敬の場合片方が助動詞になる。「す・さす・しむ」以外の例 おほせ+らる【仰せらる【注意】
目的語の身分は低いときは、「~せ給ふ・~させ給ふ」でも使役の可能性がある
例 大臣、舎人に歌詠ませ給ふ(大臣さまは舎人に和歌を詠ませなさる)
〇自敬表現・・・天皇などが自分に尊敬語を使用したり、自分を対象にした謙譲語を使用したりすること。会話文にのみ使用する。
盲 点(尊敬と謙譲の意味を持つ動詞たち)
★「給ふ」がたまに謙譲のことがある。ほとんどは尊敬だが、それだけに謙譲は試験に出やすい
基本は謙譲かをチェックする。チェックの目安は次の通り。
① 謙譲は下二段で、しかも終止形、命令形がない
(へ/へ/○/ふる/ふれ/○)
四段(は/ひ/ふ/ふ/へ/へ)
② 会話文、手紙文のみである
③ 知覚思考動詞(「見る・聞く・知る・思ふ・おぼゆ」など)に接続している
④ ②③が同時に満たされている
⑤ 知覚動詞の主語はまず話し手自身が主語
⑥ 主語は一人称
例 「今はこの世のこと、思ひ給へねば」(今は現世のことを、私は思っておりませんので)
思ひ(思考動詞)給へ(下二段未然形)ね(打消しの助動詞「ず」の已然形)ば(已然形接続の接続助詞)
※「 」内なので会話文。
※打消しの助動詞「ず」は未然形接続。四段活用なら「給はねば」になる。
★その他の尊敬・丁寧・謙譲の意味を二つ有する動詞
まゐる (貴人主語+飲食物目的語+まゐる→尊敬)(めしあがる)
たてまつる (貴人主語+乗り物 or着物目的語+たてまつる→尊敬)(おめしになる)
侍る (謙譲語の時は「誰か侍る(誰かひかえているか)」が頻出)
候ふ (貴人・貴所目的語+候ふ→謙譲)
候ひ給ふ (「候ひ」が謙譲)
給ひ候ふ (「候ふ」は丁寧)
※ 右記の二項は謙譲+尊敬+丁寧の応用だよ
★「御+名詞」は尊敬で「あなたの」と訳すとうまくいくことが多い。
例 御社=あなたさまの会社
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