【初級編】
◎通常、文末は終止形のはずだが、特定の係助詞が存在した場合、終止形以外の活用になることがある。
係助詞 意味 結びの活用形
ぞ・なむ → 強調 → 連体形
や・か → 疑問・反語 → 連体形
こそ → 強調 → 已然形
※ 「やは・かは(係助詞+係助詞)」は反語になりやすい。
※ 反語とは、一度疑問の形で問いかけ、それに対して反対の意味を誘導して、強調する表現のこと。否定表現の一つ。
(~か、いや、~ではない)
※ 「は・も」も係助詞。結びが終止形になるので原則として係り結びとは言わない。
●急所
※「む」「らむ」「けむ」に対して活用形を聞かれた場合は係り結びを疑うこと。連体形であることがしばしばある。
※「けれ」に対して活用形を聞かれた場合は形容詞の已然形かどうかをチェックする。形容詞の已然形の活用語尾(ク活用)、形容詞の已然形の活用語尾の一部(シク活用)となる。
※疑問の副詞(「など」「いかが」etc.)の文末も連体形になる。「や・か」の親戚。語源に「や・か」が入っていることが多い。
【中級編】
★三大結ばない用法
①結びの流れ
下につく接続助詞などのために係り結びが生じないこと。結びの消失とも言う。
例 たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらん
「こそ」があるので「切れ失すれ」になるはずが接続助詞「とも」があるので、終止形の「切れ失す」になっている。
②結びの省略
あるのが当然とされる結びの語句が省略されること。
「にや「にか」の後に「あらむ」、「とぞ」「となむ」の後に「聞く」「言ふ」などが省略されるパターンである。なお、文体・文脈(敬意の有無)によっては「あり」を「侍る」「おはする」などに変更するようなこともある。
③係助詞の他の助詞的な用法
・係助詞が文末で使用されることがある。これは一説に終助詞とされている。(省略との区別が必要)
(例)浄き水ある所知りたりや。
・《人名+こそ》の時に係り結びが生じないことがある。これは人物に呼びかけているので「~さん」などと訳すべきものである。間投助詞とする説もある。
例 サザエこそ、サザエこそ、サザエこそは愉快なり♪(「さん」と訳す)
例 サザエこそ、サザエこそ、サザエこそは愉快なれ♪(これ、係り結びだから「こそ」は係助詞だよ)
【上級編】
三大特殊係り結び
①
もこそ~已然形=係助詞「も」+係助詞「こそ」 雨もこそ降れ。
もぞ ~連体形=係助詞「も」+係助詞「ぞ」 雨もぞ降る。
訳 ~したら困る。 ・ ~したら大変だ。 雨が降ったら大変だ。 ※予想の文脈
②
こそ~已然形+、(読点) をたの前右府、力こそあれ、情はすくなし。
訳 ~のに、・~けど、・~が (逆接) (織田前右大臣は、力はあるが、情は少ない)
③
挿入句
文中の「や~けむ・か~けむ」は挿入句(文の中に入った文)になりやすい。
例 サザエ、何とか思ひたりけむ、裸足にて猫を外に追ひにけり。
サザエは、何と思ったのだろうか、はだしで猫を外へ追いかけてしまった。
※2019-12-18の記事に加筆
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