kotoba日記                     小久保圭介

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作品『明日香』

2007年02月09日 | 生活


朝、ツバキノオジがすんごい花束を持ってやってきた。
月曜の朝、プランター作品「春の一分」が誰かに踏む潰されていて、
そろそろ変えねば、と思っていたのだ。
そして今回は僕の大切な友達の一人である堀田さんの名前をとって、
「明日香」というタイトルに決定した。
何週間か前、堀田さんとツバキノオジは労働場で面会していて、
オジは堀田さんに鈴占いをして遊んでいたのだった。
その堀田さんが風邪をひいて具合が悪いらしいというと、
「無事を祈って、明日香君にこれは捧げる。世界に一個しかない花だ!」
とオジは、プランターにぶっさしていった。
わいは朝から涙目で、「オジ、すまんのお。ありがとう」
というていた。
オジは、「世の中、計算は計算機がやればいい、方程式で解けばいい。だが、
計算なんかはどうでもええんじゃ。心だよ、小久保君!」
「ほうか!」
「ほうじゃあ」
ってなもんで、なんやらようわいにはわからんけど、
作品「明日香」は見事にド派手に仕上がった。
まったくもって、ド派手さは本人によく似ていて、
「見事じゃ、オジ」
というと、
「これは明日香君だけに捧げる」
とオジは言った。
わいは涙が出て、このまっすぐなオジの優しさが堀田さんにも、天にも届けばいいと思うと、
もっとうるうるしてきて、たまらん。
「オジ、すまん」とわいは脇に走って、涙をぬぐうと、
「泣くな、小久保君」
とオジの喝が入り、
「ところでオジ、この花はどこの開店祝いから持ってきたんじゃ?」
と訊く。すると、
「栄のほうで、今朝、黒服がたくさんおった。5人ぐらいだ。ホストクラブだ」
わいは、泣いて、笑った。泣いて、笑うという人生ほど、幸福なことはない。
「ホストクラブか!」
「ほうや! 黒服のあんちゃんらが、もっと持ってってください、いうんで、
わしはこんなにもらってきた。あいつら、今朝、仕事が終わったんじゃな」
というわけで、花は百合とかバラとか、超豪華なものばかり。
たぶん、花屋で買うと5000円ぐらいすると思う。
わいらは、いつものようにたくさんの人々に、
新作「明日香」を「見てよ見てよ」と言って、腕を引っぱった。
「ここだけ夏みたいだ」と稲さん。
「香りがいいねえ」と初老の税理士さん。
「やりすぎ」と南さん。
「お前らおかしいんじゃねえか」と布爺。
「花の前ででんでん太鼓叩かなあかんな」とセゾンさん。
「爛漫だ」とオジはひとりごち、
「わいは誰にどう今回は言われてもかまわん。明日香君なら判ってくれるはずじゃ。
わいらは宇宙の子じゃあ」
「ほうやな!」
「そうじゃあ!」
とわいらは、まったくもって、
こころだらけ。
こころだらけに朝からなって、
こういうオジのこころばっかりの行いに出会って、
わいは生きていて良かったと、思った。
新作、第7作目である。
「次が難しいな」
とオジがひとりごち、
すでに次作に思いをはせている。
オジは件p家だ。空は、青かった。

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