kotoba日記                     小久保圭介

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311の映像で学んだこと

2017年10月31日 | 生活
交差点に差し鰍ゥる前
自転車の前かごに
食材を積んで
ペダルを漕いでいる時
メールが来て
都合の良い時
連絡がほしいとある
わたしは
メールより電話を好むので
電話してみる

駅から
3人で歩いているとき
まるで
小説の始まりのような気がした

買ってきたばかりの
300円のクッションで
二人は家に着くと
おにぎりを食べ
すぐに眠った
毛布にくるまって
どれだけ
二人は疲れ果てているのだろう
と驚いた

起きた時
お二人の背中を
両手でゆっくりと
10分間
上下にさすった
311以降
避難所で
強いストレスを抱えた人々に
ボランティアの女性が
そうすることを
真似てみたのだ
「あったかい」
「気持ちいい」
「安らぐ」
「これは311の時、そんな映像を見たんで」
その人の目から
涙が流れていた
わたしは何かの役に
たっているような気がした
少なくとも
数十分のお役目

晦日のサガミに
友人とともに
4人で行った
ざるそば食べ放題


白い粉を口元につけて
ソファーに唐黷アむようにして
眠ってゆく
その目からも
短いひとすじの涙が
流れているのを
わたしは見た




雨の日

2017年10月28日 | 生活
昼前の行事に
お誘いを受けていた
行きます
と言った
夜は
話をしにゆくはずだった

でも
無理だった
外に出たら
体がぐらぐらして
地下鉄まで歩くことができなかった

二つとも
お断りした

家で静かにしていた
雨が降っている
最近
ずっと雨だ
「しょうがない 雨の日は」
と歌ったのは
小室等さん




白い封筒

2017年10月27日 | 生活
彼は胸ャPットから
白い封筒がはみ出していた
預かったという
わたしに渡してほしいと
頼まれたという

まさかと思って
封筒をあけてみると
熊野への奉納が
そっくりそのまま
戻ってきたのだ
急いで熊野に電話したけれど
つながらない
こんなことって
あるんだ
と朝から思
とってもうれしい


黒い蝶
東へ飛ぶ

夜はコーヒー屋へ行って
何でもないことを
しゃべっては
帰って

日々は過ぎてゆく
今日は何か
掴んだだろうか
手放しただろうか

荷物は軽い方がいい
できれば
手ぶらで
歩きたい



木の床屋さん

2017年10月26日 | 生活
街路樹を
丸裸にしてゆく
ひとたち
木の幹にロープで
体を固定して
上に昇り
てっぺんの枝を払ってゆく
木の床屋さん
木はさっぱりしたとは
思ってはいないだろうけれど

疲れていると
板チョコを頂く
「疲れている時はこれです」
なんて
うれしい ありがとうございます


遠藤賢司さん

2017年10月25日 | 生活
雨は降った
あがった
グレイの空



揺れ
ラムネを飲んで

音楽家

もっと幸せになりたい

吹き

子供たち
歩道橋から
降りてくる

歯車の噛み合わせ

やっと青空14時半

続けて今日も
訃報が
遠藤賢司さん

15歳頃の時だから
40年前のこと
金沢卯辰山フェスティバルという
卯辰山の頂上で
3日間の野外コンサートがあった
泊りがけで
3日間見た
この金沢体験で
わたしは目覚めた
たくさんのフォークソングや
ロックをジャズを聞いた

その中に
遠藤賢司さんがいた
初めて見た
曲はレコ―ドで『嘆きのウクレレ』をよく聞いていたので
知っている

遠藤賢司さんは
一人で出てきて
椅子に座って
もぞもぞしてから
ウクレレで
『寝図美よこれがあの有名な太平洋だよ』
を歌いはじめた
あとは何を歌ったか
話したかは忘れた
それでも長い髪の遠藤さんが
そこにいたし
わたしはかなりの至近距離で
遠藤さんを見た
おそらく
見ただけではない
取り込んだことも
確かだ

そのコンサートのあと
わたしの進路はほぼ決定した
歌う生き方を選択します


動画サイトで
遠藤賢司さんの歌を
何曲か聞いた
歌手が終えた時
唯一の追悼は
残された
歌を聞くことだ

表現者は作品を残す
作家なら言葉を
画家なら絵を
何も表現しない人なんて
この世に一人だっていない
必ず
何か表現して
終えてゆく
あの時の、
一瞬の表情
短い言葉
あの時の、
静かな笑み
あの時の
怒り
それを思い出す
それが
唯一の追悼である

遠藤賢司さん
あなたは80年代になってから
自己プロデュースを始め
「エンケン」ワールドを作った
でもわたしはそれがあまり
好きではなかった
痛々しい思いをした
以前の静かや
凄いロックをやっていた時が
一番好きだった
しかし
世は
「エンケン」を愛したみたいですね
わたしは
考える
どうして
あなたは
自己プロデュースをして
「エンケン」をやったのかを
やらざるを得なかったかを
それは
あなたが残した
疑問です
時々
わたしは
考えるかもしれない
あなたの忍耐や努力の
源の思いを

遠藤賢司さん
ありがとうございました
そして
お疲れ様でした
ありがとう
たくさんありがとう



森のカラス百羽

2017年10月24日 | 生活
カラス百羽の
中の
一羽
頭上に来て
鳴く
何の調べか

ゴスペルシンガーの
亀渕友香さんの訃報を知り
ああ

生で見た
40年前の荒い映像を探しては
見ていた

連関して
草野心平さんの告別式の時
蛙語を話した草野さんに
告別式の実家の庭に
大きな蛙が現われたという
弔問客は
「最後の挨拶に来たんだろう」
と言ったという

森で百羽のカラスが
いっせいに声を出す 鳴く
終えた人
自然界に密接していた人には
カラス百羽が
いっせいに
森で
その人の名前を
合唱して
終えた悼みの合図をする
それを聞く
草木
世界全体が
自然全体が
一人の人を
悼む
それはおそらく
今まで一人しかいない
宮澤賢治が終えた時
花巻の森で
KENJIー
KENJIー
とカラス百羽は
鳴いていたかもしれない




歩道橋

2017年10月23日 | 生活
風の音で
夜長
何度も目覚め
ここは七階なので
風の音も
風圧も相当に
強いのだ
古い窓は
防音などではない
よって
外で起きている
風のことが
窓を鳴らし
風と風がぶつかって
台風特有の
瞬間の猛烈な風圧が
目覚めさせるのだ

それでも
台風とは
台風一過の青空を
枝がちぎれたあとを
見るという爽やかな予後の
楽しみが待っている

わたしは労働
地下鉄まで歩くとき
多少は風が吹いていたものの
冬の木枯らし程度の風速だ
そう高を括っていたら
驚いた
歩いている時は良かったけれど
東山の歩道はぎんなんだらけで
臭かったけれど
道路を渡るには
歩道橋
そこを二人で歩いて渡っている時
猛烈な風で煽られて
身を屈めて歩かねばならなかった

台風の時
歩道橋を渡るということ
それは
そうとう危険
手すりは案外
低いのだし
子供だったら
あの風で飛ばされることは
ないだろうけれど
よろけて
手すりを超えて
落下することなど
台風の風は
簡単に行ってしまう

台風の時は
歩道橋を渡るべからず

坂を昇ると
塔があって
山があった
枯葉を曹ォ
静かにしている

畳で眠り
風の強さを感じ
雲を見た




我を自然界に帰せ!

せっかくの台風一過
その景を
ほとんど
見ることはできず
想像するしかない
青い空
早い雲の流れ
風の強さで
枝が揺れ
葉がたくさん落ち
足元に枯葉が当たって
飛んでゆく
木の周辺を
いっせいに茶や黄の
または緑の葉が
舞い
青空に
葉の斑点を作っては
遊ぶ景
「ああ空が青い」
と思っては
昨夜の風の轟音を
すでに懐かしく思ってみたり

台風は全部
飛ばしてゆく
体についた
余分なものも
風が吹き始めて
全部
はぎとるように
飛ばして
心身
晴れやかにしてくれる

ふいに
ヘルメットを被った子供
自転車で転ぶ
「大丈夫?」
「はい」

バナナの生活

2017年10月22日 | 生活
一日中
雨はやみそうもない
そう天気予報は言うものだから
傘さして
歩いて
八百屋まで
二房50円のバナナが
軒先に出ていて
このご時世
二房50円で
バナナが買えるという
ささやかではない
幸せ
バナナは
あんがい
腐らないもので
これはありがたい

眠っている間に
台風の雨が強くなっていて
窓の外を見てみると
白いしぶきの雨が
空を
街を白くしていた

買ってきた
トマトジュース缶を飲んで
雨を見ていた




黙して語らずの人

2017年10月21日 | 生活
その人の名前を聞いただけで
何かが動く
その人は
そこにいた
その人がそこにいるだけで
私は強くなる

雨がずっと降っている
けれど
目の前に
4つの青空を見つけた

あの人は見渡す
大きなものを
小さなものを

今日も
宇宙に雨が降る




sea think wave

2017年10月20日 | 生活
新月

うすいの

しろい雨、の、粒
顔に当たる

海-sea

あの人を思えば
言葉を書くことになる
静力の目、は、
黙ってこちらを見つめている
わたしがどうであれ
乱れ、荒れ、もがき、唐黷トも、
あの人は静かの目で、

雨が降る
キンモクセイが香る
あの人は歩きながら
街路樹にさわってゆく
手で
何本もさわってゆく

時に猛烈に怒り
すぐに静まる

あの人を思えば、
言葉を書くことになる
宿命の如く、これ以上、
本当にすることは、ない、と言う

あの人は待っているかもしれない
私の『言葉』
信はこのようにして、
宇宙の志を行わせる。

まるで、海だ。
年月(としつき)……
音なく打ち寄る波だ
生死を超えるかもしれない
この信

---

sea think wave

私は世に生きにくい
正直、絶ちたい時もある
けれど、海が波が打ち寄る以上、
私はハッ(👁)と目覚める。

あの人は花の名前を知っている
私は知らない
あの人は草の名前を知っている
私は知らない
あの人は空の彼方に
波を送る
空は受信箱
あの人は言葉を持たない
ただ行うだけ

---

象、蛇、亀



青空だ

2017年10月19日 | 生活
木はアンテナだ
枝葉を広げて
キャッチする
木の思いも
人の思いも
それは
すべて電気信号なのだけれども

わたしとて
送受信機に他ならない
たいていは
同族の人間との信号交換だ
時々
人間以外とも信号交信している
そんな時は
脳のどっかが
使われている感じだろうけれど
あくまで感じだ


緑の葉が紅くなっている
その過程を見つけた
緑なのに赤みがかって
赤みがかっているのに
まだ緑
変化はきれい
緑と紅の世界からの
息づかいを
聞こうとして

聞えてくるのは
雨の音
緑と紅の葉にも
雨はもちろん落ちてきて
垂れて土に沁み込んで
生態系は街中の
街路樹周囲でも
着実と作られてゆく
恵みの雨は
木に
草に
土に
虫に
微生物に
潤いをもたらす
その様を
見ようとしている

傘をさした
盲いた人
白杖も持って
コンビニ イン

青空だ
午後
元気が戻った
何があったのだろう
わからない
元気になった理由が
わからない
ただハッキリと
世界が変わったこと
スイッチが入ったこと
扉が開いたこと
それだけはわかった





あの家の匂い

2017年10月18日 | 生活
秋の夕暮れ
あの家の
縁側で靴を脱ぎ
まだ誰も来ていないのに
わたしはずいぶん早く
あの家に行った

長い机が6畳間に並べられ
それを見ていた
長い机は並べられ
たくさんの人が座れるようになった
とはいっても
十人いるかいないかだ

長い机は凸凹で
凄く古い
落書きのあとや
傷がたくさん
それでも
先生と奥さんは
丁寧に机にぞうきんをかける
その前に
わたしは座る
ノートを出して
鉛筆も

黒板から
チョークの匂いがしていたし
その家から
いつも消毒剤のような
なんとも不思議な匂いがした
それは古い長屋であっても
清潔感があり
わたしは一番に
そこへ急ぐのだ
その家の
匂いが好きだったから

やがて
豆腐屋がやってきて
人々はボウルを手に持ち
豆腐を買う
その気配を耳で聞きながら
わたしたちは
長い机に座って
先生がチョークで書く
黒板の数式を写す

その家の匂いと
やわらかい先生夫婦の
所作が好きだったから
算数が好きになった
やがて数学が好きになった

わずかな1時間か2時間
あの匂いの中で
わたしは座った
算数には答えがあった
だから好きだった
方程式はもっと好きだった
そこに当てはめれば
すべて解決するのだから

わたしは今でも座っている
あのまだ誰も来ていない
長い机の前で
いい匂いがする家の六畳間で
未来からくる方程式を教わるために