kotoba日記                     小久保圭介

言葉 音 歌 空 青 道 草 木 花 陽 地 息 天 歩 石 海 風 波 魚 緑 明 声 鳥 光 心 思

神戸にゆく

2013年09月30日 | 生活
椅子に座って
ケータイを見ている
たまにこっちを見るのだ

「神戸にゆく」
彼は言った
理由を訊いて
チョコを割って
差し出す
糖分は即効性で
疲労に効く

日進まで戻って
着替えて
新幹線に乗る
「神戸には4回行った」
すでに
帰る場所ではないらしい

迎えの車が来る間
うなだれていた
ケータイを見ていた
目を開けていた
こっちを見た

故郷に帰り
いずれ
また故郷を出る
日々の暮らしは
地味で
華やかにあこがれることはなく
埃だらけになった作業着を
袋に入れて
食べる楽しみだけが
彼を包む

夢を見る
夢は彼を支えない
彼を支えるものは
お金と体

「神戸にゆく」
彼は座って
ケータイを見ている

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水を飲む

2013年09月28日 | 生活
水を飲む
犬が遠吠え
犬に吠える
手すりをつかんで

廊下を走る
大声を出す
水を飲む
そして座る

細い道をゆく
自転車の輪は
いくつも連なって
水を飲む

丘にのぼる
丘をおりる
陽は落ち
夜がくる
水を飲む

わたしたち
話す
あなたは彼に
あなたは彼女に
あなたはわたしに
わたしたち
目に見えるものを
言葉にして
渡し
受け取り
混ぜ
沈殿し
水を飲む

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言葉増し

2013年09月27日 | 生活


「ああ気持ちいい空だなあ」
そう口に出して言ってみると
空と言葉が
僕の中で合成される
空と言葉を合わせると
空のきれいが
五割増し

十割増しになるまでは
子供の声を借りればいい
彼らは空を空と呼ぶ前に
違う言葉で何か言う
「子供って面白いよ」
それどころじゃない
子供の言葉は
詩人の詩の字
「詩の字は、言葉の寺と書くしね」(吉増剛造)
そこで出るのは
「言葉なんておぼえるんじゃなかった」
という詩の冒頭(田村隆一)

「笑う人には笑っといてもらおう」(奥田民生「風は西から」)





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曼珠沙華

2013年09月26日 | 生活


夜半
風の音で
みな
目ざめた

話題は


強い風は台風の影響である
と言う

雲なしの
白青い


風、
幟(のぼり)も
木の枝も
動かす
その具合で
風の強さを目が計る

暑さ寒さは計れても
風の強さは
体感では計れない

北から鳥がやってきて
猛烈な風に乗って
東へ向かった

これからは
みかん

梨がおいしい
きのこも
銀杏も
そんな季節


彼岸花の
茎の潔さ
すっと
立って
すっと
咲いている
彼岸花
この花の
美しさが
やっと
判った

風は
夜になっても
鳴っていた


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混風(まぜ)の街

2013年09月25日 | 生活
この街は
文句なしで
好きだ
ここに
引っ越してきたいくらいに

良い思い出が多すぎて
それはたとえば
廃線になった
駅の名残
それはたとえば
うどん屋
それはたとえば
長く続く
駅までのにぎわいの道
パチンコ屋の隣に
床屋があって
食べ物屋には事欠かない
人はそこそこ猥雑で
それが何より
素晴らしい
整頓されそうで
整頓できない街
どこかほころびがあって
それはたとえば
刺繍入りのスタジャンの
足が
規則起立を蹴飛ばすのだし
それはたとえば
アジアの女性が色めきだって
祖国の原色を
街に持ち込み
鮮やかな絵を
描いてくれる







この水の惑星で
人種が交配する
まぜこぜ
は、
混風(まぜ)
を生み
強い遺伝子を作ってゆく

自衛隊の飛行機が三機
左旋回して
東に向かった
でかい爆音と
近距離の胴体の姿

「みなと君がランドセル買ったんだって」
父が息子に言う
道の声に耳を立て
人が出す言葉に注意する

張り紙は
三浦綾子の「母うんぬん」

言葉
それを
弦楽器と合わせて
朗読される催し

あまちゃんの大吉のセリフ
「線路の脇ががれきの山でも」
「泣くな」
と渡辺えり子が言う
「泣け」
と美保純が言う
本物の言葉を持った人たちの
連ドラだった

僕は歩いた
駅まで
けれど
駅から乗らず
まだ歩きたかった
そして
家まで歩いて帰った

*「混風」は、中上健次の小説の中で、
 「まぜ」とルビがあり、
 そう読ませることから、
 引用しました。
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残暑

2013年09月24日 | 生活
目の見えぬ人が
何人も
右から左へ
左から右へと
ゆく
それを
見ている


残暑
(ようざんしょ)

本山の地下鉄のホームで
あらかわさんに会った
帰り道
後ろ姿で
すぐに判った
「あらかわさん!」
声を出すと
振り返り
笑をぶつけてくる
あらかわさんは
デニムのジャケットを着て
緑区まで帰る

夕方のラッシュ時間
わたしたち
そこそこ話して
切り上げて
違う電車に乗って
家に帰った
あらかわさんの余韻は

二つ三つあたりまで
残っていた
いや
一つ目あたりまで
残っていた
いや
数十秒


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秋分の日

2013年09月23日 | 生活


明け方
雨が降った
その証明を
朝の路面が
静かに言う

煙っているのか
いないのか
灯りがないので
わからない
そこで
弁当を食べた
よこになって
眠った

リズムが
体に馴染んでしまって
ずっと
体が揺れている
歩いている
動かしている
口先は
音を出し
口笛に似た歌

ようこそ
音楽へ!

わたしたち
泣く声を
聞いた

濡れた路面は
夕まで乾かず
秋分の日
暑さ寒さも彼岸まで
の通り
暦は素晴らしい
正確に
時を刻む
けれど
温暖化で
暦の
部分を
書き換えねば

この水の惑星
内部は炎で
燃えている
この星で
この地上で
わたしたち
梨を
シャキシャキと
食らってやった

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サンダル

2013年09月21日 | 生活


彼は九州から来て
名古屋で労働し
ホテルに
泊まっている

夜になると
本社までゆくため
サンダルで歩き出した
けれど
彼の足は
方向を間違え
港まで行ってしまった
「九州男児じゃけ、来た道は戻らん、どんなことがあっても戻らん」
彼は
人に道を訊き
「来た道を戻らないといけない」
と言われ
戻らず
迂回して
その方向に向かった
よって
遠回り
というよりも
うろつき、
「15キロ歩いた、月がきれいやった」
と、
言う
事柄になった

月光の夜道
サンダルで
彼は15キロ歩いて
眠った

東北の詩人は
学校の教師をしていて
夜になると
森の中を走ったという
おそらく
詩人は
たくさんの音と物を
聞き、
見たのではないだろうか
と研究者は書く
帰ってきたのは
明け方だというから
おそらく
かなりの速さで
森を駆けてきたのじゃないだろうか
と記されている


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水を飲む

2013年09月20日 | 生活



月光浴から
目ざめた朝

川のへりにある
ベンチに座り
朝日に向かって
手を合わせる
青年
を発見

彼はメガネをかけ
わずかに
ほころんでいるように
見えた

祈り

彼は
世の風の中で
手を合わせ終え
立つ
ちゃんと立つ
陽光で
光合成して
でんぷんをつくり
彼の足先まで
祈りの栄養を
行き渡らせる
呼吸する
二酸化炭素を出し
酸素を吸う

そして
水を飲む

---

オリオンの死
「星めぐりの歌」
鳴る


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椅子に座る

2013年09月19日 | 生活





青、白、青

バス停の前に並ぶ、
椅子たち
そこに座る、
人や人

ケータイでテレビを見聞きする、
女性
ロッカーが角にある
椅子に座って
ロッカーの側面で
世の風の
盾を作る
後ろは壁だから
世の風は
全面と左側面

朝から夕まで
時に姿を消し(バスに乗車したのかも知れず、また戻ってきたのかも知れず)
椅子に座って
ケータイでテレビを見聞きし、
昼寝の人がそばに座れば
その目の閉じ様を見、
ケータイにイヤホーンを装着し
テレビを見聞きする

黄色い点字ブロックを
東に進む盲の人が登場すれば
声を鰍ッ
椅子にいざなう女性
盲の人の道行きを知ってか知らずか
おそらく
丁寧にバスの運行状況を説明して
しばらくは
ケータイのテレビは見ず、
見ず。

帰る場所
息を出し入れできる場所は
このバス停の前の
椅子
彼女は一日
ここに座り
道行く人を

道行く人に見られ
ケータイでテレビを見聞きする
毎日
おそらく
雨の日も

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中秋

2013年09月18日 | 生活


ゴイサギ、
東へ向かった。

若草山の西、
に、
白い鳥の群、
巻く

若草山の北、
に、
黒い鳥の群、
散り、
飛び、
交う。

夜が迫ってくると、
わたしたち、
梨をひとつずつ、
手渡され、
手の平をいっぱいに、
広げないと、
受けられないほどの、
大きな、
梨。

空の役者が交代する
月、のぼる
山に陽が沈む
月、出て、
夜まで
中秋

季節が変わる

変わる

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2013年09月17日 | 生活


晴天 台風一過

アサガオ

木の人
シンメトリー

輪、
について、
車、
自転車、
輪について、
考えていた、
マンモスの肉を、
運ぶために、
石で作られた、
輪、
あらゆる輪、
まさか
土星の輪

キャベツを
皿に盛って
つまんで食べる

雲なし、
残暑

歌詞を思い出し
足で踊る
リズムの中で
生きている


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夕の散歩

2013年09月16日 | 生活
朝、
風雨の中、
自転車で、
地下鉄まで向かいました。
ちょうど、
7時前ですから、
名古屋付近に
上陸する1時間前。
道行きは、
誰も歩いていず、
誰も自転車に乗っていなかったけれど、
車はちゃんと、
いつものように、
走っていました。

傘が凧の役割をして、
かえって危険ですけれど、
雨も強いのです。
傘が壊れないように、
工夫して持ち、
全部、濡れて、
やっと地下鉄に乗ると、
たくさんの人が、
乗っていました。
中には、労働者でしょう、
「休日、しかも台風なのに、、」
という、
浮かない表情を、
あらわにしている人もいて、
あまりに、
露骨に表情にしているので、
クスッとした、
気分になりました。

労働場では、
傘が飛んできて、
よけました。
けれど、
屋根があったので、
雨の強さや、
風の吹き具合を、
静か気持ちで、
見ることが、
できました。

風は、
近くの公園の横に植えられている、
イチョウの木を、
二本、
唐オたそうです。

帰り道、
途中で地下鉄を降りて、
散歩して、
帰りました。
太陽が出ていて、
夕日が、
木を照らしていました。
彼岸花が、
もう咲いています。
台風は、
たくさんの枝を折り、
自転車を、
横唐オにしました。

帰ってから、
長靴を洗い、
きんぴらごぼうを作って、
食べました。


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台風近し

2013年09月15日 | 生活
台風が来る、
今日は雨だと、
天気予報がいうので、
昨夜のうちに、
食材を買いにゆきました。

日中は、くもりであったり、
晴であったりで、
雨が来るまえに、
八百屋だけ行きました。

2012年、5月5日に、
日本の原発が全部、
とまり、
今日、
また全部の原発が、
とまりました。

夜は、
いよいよ、
台風の風と雨が、
気配を出してきていました。


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台風の風

2013年09月14日 | 生活
昨日も暑かったけれど、
今日も残暑が厳しかったです。
夜でも、
部屋は30度あったし、
まあ、
風があるので、
よくねむれるから、
良いのですけれど。

今日の蒸し暑さは、
台風の影響かな、
と、
スミちゃんと、
話していました。
スミちゃんにも、
久しぶりに会って、
相変わらず、
凄く良い感じです。

以前、
知り合いと、
汚染水漏れのことを、
しばらく話していました。
福島の、
使用済み核燃料の話になり、
「使用済み核燃料って、高温になりすぎてもう使えないんだよ」
などと話していました。
4号機の使用済み核燃料プールって、
どうなんだろう、
と、
話は尽きません。

使用済み核燃料、
という言葉は、
恐ろしいマジックが隠されています。
「使用済み核燃料」は、
「使用済み燃料」
を僕らに想像させます。

それはたとえば、
使えなくなった100円ライター、
それはたとえば、
燃え尽きて、
灰になった炭。
どちらも無害なイメージ。
けれど、
「使用済み核燃料」は、
「冷えている」わけではなく、
まったく逆です。
熱くなりすぎて、
原子炉で発電できないから、
それぐらい、
高温になってしまっているから、
使えない、
ということを、
僕は311以降に知りました。
それが、
何重にもがっちり作られた、
原子炉とは違い、
コンクリートの箱に、
水につけてあるだけです。
福島の、
4号機のプールが、
再度地震がきて、
壊れたら、
という懸念や、
燃料棒を取り出す危険性は、
もう新聞には載っていません。

お昼から、
風が吹いてきて、
やっと、
暑さもしのげました。
「台風の風だね」
スミちゃんは言います。
「そうだね」
僕は言います。
氷にしたペットボトルの水は、
4本持参して、
暑さをしのぐのですけれど、
今日も帰りには、
全部、飲んで、
なくなりました。

おそらく、
台風一過で、
涼しくなると思います。
秋は、
短いので、
たくさん、
秋のことを、
しようと思っています。

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