『たとえばの歌』
日常は川のようです
いろんなものが流れていく
僕は
たまに橋になって見つめる
川自体を見つめるために
たとえば
谷川俊太郎が亡くなったり
風が強かったりする
冬になったり
やわらかい土を思い出す
茶色の帽子をかぶって
日常は川のようです
逆流しないまっすぐだ
「生きてるのが苦しい」
名前を知らない人が僕に言う
僕は何も言わずに
その人は見つめていた
生きても川のようです
夜の中でも流れている
血液みたいなのよ
辛いことも楽しいことも
慣れていく
朝昼夜も川のようです
主張せずに
何十年も動いている寡黙な心臓
動いているのは川のようです
11月22日午前中
先生と
歩く練習をしていた時
突然 急に体が思い出して
歩き方を思い出した
「思い出した! 歩き方 思い出した!」
これもまた
足の血液
または筋肉
または神経
嬉しくて嬉しくて
僕の魂が空に答えていたんです
若く亡くなった篠田さんのこと
そんな人から
篠田さんから
力をもらうことがあるんだね
亡くなった人から
力をもらうってことが
あるんだね
日常は川のようです
いろんなものが流れていく
僕は
たまに橋になって見つめる
川自体を見つめるために
たとえば
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