


写真は、蛾です。
オジが聡怩オていて、
僕を呼ぶので、
行ってみると、
道路と歩道の縁石に、
茶色の葉っぱがくっついていました。
「小久保君、これを見ろ」
見ると、葉です。
「違う。これは蛾だ」
「え」
と拝見すると、
確かに、目が見える、足も。
で、わずかに、動いた。
こんな蛾がいるなんて、
びっくりです。
どう見ても、
これは枯葉です。ほんとに。
それで、何枚か写真を撮りました。
アップしたのは、その中の数枚です。
それで、
職人さんに、
ケータイで撮った写真や、
実物を見てもらうために、
我々は彼らの手をひいて、
導きました。
自然の叡智へ向かって。
で、
自然の叡智、枯葉の如くの蛾を見ると、
「へえ」
と職人は言って、去りました。
彼らはこうも言いました。
「よくテレビでやっているよね、こういうのがいるって」
そして、去りました。
僕とオジはぽつねんと、
枯葉の蛾の傍らに居、
「我々は、今、本物をこの目で見ている、そうだな、小久保君」
「はい」
と答えました。
テレビで、見た、とはなんたる発言。
そんな二次情報を発して、
目に見える、一次情報を一笑するとは、なんたることか。
我々は常に、
フィールドの中にいる。
この目で実際に見て、
その様子を観察したりした方が、
ずっと人生に役に立つというのが、
彼らには判ってはいない。
僕とオジは孤独でした。
なので、
我々は言いました。
「この蛾のように、目立たないよう、気配を消して生きてゆこう」
これを、
哲学と呼ぶのではないだろうか。
違うかもしらん。