西に森あり。
地下鉄の中で読むのは、
震災詩、和合亮一さん。
宮澤賢治が放った言葉の、
引用が、
最初のほうに、
二回か、
三回、
出てきて、
繰り返される賢治の言葉が、
和合亮一さん、
に、
力を与えて、
いた、
ように、
思えて、
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道路、
何かと思ったら、
蝶の影。
大きい家に住んでいる人もいれば、
小さい家に住んでいる人もいる。
「木道」
御輿を担ぐみたいに、
メ[タブルトイレを、
担いでいた、
垂れる尿があるのか、
臭うのか、
男たちの笑いが天に昇り、
メ[タブルトイレは、
しばらく御輿となって、
担がれ、揺れる。
歓喜が、
火柱のように、
空へまっすぐ、
昇っているのを、
聞いた。
夜の始まりの時。
喫茶店のない街、
地下鉄のホームの、
白い椅子に、
僕らは座って、
98円の缶コーヒーを飲んで、
いた。
ずっと、笑っていた、
女子高生のように。
あまり、
大声で笑ってしまうものだから、
注意して、小声にしたけれど、
笑は大笑となり、
キリもなく、
続いていた。
何度、
地下鉄は、
通り過ぎていたのだろう、
誰が乗り降りしていたのだろう、
僕らは何も聞かず、見ず、
くだらない話を、
ずっと。