父と朝、海へ。
父、家に戻る。
激しい。
こんなに激しい熊野灘を見たのは、
初めて。
「台風の時のようだ」
と父、発す。
昨夜、雨が強く降って、
今朝、風が強い。
携帯で何枚も写真に収め、
ムービーものべ、9分は録画。
激しい波を見ていると、
ああ、こんな小説が書きたい、と思った。
凄い海を飽きずに見入り、
拍手をして、頭を垂れて、熊野に伏せた。
睡眠、うなぎ屋、市役所、Mさん、。
井戸側沿いを山に向いて、自転車で走る。
時は昼過ぎ。
空は青く、ひどく落涙。
この時、また熊野が僕を動かしているという実感に、
打たれていた。
場所は、100円ショップを過ぎたあたり、
必死に場所に向かう僕をうながすのは、
僕の力ではない。
熊野が僕を間違いなく動かしている。力を与えている。
用事は、僕を通じて、熊野がしようとしている。
そういう実感の瞬間、人は激しく、人目はばからず、声を出して泣く。
「熊野父」と発す。
ほうほうほうと鳴く鳥よ、
叩いて飛ばせ彼方まで。
(空の青さよ、我を叩け、叩いて飛ばせ彼方まで)。
と胸で言葉が響いていた。
今回の熊野は、
今まで体験したことのない、
言い知れぬ、霊力の凄さを、
この身で感じ、実際、動いているのは僕なのですけれど、
動かされている、という感の充実に、感極まり、の時時。