お正月にお墓参りをした
乳母が夢に出てくる
細い道を通ってきて
わたしたちのところまで
歩いてくる
紫系の美しい服を着て
きらびやかでありながら
シンプル
乳母はこんなにおしゃれではなかったはず
そしてわたしに
「No Problem?」
変わらず
しゃれっ気のある陽気な
乳母は
にこにこして
夢の中で
わたしを励ました
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樹木希林さんの演技は
現実にはあり得ない
虚構の中のリアリズム
こういう俳優さんは
稀有
すごいと思う
いつだったか
角田光代原作の
八日目の蝉で
「その子はまだ朝ご飯を食べてないの」
と
ラストシーンで言うところがある
あれも現実にはあり得ないセリフ
小説言語
樹木希林さんの演技も
同じ
最初からの才能もあるだろうけれど
それだけではないはずだ
人を観察し
思考し
生活に活かす
いつだったか
笑っていいとも
に樹木希林さんが出たとき
詩人の名前を言っていた
言葉の番組も自ら主演していた
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飛べずの蝶
木の下へ移す
郵便局の場所を聞かれ
答えた
その人が戻ってきて
ありがとうございました
と言った
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道の草に気づく
小さな草に気づく
なぜ
今まで
見過ごしてきたのだろう
いつも見ていたはずなのに
それは詩人
伊藤比呂美が
詩人
石垣りんを
見過ごしてきて
今になって
発見(遭遇)
または
『ぶつかり』
石垣りんに注目することに
似ている
何故
今まで!
伊藤比呂美が
石垣りんに接触してこなかったことを
知った時
さすがに驚いた
素晴らしい詩人が
素晴らしい詩人を
見過ごしてきたということ
その歳月
そして
今
伊藤比呂美は
石垣りんに接触している
それが面白い
遅れたからこそ
「今」なのだ
伊藤比呂美はついている
『あん』
見る