鈴木法相は2月10日、自動車運転処罰法が規定する危険運転致死傷罪の要件見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。
検討されるのは、規定が曖昧との批判が出ていた高速度と飲酒の数値基準新設と、タイヤを滑らせる「ドリフト走行」の対象追加。
法制審で新たな規定に関する議論を続け、結果がまとまり次第、法務省は改正法案を国会に提出する。
現行法は高速度の要件を「進行の制御が困難」、飲酒を「正常な運転が困難」と規定するが、具体的な数値の定めはない。
悪質な運転による事案でも、最高刑20年の危険運転ではなく、同7年の「過失運転」と判断されるケースがあり、遺族らから見直しを求める声が上がっていた。
法務省は有識者検討会を設置し、2024年2月に議論を始めた。
2024年11月にまとめた報告書で、要件明確化のため数値基準の設定が考えられると提言。
委員からは、速度について「最高速度の1・5倍や2倍」との意見があったほか、飲酒は血中や呼気のアルコール濃度で判断する案が出た。
京都府八幡市で2013年に起きたドリフト走行が絡む5人負傷事故で、危険運転の罪が裁判で認定されなかった事例も検討し、処罰対象へ追加する案を示していた。
法制審では今後、道路の形状や運転手の体質といった個別事情にかかわらず、危険運転と判断できる数値基準をどのように設定するかが焦点になる。
数値を下回った場合に対象外となるのかどうかも議論になりそうだ。
2月10日の法制審では、オンラインのみの「バーチャルオンリー株主総会」を開催する要件の緩和や、従業員に対する株式の無償交付を軸とする会社法の見直しも諮問された。
商慣習として定着する「譲渡担保」に法的裏付けを与える要綱の答申もあり、法務省は今国会に関連法案を提出する方針。
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