広島大病院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」では、変形に病気が隠れていなければ、ヘルメットを使った矯正治療に取り組んでいる。
中四国を中心に九州からも患者が訪れ、外来開設から2年で544人が受診。
後頭部が平らな「絶壁頭」などの改善が期待される。
入浴時以外は装着ヘルメット治療に保険は適用されず、オーダーメードのヘルメット費用と診療などで約50万円かかる。
赤ちゃんの頭の変形は、左右が非対称の「斜頭症」、後頭部が丸みを帯びず平らな「短頭症」、頭が前後に長い「長頭症」がある。治療では頭を3Dスキャンし、矯正したい形のヘルメットを製作。
月1回の通院時に、内側のクッションを成長に合わせて薄いものに張り替える。
装着している時間が長いほど効果が上がるため、入浴時以外は着けたまま生活するのが基本になる。
開始時期が重要に治療期間は約半年。
改善は症状や治療の開始詩期で大きく異なるが、生後3、4ヵ月が最も効果が大きく、6ヵ月以内に治療を始めるのが望ましい。
外来を担当する脳神経外科の山崎准教授は「生後3ヵ月以下の赤ちゃんは改善する可能性が高い。 治療するなら、中でも短頭症、長頭症は早めに始めて」と話す。
ヘルメット治療は1990年代に米国で始まった。
同病院では、頭蓋骨の成長が著しい生後2~7ヵ月の赤ちゃんを対象として2022年8月に外来を新設。
これまで受診者の半数271人がヘルメッ治療を受けた。
同病院で扱うヘルメットはジャパン・メディカル・カンパニが開発。
これまで約1万5千人分を製作してきた。
外側は高強度樹脂を使ったプラスチック、頭に触れる内側は低反発クッション
で、計140グラム前後と軽量。
通気性に優れて蒸れにくく、水洗いもできるという。
ただ、注意が必要なのは「頭蓋縫合早期癒合症」という病気が隠れていないかということ。
頭蓋骨は7パーツに分かれ、赤ちゃんの時にはそれぞれに隙間がある。
それが通常よりも早く閉じてしまう病気だ。
脳の成長が妨げられる恐れがあり、手術が必要なケースもある。
同病院ではまず頭蓋骨を超音波検査して病気の有無を確認する。
発達の遅れが向き癖の原因になっていることもある。
同病院では脳神経外科と小児科だけでなく、リハビリテーション科が緊密に連携。
軽度のゆがみは、寝かせる際の頭の向きなど積極的な体位変換で改善させる。
山崎准教授は「まずは病気の有無を調べるのが重要。頭の形が気になったら
1ヵ月、3ヵ月健診などで相談して」と話している。