希望&夢

希望や夢あふれる社会になるといいな!
明日や将来のことを思うと、おもわずぼやいてしまいます。

飲む中絶薬を「了承」 妊娠9週0日まで対象

2023年01月30日 | 医療

人工妊娠中絶のための飲み薬について、厚生労働省の専門家部会が1月27日、「薬事承認して差し支えない」と判断し、承認を了承した。

社会的な関心も高いことから、今後パブリックコメントを実施し、正式に決める。国内では現在、手術による中絶しかないが、妊娠初期であれば飲み薬での中絶も選べるようになりそうだ。

製品名は「メフィーゴパック」。

妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」を組み合わせて使う。

対象は妊娠9週までの妊婦。

英国の製薬会社ラインファーマが2021年12月に厚労省に承認申請していた。

国内の治験には、妊娠9週までの18~45歳の中絶を希望する女性120人が参加。

112人(93・3%)が、24時間以内に中絶に至った。

71人(59・2%)は治験中に有害事象(接種後に起こるあらゆる好ましくないできごと)が確認され、このうち45人(37・5%)は薬と因果関係がある副作用とされた。

いずれも回復し、9割以上が軽度か中等度だった。

下腹部痛(30・0%)や嘔吐(20・8%)などだった。

飲む中絶薬は、1988年に世界で初めて承認され、現在は80カ所以上の国・地域で使われている。

今回の製品はカナダとオーストラリアで承認されている。

日本でも薬の早期の承認を求める声は高まっていた。

世界保健機関(WHO)は2012年に発表したガイドラインで、妊娠中絶の「安全で効果的」な方法として、吸引法か中絶薬を推奨している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電子処方箋 全国で開始 一元管理 重複投薬を防ぐ

2023年01月24日 | 医療

紙の処方簾を電子化し、医師と薬剤師がオンラインでやりとりする「電子処方箋のシステム運用が、1月26日から全国で始まる。

処方履歴がサーバーに一元管理され確認しやすくなるため、複数医療機関からの重複投薬や、飲み合わせの悪い薬の処方を防ぐことが期待される。

厚生労働省によると、利用はシステム導入済みの施設に限られる。

同省は対応できる医療機関と薬局の一覧をホームページで公開しており、1月15日現在で広島、山ロなど30都道府県の計178施設。

他に約3万施設が導入申請中で順次、拡大していく見通しだ。

システムでは、電子処方簾利用に患者が同意すれば、医師が処方簾の内容をサーバーに登録。

患者が薬局でマイナンバーカードか健康保険証を提示すると、薬剤師がデータを確認し薬を渡す。

重複処方などがあれば医師や薬剤師が通知を受け取れる機能がある。

薬剤師は調剤結果をサーバーに入力する際、気になる点をコメントとして記載することができる。

医師が次の診断時などに確認すれば、両者のコミュニケーションも円滑になりそうだ。

患者は、マイナンバーカードの取得者向けサイト「マイナポータル」で、処方された薬の内容を確認できる。

厚労省は昨秋から広島市安佐南、安佐北区を含む全国4地域約40施設で試験運用をしてきた。

年末までの約2ヵ月間で処方笑の登録処理が計10万4105件あり、うち3812件で重複処方などを検知したという。

同省担当者は「それぞれの詳細を調べ、導入効果を検証していく」としている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人工冬眠 実用化なるか 臓器損傷防ぎ人命救助に

2023年01月12日 | 医療

本来は冬眠をしないマウスに薬品を投与すると、しっぽが下がり動きが鈍くなった。

体温と心拍数は低下したが、脳や臓器は機能を維持している。

人工的な冬眠状態を作り出した瞬間だ。

筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢機構長は人間に応用し、不慮の事故や病気に遭った人の命を救おうとしている。

人工冬眠の発見は偶然だった。

2017年秋、同機構の桜井武教授の実験室でマウスの脳にさまざまな刺激を与え、反応を調べていた。

大学院生が1匹のマウスが冷たくなっているのに気付いた。

「死んでしまったのかな」。

詳しく調べると、体温は室温と同じ約20度まで低下していた。

回数は少ないが心拍も呼吸も確認できた。

刺激を与えるのをやめると体温も元通りになって動き始めた。

実験を重ね、マウスの脳に特定の遺伝物質を注射した上で薬品を投与すると、冬眠状態にできることが分かった。

動物は冬眠するものとしないものがある。

体温を一定に保つことができる哺乳類もツキノワグマやシマリス、キツネザルの一種などが冬眠する。

桜井教授は「人間を含む哺乳類全体に冬眠する潜在能力があるかもしれない」と説明する。

治療の時間稼ぎ冬眠すると体内の酸素供給は減るのに、脳や臓器は損傷せず、筋肉は衰えない。

人間が事故や心筋梗塞などで心臓が停止し、体内の酸素が不足する危機に陥ったとしても、救急処置の際に冬眠状態にできれば、脳や臓器の損傷を抑えられる。

治療を始めるまでの時間稼ぎができ、後遺症は格段に減りそうだ。

難病になった人が治療法や新薬ができるまで、人工冬眠で待つことも考えられる。

ただ人間を冬眠状態にするにはハードルがたくさんある。

マウスのように脳に遺伝物質を注射することはできないため、人工冬眠のメカニズムを解明し、薬を投与するだけで冬眠状態にする必要がある。

2030年までに薬のもととなる化合物を見つけ、サルを薬の投与によって人工冬眠させるのが第一の目標となる。

サルで安全性を確認し、2040年までに人間を安全に冬眠状態にしてけがや病気の進行を遅らせ、死亡率や後遺症の削減を目指す。

惑星探査可能に人間を安全に冬眠状態にできれば、新しい研究テーマヘの扉が開く。

柳沢機構長は「もし人も長期間冬眠できれば、宇宙での惑星探査が可能になるかもしれない」と真剣な表情で語る。

冬眠状態にすると老化の速度が遅くなるかどうかは分かっていないが、実際に確認できれば寿命を飛躍的に延ばせるようになる。

人工冬眠によって到着まで何十年もかかる宇宙を旅行する、SF映画のような世界が夢でなくなるかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

視力矯正手術ICL 年齢によっては術後すぐ老眼鏡のリスクも

2022年12月09日 | 医療

ICLとは有水晶体眼内レンズ挿入術といって、天然のレンズである水晶体を残したまま、眼内に小さな人工のレンズを埋め込む視力矯正術のことだ。

角膜を削るレーシックと異なり、角膜が薄い人でも可能なうえ、不具合があれば再手術もできる。

こうした柔軟さから、受ける人が増えている。

ただし、受けるのであればリスクもある。

40代以降の人は老眼リスクと相談して判断を

「術後にばい菌が入って感染症や合併症などのトラブルに見舞われることもゼロではない。

いつまでも目がゴロゴロするといって受診するケースもあり、神経質な性格の人には不向きかもしれない。

またハローグレア現象といって夜間に光のにじみやまぶしさを自覚することがあり、夜間に車の運転をするような職業の人は慎重に検討したほうがいい。

また年齢の問題もあるという。

「230代であれば従来のICLを受ける恩恵は十分にあると思うが、40代で手術を受けた場合、数年で老眼がきてしまう可能性が高い。

そうすると老眼鏡が必要となり、裸眼生活は終わってしまう。

一方、すでに老眼になっているのであれば、老眼対応の遠近両用レンズを装着するICLという選択肢もあるという。

オーダーメードなため、費用は通常のICLよりは高くなるが、メリットは同じ。

高齢になっても、老眼鏡なしに日々をアクティブに過ごしたい人にはいいだろう。

老眼を自覚する年齢は45歳が平均だといわれる。

この年齢に近く、まだ老眼を迎えていない人は、様子を見たほうがいいかもしれない。

費用の目安は、レーシック同様に保険適用外で、手術費用は全額自己負担となる。

60代や70代など、高齢になると白内障になる可能性が高い。

白内障の手術は水晶体を取り除いたうえで、眼内にレンズを入れるというもの。

この手術は保険が適用され、1割負担の人であれば1万5千円程度。

費用の負担が軽いですから、白内障手術を視野に入れ、50代以降の方はICLを見送るという選択肢もある。

ICLと、遠近両用ICL、レーシックのメリットとデメリット、費用の目安を理解したうえで、慎重に判断しよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高齢施設入所者 66%コロナ入院できず

2022年12月07日 | 医療

新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るった今夏の流行「第7波」で、東京都内の高齢者施設に入所中に感染し、施設側が入院を要請した人のうち66%は病床逮恋などで受け入れ先が見つからなかったことが12月4日、東京都高齢者福祉施設協議会の調査で分かった。

入院調整中に計17人が死亡。

外部医師の往診を利用した施設は14%にとどまった。

11月以降、各地で再拡大の兆候が顕著になり、専門家は「第8波の入り口にある」と指摘。

クラスター(感染者集団)発生に備え、協力医療機関の確保や、施設内療養の態勢整備が課題となる。

調査は9月にインターネットで実施。

東京都内の特別養護老人ホームや養護老人ホームなど計571ヵ所のうち、273ヵ所から回答を得た。

7~8月に入所者が感染したと回答したのは159施設で計1795人。

症状別では重症が86人、中等症が500人。

軽症でも持病などを抱え、重症化リスクが高い人がおり、施設側が保健所に入院調整を依頼したのは計869人だった。

このうち入院できたのは299人(34%)で、残る570人(66%)は受け入れ先が見つからなかった。

施設内で36人が死亡。

うち入院調整中は17人だった。

感染者がいた159施設に保健所の対応を尋ねると「軽症者は入院対象にはならないと説明された」(43%)、「中等症以上でも入院は難しいと言われた」(28%)。

職員自身が感染したケースも多く、85%の施設が困った点として「職員の確保(人員不足)」を挙げた。

外部医師の往診を利用したのは22施設(14%)だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子宮移植 慶応大が計画申請 承認されれば国内初の実施へ

2022年11月26日 | 医療

移植により、生まれつき子宮のない女性らの出産に道を開く臨床研究が本格化する。

慶応大の阪埜准教授のチームは11月24日、親族からの子宮移植の計画を学内の倫理委員会に申請した。

審査で承認されれば、国内初の移植手術が実施される。

子宮移植を巡っては、スウェーデンや米国など海外では2022年11月時点で約100件の実績があり、約50人の赤ちゃんが誕生している。

倫理委の審査が順調に進めば、チームは2023年度にも移植手術をする。

計画によると、3例の手術を予定している。

生まれつき子宮のない「ロキタンスキー症候群」だったり、手術で子宮を摘出したりした20~30代の女性が対象。

夫がいることが条件で、子宮を提供するドナーは女性の母親など親族に限る方針だ。

女性は子宮がなくても卵巣に問題がなければ、正常な卵子を得られる。

臨床研究ではまず、女性の卵子とパートナーの精子で体外受精をさせてから、子宮移植に進む。

周期的な生理が起きるなど子宮が機能するようになれば「移植手術の成功」と評価する。

その後、子宮に受精卵を移植し妊娠、出産ができるかを確かめる。

移植だけでなく妊娠も成功すれば、2024年度にも国内で初めて子宮移植によって出産する可能性がある。

2人目以降の出産を希望しない限り、出産後は子宮を摘出する。

費用は1件あたり数千万円かかる。

一部は女性側が支払い、残りは慶応大が負担する見込みという。

チームはこれまで、カニクイザルの子宮を別のサルに移植し、妊娠と出産をさせることに成功するなど基礎研究に取り組んできた。

チームの木須助教は「動物実験などを通じ、技術的には問題はないと考えている。

ようやく日本でも子宮のない女性の希望をかなえられる段階にきた」と話す。

国内ではロキタンスキー症候群だったり、がんなどで子宮を摘出したりした女性は20~30代で5万~6万人いると推計されているが、移植の例はない。

子宮移植はドナーや手術を受ける女性にリスクがあるにもかかわらず、生命の維持が目的ではないため、倫理面の懸念を指摘する声もある。

そこで、日本医学会の倫理検討委員会が議論し、関連学会が移植の実施状況を監視することなどを条件に、移植を容認する報告書を2021年7月にまとめた。

この委員会は、慶大の臨床研究を念頭に置いた判断をしていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胃ろう高齢者 保菌率高まる 薬剤耐性菌対策急務

2022年10月27日 | 医療

広島大などの研究チームは10月25日、栄養をチューブで胃に送る胃ろうをしている介護施設の高齢者は「薬剤耐性菌」を保菌しやすい、との調査結果を発表した。

胃ろうの有無で保菌率は便で2倍、口内で5倍の差が出た。

抗生物質(抗菌薬)が効かない薬剤耐性菌が増えると感染症治療が難しくなるため、介護施設での対策が急務と提起している。

調査は広島県内の特別養護老人ホームと介護老人保健施設の計6ヵ所、計178人を対象に実施。

便の中に耐性菌がいる割合を調べたところ、胃ろうありの人は78・3%、胃ろうなしの人は39・8%だった。

ロの中の保菌率はそれぞれ21・7%、4・1%だった。

研究チームによると、病院では使い捨てるチューブを、介護施設では洗って繰り返し使うケースがあり、洗浄の過程で他人のチューブに耐性菌が付着することが考えられるという。

感染対策をすれば診療報酬が加算される医療機関と比べ、介護施設は財源が乏しいことが背景にあるとみる。

広島大病院感染症科の大毛教授は「介護施設の高齢者に耐性菌が広がれば、入院時に医療機関に菌が持ち込まれ、まん延するリスクが高まる」と指摘。

チームは今後、施設向けの感染対策ガイドを作るほか、医療機関との連携で施設の対策を強化する施策を国に提案したいとしている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インフル診療 ネットも コロナ同時流行へ対策

2022年10月16日 | 医療

厚生労働省は10月13日、冬場に新型コロナウイルスとインフルエンザの大規模な同時流行が起きた場合の対策を発表した。

逼迫を防ぎ、高齢者らに優先して医療を提供するため、リスクに応じた外来受診の流れを明示。

重症化リスクが低い人には新型コロナの検査キットやインフルエンザのオンライン診療の活用を促す。

ピーク時には1日に計75万人の患者が発生することを想定して準備する。

発表に先立ち、岸田首相は政府の検討会議で「先手先手の準備が必要だ」と強調。

ワクチン接種や保健医療体制の拡充を進めると述べ、日本医師会などに協力を呼びかけた。

海外の状況などから今冬は同時流行が起こる可能性が指摘されており、政府は、最大で新型コロナの患者が1日当たり45万人、インフルエンザの患者が30万人発生することを念頭に対策を策定した。

同時流行が発生した場合、重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患がある人、妊婦、小学生以下の子どもは発熱外来の速やかな受診を推奨する。

重症化リスクが低い人は、新型コロナの検査キットで自己検査を行い、陰性だった場合はオンライン診療やかかりつけ医の活用を促す。

必要に応じてタミフルなどの抗インフルエンザ薬も処方する。

陽性時は健康フォローアップセンターに登録、自宅療養に入る。

症状が重く感じる場合は、自己検査を受けなくても発熱外来を受診できる。

対策を実際に導入するかどうかは、地域ごとの流行状況を見ながら、最終的に自治体が判断する。

このほか、重症化を防ぐために新型コロナとインフルエンザのワクチン接種を推進。

同時流行に備えて、電話診療やオンライン診療体制の強化を図る。

自己検査に必要な新型コロナの検査キットは約2億4千万回分を確保した。

インフルエンザの検査を行わなくても、電話やオンライン診療による医師の診断で、抗インフルエンザ薬の処方が可能であることも周知する。

ただ、医師が適切に診断できるかどうか懸念する声もある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エーザイ アルツハイマー病新薬 悪化抑制を確認

2022年09月30日 | 医療

製薬大手エーザイは9月28日、記者会見を開き、米バイオジェンと開発中の認知症のアルツハイマー病に対する新薬「レカネマブ」について、最終段階の臨床試験(治験)で症状の悪化を抑制する効果を確認したと発表した。

日本で本年度申に承認を申請し、2023年中の承認を目指す。

レカネマブは、病気の原因とされる脳内に蓄積して神経細胞を壊す「アミロイドベータ」の除去を狙った新しいタイプの薬。

国内ではこれまでに症状を和らげる薬は実用化されているが、原因に直接働きかけ、進行を遅らせる薬は承認されていない 。

会見した内藤最高経営責任者(CEO)は「介護負担が軽減されるなど、前向きなインパクトを社会にもたらすと期待する」と述べた。

治験は日本や欧米、中国でアルツハイマー病早期患者の1795人を対象に実施。2週間に1回の静脈注射でレカネマブを投与したグループと偽薬のグループを比較した。

開始から1年半後、記憶や判断力などの認知機能や身体活動などを総合的に調べた結果、レカネマブのグループでは、症状の悪化が乱%抑制された。

効果は開始半年から確認。

画像検査では投与された12~17%に、副作用とみられる脳の浮腫や出血などが確認されたが、多くは無症状かつ一時的なもので、制御可能という。

両社は先行して似た仕組みの治療薬「アデュカヌマブ」を開発したが、厚生労働省専門部会は昨年12月、有効性を明確に判断するのが困難として承認を先送りした。

レカネマブはその後続薬。

アミロイドベータにより効率的に働きかけることが特徴という。

レカネマブは昨年12月、米食品医薬品局(FDA)で迅速審査の指定を受け、審査中。

両社は米国や欧州でも2023年中の承認を目指している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月から75歳以上の医療費2割負担 370万人対象

2022年09月23日 | 医療

75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、原則1割となっている窓口負担が10月1日から変わる。

新たに2割負担の枠が設けられ、単身で年収200万円以上など一定の収入がある人が対象となる。

全加入者の20%に当たる約370万人が該当する見込みだ。

高齢者も負担能力に応じて支え手になってもらう「全世代型社会保障」の一環だが、物価が上昇している中、対象者にとつては家計の圧迫要因が加わることになる。

「受診控えを招く」との懸念も出ているが、厚生労働省は3年間、配慮措置を設け「負担が単純に2倍になるわけではない」と理解を求めている。

後期高齢者医療は2008年度の制度開始時から窓口負担を原則1割としてきた。

現役並み収入がある約130万人(単身で年収383万円以上など)は、既に3割負担になっている。

10月から2割負担となるのは、世帯内の75歳以上のうち最も収入が高い人の課税所得が28万円以上であることが前提。

その上で、単身なら年金とその他の所得が計年200万円以上、夫婦など複数人世帯は320万円以上が該当する。

厚労省は対象者の平均負担額は現在の年8万3千円から11万7千円に増えると試算する。

ただ2025年9月末までは月ごとの負担増を最大3千円にとどめる配慮措置があるため、平均負担額は年10万9千円に抑えられる見込みだとしている。

配慮措置は入院を除く外来医療が対象で、窓口負担の増加額が3千円を超えた場合、超過分の支払いは求められない。

複数の医療機関にかかって1ヵ月の合計負担額に超過があれば、口座に払い戻される。

口座が未登録の人には順次、申請書が届く。

2割負担の導入は2021年6月に成立した法改正で決まっていた。

75歳以上の医療給付費は約4割を現役世代の保険料で賄っており、今回の見直しで現役の負担は2025年度に年830億円抑えられる見通し。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大病院 紹介状なし初診 10月から7000円

2022年09月17日 | 医療

患者が地域の診療所や中小病院からの紹介状なしに大病院を受診した場合、診察代とは別に求められる追加料金が、10月から引き上げられる。

初診は現行の5千円以上から2千円増の7千円以上となる。

厚生労働省は、重症者らへの専門治療を担う大病院に患者が集中するのを防ぎ、軽症なら診療所などの身近なかかりっけ医の受診に誘導し、医療機関の役割分担を加速させる狙い。

厚労省によると、対象は大学病院など87の「特定機能病院」や、病床が200床以上あり地域の中核となる約640の「地域医療支援病院」。

このほか200床以上あり、がん治療など専門的な外来診療を行う病院支覆、各都道府県での協議を経て対象とする。

この仕組みは2016年度に始まった。

現行では紹介状を持たない患者(救急を除く)は、窓口で負担する診察代に加えて初診時に5千円以上、再診時には2500円以上を支払う必要がある。

今年10月からは初診時7千円以上、再診時3千円以上に、それぞれ引き上げる。

患者の「大病院志向」が根強く、診療に追われる勤務医の負担も重いままのため、増額で解消を図る。

追加料金の増額は大病院の利益増加が目的ではないため、紹介状がない患者の初診時には、医療サービスの対価である診療報酬から、増額分の2千円を差し引く。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脳梗塞治療へ 幹細胞を投与 自分の頭蓋骨片使う

2022年09月10日 | 医療

広島大大学院医系科学研究科の堀江教授たちのチームは9月7日、脳梗塞患者の頭蓋骨片から培養した幹細胞を本人に投与し、脳の修復を図る再生医療の臨床研究1例目を実施したと発表した。

世界初の取り組みという。

まひや言語障害などの後遺症を軽減する効果や安全性を確かめ、脳梗塞の新しい治療法の確立を目指す。

幹細胞は約4週間かけて約1億個まで増やす。

一例目は広島大病院で治療中の患者で、8月、静脈に培養した幹細胞を点滴で投与し化し神経組織の回復を助けるため、リハビリ単独よりも後遺症を軽減できるとみている。

中等症以上の患者を対象とし2023年末までに、計6例を目標に臨床試験を続け、効果を検証する。

脳梗塞の患者は脳が腫れて死に至る危険がある場合、脳圧(頭蓋内の髄液の圧)を下げるために開頭手術を受ける。

研究チームは、この際に外す頭蓋骨から骨片を採取して幹細胞を培養すると、腸骨から骨髄液を取って幹細胞を培養するより運動機能の回復効果が高いことを動物実験で確認。

患者への臨床研究につなげた。

研究チームの弓削教授(生体環境適応科学)は「職場に復帰したいと願う患者の希望に添えるような医療にしていきたい」と話している。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

介護負担見直し議論へ 2割対象拡大を主張

2022年08月14日 | 医療

厚生労働省は3年に1度の介護保険制度の見直しに向け、秋から議論を本格化させる。

高齢化の進展で介護費用が増大する中、サービス利用者の自己負担増に踏み込むかどうかが焦点となる。

財務省は2割負担の対象者拡大を主張するものの「高齢者の生活が苦しくなる」と批判する意見もある。

政府は年内に結論をまとめ、来年の通常国会に改正法案を提出する。

介護サービス利用時の自己負担時は2000年の制度は発足以来、原則1割となっている。

ただ「高齢者でも高所得者には相応の負担を求める」との考え方が強まり、2015年から年収280万円以上(単身で年金収入だけの場合)は2割とした。

このうち現役並みに所得が高い人は2018年から3割に引き上げた。

要介護認定を受けている人のうち、1割負担の人は90%以上を占めている。

財務省は所得基準を下げ、負担が1割の人の一部を2割に引き上げることや、原則2割を提言している。

2019年の前回見直しの際にも厚労省審議会の部会で対象拡大を議論したが「生活に深刻な影響を与える」として見送られた。

サービス利用時に必要なケアプラン(介護計画)作成に利用者負担を導入することも検討するが、利用者らから反発が強く、実現するかどぅかは不透明だ。

このほか、介護業界の慢性的な人手不足への対応、認知症施策や、要介護1、2の人の生活援助サービスを国の事業から市区町村に移行する案も議論する見通し。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイナカードで 受診状況把握へ 頻回受診防止 

2022年07月24日 | 医療

厚生労働省は7月22日、生活保護受給者が自己負担なしで医療を受けられる「医療扶助」を巡り、自治体の福祉事務所が受給者のマイナンバーカードを活用して受診状況を把握する方針を明らかにした。

一部の人が頻繁に受診する「頻回受診」を防ぐのが目的で、同日の検討会で示した。

現在、生活保護受給者は福祉事務所から発行を受けた紙の「医療券」を医療機関に提出しているが、政府はマイナンバーカードを使ってオンラインで本人確認などをする仕組みを2023年度中に導入する。

頻回受診への対策は今も行っているが、受診実績を確認するのに時間を要し、指導まで数力月かかっている。

新たな仕組みを用いれば、受診実績が日々確認きるようになり、必要に応じて指導などを行うことが可能になるとしている。

検討会では「状況の変化に気づきやすくなる」として新たな仕組みに期待する声が出た。

一方、「適正な受診まで抑制してはならない」とくぎを刺す意見もあった。

厚労省は今後、マイナンバーカードを取得して紙の医療券から切り替えるよう受給者に促す方針。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

潰瘍性大腸炎で移植研究 患者の正常な粘膜培養した細胞の塊利用

2022年07月09日 | 医療

大腸に慢性の炎症が起きる難病「潰瘍性大腸炎」の患者に対し、患者自身の正常な大腸の粘膜を培養して作った細胞の塊を移植する臨床研究を1例実施したと、東京医科歯科大のチームが7月7日、発表した。

こうした再生医療の試みは世界初としている。

今後1年間、安全性を確認する。

潰瘍性大腸炎は下痢や腹痛、発熱などの症状が出る原因不明の難病で、国内に22万人以上の患者がいると推計される。

症状を和らげる薬はあるが、効かない患者もおり、根本的な治療法はない。

チームは、患者の正常な大腸の粘膜を内視鏡で採取し約1ヵ月間培養。

幹細胞など複数の細胞からなる直径O・1~O・2ミリメートルの球状の塊を大量に作製し、患部に約O・2ミリリットル投与した。

その後、上から生体内で分解するシートをかぷせて固定。

患者自身の組織を使って傷んだ粘膜の修復を図る。

開腹手術は必要ない。

移植したのは7月5日で、経過は順調という。

既存の薬が効きにくい患者を対象に、従来の薬と併せて治療する。

今後1年半でさらに7人に移植する予定。

この研究がうまくいけば、小腸と大腸を中心に消化管に慢性炎症を起こす難病「クローン病」の治療にもつながると期待される。

チームの渡辺・同大副学長は「患者自身の3次元の細胞塊を直接移植するという治療は、世界で初めて。

1回の投与で患部の修復が見込まれる」と話している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする