ラピダスが国産化に挑む次世代半導体が軌道に乗るまでには資金、技術ともまだまだ高い壁がある。
かつて半導体の主な用途が家電製品だった時代に世界を席巻した日本勢は、パソコンやスマートフォンといったデジタル化の波に乗り遅れ衰退した。
その二の舞いを避けられるのか、米IBMとも連携して進める半導体立国復権への取り組みは正念場が続く。
「パイロット(試作)ラインの第一歩はめどが立ちつつある」。
ラピダスの小池社長は4月2日、東京都内で開いた記者会見で、経済産業省からの計1兆円に迫る支援の意義をこう強調した。
経産省幹部も「試作まではうまくいくと思う」と指摘する。
ただ量産には5兆円の投資が必要とされ、残り4兆円規模の巨額の資金をどう調達するのかはこれからだ。
小池氏は「きちんとした技術があることを証明していく」と述べるにとどめた。
量産技術が確立できたとしても、生産を受注できなければ事業は成り立たない。
これまでにラピダスが生産受託の候補企業として公表したのは、人工知能(AI)向け半導体を手がける米新興企業テンストレントの1社のみで、取引先拡大が欠かせない。
ラピダスは今回初めて「後工程」への支援を取り付けた。
受注の機会を増やす狙いがある。
ただ海外には後工程専業の事業者がおり、後発組となるラピダスが対抗できるのかも未知数だ。