8月のジュネーブ軍縮会議で核兵器廃絶を訴える予定だった日本の高校生平和大使の演説が、中国政府の日本政府に対する圧力で見送られていたことが11月16日、分かった。
日本政府関係者が明らかにした。
演説は2014年から毎年実施されてきたが、中国側が今回、政府職員以外の発言を認めていない会議規則を理由に中止を要求した。
政府関係者は、歴史認識問題に絡み、日本が第2次大戦の被害を強調することへの反発が圧力の背景にあるとみている。
軍縮会議の日本政府代表部は当時、演説を見送った理由を「今年は議事上、適当でないと判断した」と説明していた。
高校生平和大使は例年、長崎市の市民団体が中心となって派遣しており、軍縮会議の場で、日本政府が1日だけ「政府代表団」に登録するかたちで演説が認められてきた。
日本政府関係者によると、今年2~5月、軍縮会議にも加盟する核保有国の中国側が、日本側に演説を中止するよう繰り返し要請。
高校生が演説を実施しようとした場合には退席を迫る可能性や、規則違反による異議申し立てを検討する考えを示し、傍聴にとどめるべきだと主張した。
日本側は、若い世代の活動を通じて核兵器がもたらす惨禍について正確な認識が深まり、核廃絶への国際社会の機運が高まる、と演説の意義を説明して理解を求めたが、中国側は譲らなかった。
軍縮会議の規則によると、高校生を政府代表団に加えるには会議加盟国の合意が必要で、日本側は結局、手続きを進めることができないと判断して演説実施を断念。
高見沢軍縮大使が会議前日の8月21日に主催したレセプションに、全国から選ばれた22人の高校生平和大使を招くにとどめた。
日本政府の弱腰には情けなすぎる。