米国防総省のスーファー副次官補(核・ミサイル防衛政策担当)は6月9日までに、米情報機関の分析に基づき、北朝鮮が初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を「年内に実施できる態勢が整う」と議会に証言した。
米高官が公の場で、こうした見方を示すのは初めてとみられる。
トランプ政権は北朝鮮が米本土を射程に入れたICBMを保有することを最も警戒。
発射実験が成功すれば米国内外で懸念が高まり、北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る現在の「最大限の圧力」政策の転換を迫られる可能性がある。
スーファー氏は6月7日の上院軍事委員会の公聴会で証言。
共和党のサリバン議員から「北朝鮮がニューヨークやシカゴなどを射程に入れたICBMを、いつ保有することになるのかが問題だ」と尋ねられ、スーファー氏は「情報機関の説明をいま一度申し上げると、北朝鮮は年内に初のICBM発射実験を実施できる態勢が整う」と答えた。
「北朝鮮はICBMを発射する能力を、基本的にはもう持っているのではないのか」とのサリバン氏の問いに、スーファー氏は「その通りだ」と回答。
弾頭を大気圏に再突入させる技術も、北朝鮮が「最近の発射実験でさらに向上させた」と説明し、7年前に想定していたよりも開発ベースは「速くなっている」と警戒感を示した。
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は6月10日掲載の論説で、最近のミサイル発射実験により、ICBM開発に必要な技術を確保したことが確認されたとし「ICBMを試射する時刻も決して遠くない」と主張した。
米国防総省は、北朝鮮が核弾頭の小型化にも成功しているとみなし、3年後にはICBM運用能力を獲得していると分析している。