介護保険制度がスタートして4月で20年を迎えるのを機に、共同通信は都道府県庁所在地(恵Eは都庁のある新宿区)と政令市の計52自治体にアンケートを実施した。
回答があった自治体のうち、介護保険制度の維持、存続について1自治体を除いて全てが「懸念する」と答えた。
現場の人手不足に強い危機感を持つ声が多かった。
高齢化の進行でサービスの利用が増加、費用も膨張しており、先行きを危惧する見方が広がっていることが明らかになった。
制度の存続、維持について「懸念する」が16自治体。
「どちらかといえば懸念する」が33自治体で合わせて49自治体だった。
「どちらかといえば懸念しない」はさいたま市の1自治体、「懸念しない」はゼロだった。
アンケートは2~3月に実施。
52市区に送付し、50市区から回答があった。
浜松市と大分市は無回答だった。
制度の問題点を聞いた設問(二つまで選択)は、介護現場の人手不足が45自治体で最多。
費用の膨張(26自治体)、財源の確保(20自治体)と続いた。
今後必要だと思う政策(二つまで選択)は「介護職の賃金のさらなる引き上げが最多。
財源として国の税金投入を増やすべきだとの意見も目立った。
現在、65歳以上の高齢者が支払う月額介護保険料の全国平均は5869円。
保険料は3年に1度見直す。
2021年4月に改定される保険料を聞いたところ、利用者数増加や給付費の上昇に対応するため、引き上げる見通しとした自治体が約半数の24自治体に上った。
残りは「分からない」と答えた。
費用抑制のため、政府内には要介護1、2の人の訪問介護のうち掃除や洗濯といった生活援助サービスを介護保険から外し、市区町村事業に移すべきだとの意見がある。
「移行させるべきではない」とした自治体が36で、「移行すべきだ」としたのは1自治体だけだった。
移行反対の理由は「担い手がいない」が多かった。