米首都ワシントンで開かれた20力国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10月13日、共同声明を採択して閉幕した。
原油価格高騰などによるインフレ圧力の長期化を警戒し、各国・地域の中銀が「物価の安定へ必要に応じて行動する」ことで一致した。
経済協力開発機構(OECD)による国際法人税改革の最終合意も支持。
各国共通の最低税率を15%に設定することなどを閣僚級で確認し、2023年の導入に向けた作業の迅速化を要請した。
10月30、31日にローマで開く首脳会議(G20サミット)に報告する。
日本からは黒田日銀総裁と神田財務官が出席し、鈴木財務相は欠席した。
黒田氏は記者会見で、国際法人税改革について「歴史的な合意だ」と歓迎した。
物価上昇は新型コロナウイルス禍からの需要回復に供給が追いつかず、各地で加速。
予想以上に長引けば景気回復の腰折れを招く。
日本でもガソリン価格が急激に上がっている。
議長国であるイタリア銀行(中銀)のビスコ総裁は、世界的なインフレが「一時的か、継続的なものになり得るか議論した」と述べた。
状況次第では月末のG20サミットでインフレ抑制へさらに強い姿勢を打ち出す可能性がある。
国際法人税改革では巨大IT企業など多国籍企業の税逃れを防ぐデジタル課税も創設する。
OECD会合で10月8日に136力国・地域が最終合意。
G20財務相らは「より安定的で公正な制度が確立する」と評価した。
世界経済は堅調な回復が続いているものの、新型コロナの変異株拡大など「下方リスク」が残ると警戒。
景気下支え策の継続などを改めて確認し、途上国のワクチン不足に協調して対処する。
先進7力国(G7)財務相・中銀総裁会議も10月13日に開かれ、中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)に関する初の共通原則を策定。
G7は声明で、先行する中国のデジタル人民元を念頭に「いかなるCBDCも透明性や法の支配に基づくべきだ」強調した。