踊る小児科医のblog

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宮根山の秘密基地~中学生防空壕死亡事件に思う

2005年04月11日 | こども・小児科
小学校2年から5年まで通った宮根小学校。裏にある宮根山を削ってできた造成住宅地にあった。宮根山は無惨にナナメに削りとられた姿をさらしていたが、残りの半分は僕たちの格好の遊び場だった。そして、僕たちが見つけた少し奥まった谷のようになっている部分を「秘密基地」と称して、あちこちの工事現場やゴミ置き場からあさってきたわけのわからない工具や部品などを集め入れていた。僕たちは少年探偵団に完全に感化されていたのだ。(ただのアホだった)

宮根山から流れ出る小川というほどもない流れは、途中で土管に入り込み下水道になっていた。ある日、僕たちはどこまで行けるか中に入って探検してみた。それほど進まないうちに嫌になって戻ってきたのだと思うが、その間に「地面から子どもたちの声がする」ということで警察に通報が入り、学校でも大騒ぎになっていたらしい。僕たちはそんなことにも気づかず、また宮根山の斜面であそんでいたところで、高学年の木村という先生にみつかった(姉貴の担任だ)。その日と翌日の朝会では、担任の高橋先生と校長先生からたっぷりと目玉をくらったのだが、当時はそれほど危ないことをしたとは思わず、誰が通報したりしたのか、余計なことをする人もいるもんだ程度にしか感じていなかった。(アホだ)

数年前に、30年ぶりに同地を訪れたが、もちろん宮根山の残骸はなく、山のあっちとこっちも連続していてどこに何があったかもわからなくなっていた。地図で見ても宮根山の名称はなく、もしかしたら元々そんな地名はないのに僕たちが勝手にそう呼んでいただけなのかもしれない。

僕らも相当にアホだったが、密閉した洞窟の中でたき火が「すぐ消える」ということの意味くらいはわかったのではないかと思いたい。一酸化炭素のことは知らなくても、ビーカーをひっくり返せばロウソクの火が消えることの恐ろしさは理解できたはずだ。亡くなった4人の中学生以外にも、同じ洞窟で遊んでいた子たちは何人かいて、中には火をつけた子もいたようだ。それも危険な行為だったのだが、どうしてその時に気づかなかったのか。せめてたき火ではなく懐中電灯を持ち込む程度の「生きる力」があれば…。今となっては冥福を祈るしかありませんが、親御さんの気持ちを思うと、悔やまれてなりません。

少年4人死亡の防空壕跡、たき火「すぐ消える」怖さ