踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドライン

2005年04月20日 | こども・小児科
乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のためには解剖することが必要条件であり、SIDSを「死亡が予測できず死亡状況調査や解剖でも原因が特定されない突然死をもたらした疾患」と定義するというガイドラインが厚労省の研究班から発表になりました。
SIDS:診断でガイドライン--厚労省研究班(毎日)
 健康な乳幼児が寝ている間に突然死する「乳幼児突然死症候群」(SIDS)について、厚生労働省の研究班は18日、SIDSの診断には例外なく解剖が必要とすることを盛り込んだガイドラインを発表した。解剖していない場合は死因を「不詳」とするよう規定し、あいまいなSIDS診断を認めない内容。過失による窒息や虐待などの事故隠しを防ぐことにつながりそうだ。

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について(厚生労働省)

診断のためには解剖が必須というのは以前から定められていたはずで、何を今さらと思ったのですが、今までのは学会等のガイドラインだったのかもしれません。その他に、旧厚生省研究班が作成した診断基準で「2歳未満」とした対象年齢も、欧米にならって「原則1歳未満」としたことが主な変更点のようです。

しかしながら、別の記事によると、「赤ちゃんの急死を考える会」の櫛毛冨久美(くしげ・ふくみ)事務局長は「新ガイドラインでは窒息死と診断しにくくなり、結果的にSIDSの診断が増えるのではないか」と指摘して、厚労省に見直しを要請するということだそうです。赤ちゃんが突然亡くなるということは、想像を越える悲しみとショックであり、保育園などにおける訴訟も後を絶ちません。窒息死との鑑別というのも解剖すれば簡単にわかるというものでもありません。この分野での研究も、既に学会に昇格しているSIDS研究会の初めての会に参加して以来、多くの知見が明らかになってきています。とりあえず私たちにできることは、母親や家族の喫煙、うつぶせ寝、非「完全母乳栄養」といったリスクファクターを減らすことですが、うつぶせ寝がほとんどなくなってきた今、問題の中心はタバコです。

SIDS2000