踊る小児科医のblog

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臓器移植法改正案の修正作業を注視していく

2005年04月21日 | こども・小児科
私自身は脳死移植で延命するつもりはありませんが、ドナーカードは持っていて臓器提供には全てマルをつけてあります。もし自分の子どもなら、おそらく移植をお願いするだろうと思います。現在の日本の移植医療のあり方が、このままでいいとはもちろん思っていません。

ただし、河野太郎氏らがまとめた改正案は、これまでの議論をパスして、とにかく数が足りないから「脳死体を増やす」ことを命題にしてつくったとしか思えません(基本的にはその方向性は受け入れられるのですが)。小児の脳死判定や虐待が疑われるケースなどの問題もあります。ここでは論じ切れませんが、死の判定基準が2つある現在の法律は「それだけはやっちゃだめだよ」という結論でした。しかし、一つの線をひくことの出来ない中でやむを得ない選択でもあった。

これを全て一律に脳死=死にしてしまえば、一見するとわかりやすくなるけれども、現場はまた混乱するでしょう。最も親しい人の死を迎える家族の気持ちのありようは、一律ではありません。ドナーカードの所持を半ば義務づけるような対策も考えられるでしょう。いま急がなければいけないからこそ、拙速だけは避けなければいけません。

ここにきて、反対意見を受けて修正作業に入ったようですが、賛否両論がぶつかりあったまま採決するような法案ではないので、きちんと国民的合意が得られるものになるのか、注視していく必要があります。

「脳死は一律に死」に反対 移植法改正で柳田邦男氏ら
臓器移植法改正案:ドナーカード普及が先だ(森岡正博)
臓器移植法改正に関する河野私案について(河野太郎)

移植法改正案:「脳死」家族の同意必要 自公検討会(毎日)
家族に脳死判定拒否権…臓器移植法改正で与党検討会(読売)
[脳死臓器移植]「『命のリレー』の議論を深めよう」(読売社説)
臓器移植法改正/まず検証と議論が不可欠だ(河北社説)

社説:移植法改正案 ドナーカード普及が先決だ(毎日)
臓器移植法:臓器提供「虐待疑い児童、除外を」--改正で専門家ら(毎日)
クローズアップ2005:臓器移植法改正案 賛否「死の定義拡大」(毎日)
臓器移植法:「脳死は人の死」一律に定義 改正案判明(毎日)

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