栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

リニアカーの中に忘れ物をする。

2005-07-27 16:41:01 | 視点
 龍陽路駅でリニアモーターカーを降り、重いトランクを持って地下鉄2号線に乗り、ホテルがある人民広場駅に着いた時、それまで背負っていたリュックサックがないことに気付いた。盗られたのではない。忘れたのだ、リニアの棚に。

 中国で忘れ物をしたらまず100%出てこないーー悲しいがこれが定説である。旅行雑誌にすらそう書いてある。
 後日、上海の取材先企業でその話をすると、相手の社長が「この国の人は人の物を盗るのをなんとも思っていない。通勤途中に私の前を走っているトラックから荷物が落ちると、道路から数人が走り寄ってあっという間に80kg以上はありそうな荷物を数人がかりで持ち去りましたから。あんなことはとっさの行動でできるものではありませんよ」と同情してくれた。
 「しかし、いまから30数年前に中国に行った時はホテルの部屋に鍵をかけなくても安全だったし、部屋に忘れたカメラキャップや捨てたつもりのスリッパまで次の宿泊地に届けられたんですよ」
 と話すと、「そんな時代もあったんですか」と感心された。
 いまの中国の風潮を見て、この国の人間は代々○○だからとか、そういう民族なのだという言い方は改めた方がいいだろう。日本人だってかつては勤勉で、助け合う民族と言われてきたが、いまはどうだ。

 それはさておき、真っ青である。自慢ではないが、私はいままで忘れ物をしたり、物をなくしたことは一度もない。傘だって盗られはしても置き忘れたことは一度もないのだ。それが上海くんだりにまできて忘れ物をするとは……。悔やんでも悔やみきれないが、どうすることもできないので、とりあえずホテルにチェックインした後、対策を取ることにした。

 それにしてもリュックがないことに気付いたのは、ミネラルウォーターを飲むために背中のリュックから取り出そうとして後ろに手をやると、そこにあるはずのリュックがないことに気付いたのだから、ドジとしか言いようがない。
どうも時々私の脳は旅先で活動を停止する傾向にあるらしい。決して老化のせいではないと思うが。