栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

レゴ・シリアスプレー体験会に参加

2011-02-03 22:40:24 | 視点

 先月中旬、知人女性から久し振りに(数年ぶり)電話があり、ホームパーティー(のようなものと電話では認識した)に誘われた。
「いま東京にいるんですけど、レゴブロックってご存知ですか。それを企業の研修などに使って効果を上げている例があるんですって。日本ではまだあまり知られてないみたいですけど、それを日本でやっている人とお知り合いになり、その人が今度福岡に来るっていうので、それならせっかくの機会だから何人かで集まりましょうかって言っているんです。ぜひ参加されませんか」
 余程のことがない限り、誘いは断らない、久し振りに連絡してきた相手とはできるだけ会う主義なので、あまり気乗りはしなかったが、取り敢えず参加した。
 参加して分かったがレゴ・シリアスプレーの体験会だった。
レゴブロックの名前は知っていたが、それを使って何かを作ったのは正直この時が初めてだった。


 「皆さん、ここにあるレゴを使ってこの世に存在しない奇妙な動物を作ってください。そしてその空想の動物に名前を付けて下さい」
 ファッシリテーターだという人物が参加者にそう語りかけ、各人が思い思いのものを作っていく。
出来上がると全員が席を一つだけ隣に移動し、自分の席の前にあるモノの感想を述べるように言われる。
「作った人はどういう思いで、それを作ったのでしょうか。自分が感じたままを述べて下さい」
 それぞれに自分の前の作品(他の人が作った)から感じたことを喋っていく。
「この作品は○○を表現していると思います。△の辺りにこの人の気持ちが表れているのではないでしょうか」

 なるほど、うまいやり方である。
まず、最初のポイントは「この世に存在しない奇妙な動物」を作らせることだ。
ライオンとか象という具体的にイメージできる動物だと、どうしてもその動物に似せようとしてしまう。
ところが、架空の動物、それも「とんでもない物を作って下さい」と言われれば、比較対象が端からないわけで、自由に作れる。
ここでの目的は参加者の心の鎧(恥ずかしいとか引っ込み思案、笑われるのではといった)を取り払うことだ。


 次のポイントは他人が作ったものの感想(感じたこと)を述べ合うことである。
あくまで「感想(感じたこと)」であり、「批評」でないことがポイントだ。
こういう場合、他の人が作ったものをけなす人は少ない。
批評や批判を封じるために、事前に「感想」「その人が作った気持ちを考えて下さい」という言葉を発している。
この言葉で99%の人は他人が作った目の前のものを褒める、少なくともけなさないのは心理学でよくいわれることだ。
案の定、参加者は他人の作品を次々に褒めていく。
誰も褒められて悪い気はしない。
これで一気に参加者の気持ちが楽しくなる。

 こうしたことを二度ほど続け、今度はファシリテーターが「この壁を乗り越えられないのは何が邪魔をしているのでしょうか」「ここにこれを置いてみたらどうでしょうか」などとアドバイスする。
それを見て言われた人は納得する。
 なるほど、これはコーチングの手法だ。
そういえば私をこの体験会に誘った相手はコーチングをしていた。
いやー、うまいものだ。
過去にいろんなところでやられた社員研修などの要素をちゃっかり取り込んでいる。

 最近の若者を対象にした研修にはピッタリだろう。
彼らは「右脳」という言葉にも弱いし、視覚化、遊技化しないと理解不足に陥る傾向があるから。
ITには強いが、物事を論理建てて考えるのは苦手なのが現代の若者だ。
そんな若手社員を抱えた企業が乗せられて研修に導入するところが出てくるのだろう。
とはいえ、古いものに新しい衣を着せて、目先を変えるのも大事なこと。
これならコーチング同様、素人でも研修の先生になれる。


トイザらス限定 レゴ シティ トイザらストラック(7848) (351702000)