栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

コロプラで人気の有田焼窯元

2009-11-09 23:05:04 | 視点
 9月上旬のある日、有田窯業技術センターで「有田(焼)ブランドをどうするのか」と題して講演した後の懇親会で面白い話を耳にした。
「青花」ブランドで知られる「しん窯」に遠方から若者が来ているというのだ。
なんでも彼らはケータイのGPS機能を使い、互いの位置情報を知ることができるらしい。
なぜ有田へ来ているのかよく分からないけど、ネットでは有田のしん窯が有名になっているらしい、ということだった。

 なんといっても説明してくれる人がよく理解していないものだから、聞いているこちらもその場では朧気にしか分からなかったが、なんとなくバーチャルゲームの世界と現実(最近流行りの言葉ではリアルの世界となる)を結び付けた動きらしいということは分かった。

 ネット上に現出する世界はバーチャルリアリティといわれるように仮想現実で、その仮想現実世界が現実世界と関係し合うことはなかった。
ところが近年、その境界が意識の上で曖昧に捕らえられたり、一部のモノを現実世界に出現させたりすることで、両者の境界は意識上だけでなく現実上にもどんどん曖昧になり、バーチャルの世界が現実世界に影響を与えだしている。

 しかし、それでもバーチャルな世界はあくまでバーチャルで、現実世界とリンクし、現実世界に影響を与えることはなかった。
 ところが、この若者達(写真の左側3人、右側はしん窯の梶原茂弘社長)はネット上のゲーム世界での移動を、現実世界で物理的に移動するという行動をしたのだ。

 それをさせているのは「コロニーな生活☆PLUS」(略してコロプラ)というケータイの位置登録情報を利用したコミュニケーションゲームである。
 コロニーという街とその住民を発展させていくゲームだが、この種のゲームは従来もあったが、コロプラが異なるのは街の場所は固定したモノではなく、自分と一緒に移動していく点で、コロニーが移動し、別のコロニーと接触し、コミュニケーションをするという発想。

 また現実世界で移動した距離に応じてゲーム内の通貨やアイテムをゲットすることができる。
 特に東京から佐賀県有田のように、人があまり移動しない距離を移動すると「プラ」と呼ばれるゲーム内の仮想通貨も多く獲得できるので、いま有田焼きの「しん窯」を訪れる若者が増えているのだ。

 講演翌日に私が同窯を訪問した時も写真のように若者3人が来ていた。
ただ、彼らは時間を効率よく使って九州内を移動し東京に帰るので、点が面に広がる直接的な動きにはなりそうにないが、有田と有田焼を知らない世代に有田焼を知らせる大きなきっかけにはなるだろう。

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      我が輩はハマである。





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