【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

秘密の散歩径

2012-04-16 16:35:16 | レトロ(素敵)な空間~散策
 




ある風変わりな農夫が植えた巨大な林檎の
木が、ぎっしりと枝々を差し交わして
立ち並んでいた。
頭上には香り高い、雪のような花が
長い天蓋てんがいのように続いていた。
枝の下には紫色の薄暮が一面に
立ち込め、遥か先の方に、寺院の通路の
外れにある大きな薔薇形窓のように、
夕焼け空が輝いていた。
                 【「赤毛のアン」 第2章】


   花曇りの今朝は、鶯(うぐいす)の鳴き声で目覚めました。
  どうやら近くまで下りて来ているようで、その声はすぐそこに聞こえます。

   元々、山だった所を切り開いて造成した住宅地。
  今、最後に残った田舎風情の垣間見える場所にも工事の手が入り、
  鶯にしても、住む場所を失いつつあるのかも知れません。

   便利さと引き換えに失うもの。
  しかも私などは、その恩恵に与(あずか)るものですから、
  複雑な気持ちです。

   そうそう先日もお伝えした、切り取られた川土手の桜の事。
  今、残っている桜の本数を数えてみましたら丁度、7本。
  せめてこの7本だけは残して欲しいと、願ってやみません。






   さて、冒頭の写真。
  桜の花びら絨毯の小径と名残りの桜。
  朝見た里山の桜は、まだまだ健在ですが、下界はそろそろ終わりでしょう。

   それにしても、この径の向こうには引用文の如く、
  紫色の薄暮が一面に立ち込め、薔薇形窓のような夕焼け空が
  広がっているに違いありません。そんな想像を掻(か)き立てる径。

   ところで、ちょっと道端に目を遣(や)れば、
  まだまだ 「ナズナ(別名:ペンペン草・三味線草)」 が咲いています。
  三味線草・・よく見れば実が三角で、三味線のバチに似ていますものね。

   そう言えば、このナズナと 「種付け草(タネツケソウ)」 を
  一部、間違えていました。(写真) でも本当に良く似ていますね。

   かつて田植えの準備の一つとして種籾(たねもみ)を
  水に浸けたそうですが、その時期に咲くので、この名前が付けられたとか。

   もう一つ、「阿蘭陀耳菜草(オランダミミナグサ)」 も。
  つい最近、名前を知ったばかり。どれも小さな白い花です。

「よく見れば なずな 花咲く垣根かな」   ~ 芭蕉

いもが垣根 さみせん草 の花咲きぬ」 ~ 蕪村


   ここのさみせん草は 「三味線草」、すなわちナズナの事ですが、
  恋人(妹)の住む家の垣根にナズナが咲いて、その花が三味線の音を今にも奏でそう・・
  ~というのですから、ロマンティックです。

   それにしても日本を代表する俳人である芭蕉も蕪村も、
  道端の、この繊細な白い小さな花に心を寄せたのですね。
  尤も、蕪村の句は芭蕉を意識して作ったものだそうですね。