彼女は部屋に入った。 (中略) 薔薇色の紗のカーテンが掛かり、 壁紙は薔薇の花模様だった。 ミセズ・オリヴァが見たところでは、 大体彼女と同年輩か、あるいはずっと 年上かとも思われるミセズ・ローズンテルが、 朝の コーヒー を飲み終わるところであった。 【A・クリスティー 「象は忘れない」 】 |
朝から雲一つない猛暑日が続きます。
雲一つない、こんな天気は猛暑でなければ、
大歓迎ですが、さすがにうんざりですね。
でも、降り続く雨よりも大嫌いな雷よりも
余程良いのだと思えば・・遥かに救われます。そんなこんなで。
今年の暑さは私にとっては幾分、ましになっています。
さて、本当に久し振り、
「A・クリスティーの館」 です。
やっとの事で A・クリスティー作、
「象は忘れない」 を読了。
と言っても随分、
時間がかかってしまって。
それにしても、こんなに
時間がかかったのは初めてです。
当然、パッチワーク的に
読み進める訳ですが、何とか
ストーリーを忘れる事もなく、
最後まで読む事が出来、
ホッとしています。
ところで、なぜでしょう・・?
クリスティーとなりますと、
屋根裏部屋的な、
こんなセピア色の部屋に
直行したくなります。
しかも、こんな夏の真っ盛りに。
でも意外に落ち着き、我ながら驚いてもいます。
~なんて。又々、前置きが長くなりましたね。
いい加減に本題に入りましょう。
クリスティーと言えば、ポアロですが、
どうやらこの本が最後の登場だったようです。
そう言えば、ポアロから良い意味での “アク” が取れたような
気がしたものですが、こんな事も理由の一つだったのでしょうか・・。
それにストーリーも、いつもはどんでん返しの連続で、
犯人がなかなか分からなかったものですが、アッサリ分かり・・。
尤も十数年前の過去の事件の解明であり、
現在進行形のものではないという事も関係あるのかも知れません。
とは言え、これまでがこれまでですから、
随分、深読みしたりして。その必要はなかったという訳です。
ところで、A・クリスティーを読んでいつも感じる事。
イギリスでは紅茶を日常茶飯事に飲んでいるという事ですが、
ポアロもミス・マープルも、飲み物はいつもコーヒーばかり。
尤も、単にクリスティーがコーヒー好きなのかも知れませんけれど。
ちょっと感じた疑問です。
そうそう、題名の 「象は忘れない」。
次のような意味が込められているのですね。
忘れるという事も素晴らしい事なのです。