彼女が母親や祖母から受け継いだ教えは 間違っていなかった―― すなわち、本当の 淑女 というものは、 やたらに心を動揺させたり、 驚いたりするものではない、と ―― ミス・マープル は、ちょっと眉を上げ、 頭を振っただけで言った ―― 【A・クリスティー作 「パディントン発4時50分」】 |
連日の猛暑が続きます。一日中、晴れ渡った空。
こちらでは、夕立すら降りません。カラッカラ。
それでも庭では、そろそろと、
虫の鳴き声が聞こえて来るようになりました。
つい先月までは庭を真っ白に席巻していた、
「半夏生」 に至っては、すっかり過去の人?
見るも無残な姿になっています。
灼熱の戸外ではありますが、季節の移ろいを感じて。
ほんの僅かですが、夜も長くなりつつありますものね。
さて、そんな中、
この炎天下でも凛とした
姿で咲いたのは・・。
私が秘かに 「淑女の薔薇」
と呼んでいる薔薇。
我庭には真紅の薔薇は
もう一つ、リラ版、
「公爵夫人の薔薇」 があります。
そう言えば以前は、
花びらを緩やかにカールさせて
いるこの薔薇こそ、正統派の
薔薇だと心酔していたものです。
それが今では、
どうしてどうして・・。
今日の淑女の薔薇にも、
すっかり魅惑させられる羽目に。
それにしても(昨日に続き)
上記の 「淑女」 の話。
そう言えば、この 「淑女」、
今では死語に近い言葉に
なっていますね。
でも、まさにピッタリ。
良くも 「淑女の薔薇」 と、ネーミングしたものだと自画自賛。
“人間もこうでなくっちゃね・・” ~なんて思う次第です。
ところで余談ですが、A・クリスティーの本には、
推理の醍醐味も然る事ながら、ある時は登場人物の言葉として又、
ある時は舞台背景として、興味をそそる事柄が目白押しです。
これらは折に触れ、『アンの世界』 と同様に、
ご紹介出来れば・・と思っています。
何と言っても 『アンの世界』 の原点の国ですから。