石見空港や羽田空港で、
親切にしてもらったのが嬉しかったと見えて、
羽田から、群馬までのリムジンバスの車内でも実父は、はしゃいでいました。
その、ずっと喋りっぱなしの老人を
周囲の人たちは奇異な目で観ていたようです。
それは、藤岡で停まった際、
前のドアから降りようとする男性が振り向きざまに
優先席に座っている父を、
鋭い眼つきで睨んだ時に気付きました。
父は長時間の歩行が困難なうえ、
耳も片方しか聴こえません。
そのため、優先席に座らせていただきました。
石見弁で話す父を、
どこも悪くないのに、優先席に座り、
ワケのわからないことを喋っている酔っ払いのお爺さん?
だとでも思われたのかしら…。
実父はアルコールのアレルギーで一滴も飲めないのですが…
物凄い眼つきで睨んだ男性の顔を見て、私は、そう思いました。
静かなバスの中で、時折、奇声を発している1歳くらいの女の子と、
石見弁の父は、やはり目立つ存在だったのでしょう…。
小さな子どもは許せても、
非常識な老人は許せない…そう、思われたのかもしれません。
あと30、40分で前橋に着くところで、思いきって、喋り続ける父に言いました。
「関東の人はね、車内では、あまり喋らないんだよ」
「それならそうと言ってくれりゃ、喋らんかったのに…」
独り暮らしの長かった老人に、
喋るな…というのは、酷なことだと思いつつ、
そう言わなくてはならない現状と、
それに応えた父の淋しそうな表情に、
心がチクリと痛むのでした。(~_~;)
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清水由美
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