声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

哀しい歌は唄えない③

2024-08-07 11:32:00 | 音楽
会場を出たのが6時過ぎ、

帰りの電車内で、
今回のコンクール応募の自身の目的を考えてみた。

何のために、こんなに時間とお金をかけてコンクールに出たのだろうか?
…と。

結果に満足だったら、普通はそんなことは考えない。

酷評は、まさに私の歌に対してだった…
(−_−;)

審査員でもあるシャンソン歌手のNさんから
『この歌は悲しい歌です、戦争で帰ってこない恋人を待っている歌です、それを楽しく唄うのは…』

と、全否定されてしまったのだ。

もちろんフランス語の歌詞の意味も
単語1つ1つを調べて、それなりに歌ったつもりだった…

《待ちましょう》は悲しい歌詞ではあるが、
帰って来るか来ないか分からない戦地に行った愛する人を待つ…

そんな気持ちを歌った曲である。

前日、ウクライナ国内で戦地に行った夫や恋人を帰すよう抗議をしていた女性たちのニュースを見た。

79年前は、広島に原爆が落とされた。

平和を願う気持ち、大切な人が帰って来るよう願う気持ち…

それを歌ったつもりだったが、

単に楽しく歌っただけ…と吐き捨てられたのは、
私の技量が足りなかったせいだろう…

キーが半音上がったのも、明るく感じられた要因かもしれない。

しかも伴奏はスイングジャズ風である。
(^◇^;)

これを、どう悲しく唄えば良いのだろう…
誰か教えて欲しい。
(~_~;)


私の講評の後で
客席の後ろの方に座った男性がスーッと席を立って出て行ったのが見えた。

自衛官時代にお世話になった大先輩だった。
わざわざ聴きに来てくださったのに…
講評を聞いて不愉快になってしまったかな?

空席の目立つ席が、ますます閑散としている。


だけど、収穫も多かった。

グランプリ受賞者の中国人留学生の歌は素晴らしかった!

韓国から参加した優秀賞の歌手の方の歌も私は好きだ。

彼女たちのフランス語の発音の美しさにうっとりと聴き入ってしまった。

その彼女たちに、

『今度は日本語で歌ってほしい、そのほうが伝わるから…』

と、コンクールの最後に審査員や主催者は結んだ。


私は問いたい。

美しいフランス語で歌うシャンソンは日本人に伝わらないのですか?

カンツォーネはイタリア語で歌うより日本語のほうが伝わりますか?

シャンソンやカンツォーネを歌う人の裾野を拡げるには、
《日本語で歌う》事が基本なのかもしれないが…

原語で歌ってこそ、素晴らしいと思える歌も多いのが事実だ。

【愛の讃歌】なんて、
まさにそうではないだろうか…

違いますか?


トップ画像は、
自衛官時代の大先輩の差し入れ。
可愛いバッグの中には、のど飴がギッシリ入っていた。

いつも、ありがとうございます!





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哀しい歌は唄えない②

2024-08-07 10:41:00 | 音楽
コンクール会場の内幸町ホールは、
来年から改装のため2年間使えなくなるらしい…

コーダが終わったとき、
目が眩むほどのスポットを浴びながら

(このホールで歌うのは最初で最後だろう)

ここで歌えることに心から感謝しながら歌い終えた。

トップバッターの役目をとりあえず果たしたかな?

全員が歌い終わるのは、17時頃の予定だ。

オリエンテーションで出演者は最後まで衣装を着替えずにいてほしいと主催者から告げられている…

さて、これからの時間はどうやって過ごそうか…

とりあえず控え室で、モニターを観ながら他の出演者の歌を聴こう。

コンビニに昼食を買いに行くには着替えなければならないが、
なんだか面倒だなぁ…

そんな事を考えていたら、
名古屋から来たKさんが、お土産のお饅頭をくださった。

(お〜!お昼ご飯代わりに頂こう、ありがたい‼︎)

控え室では、ほぼ皆さん顔見知りのようで、本番前だというのに余裕が感じられる。

それに出番が終わって帰って来ると皆んな拍手で迎えてくれて、とてもイイ感じだ。

福島や秋田、山口のお国言葉が飛び交う…

なんだか居心地がいい。

そして全員が終わってから審査待ちの30分の間に、
『コンクールあるある』のウラ話で大いに盛りがる。

ベテラン出演者は言う。

「このコンクールはね、全員に講評があるのよ」
「だけど結構その時間が長くて大変なのよ」


ふむふむ… 
初めての私には、講評はとてもありがたいものだと思うが…

「講評はお客さんの前であるんですか?」

と訊くと、

「そうなの、酷評もあるから公開裁判みたいな感じよ」

との事…

「だから、私は知り合いに予め言ってきたのよ、不愉快になるから講評は聞かずに帰ってね、って」

とベテラン出演者さん。

そうなんだ…

確かに、人前でコケ下されるのは出演者の立場として辛いかもなぁ…

打たれ強い私ではあるが、内心は傷つきやすい…

(何を言われるかなぁ…)
不安がよぎる。

表情が顔に出たのか…

「あなた、良かったわよ!
あの歌は、なかなか、あんな風には歌えない曲なのよ」

とベテラン出演者さんが励ましてくださった。

嬉しかった…

(哀しい歌は唄えない③に続く)







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哀しい歌は唄えない①

2024-08-07 09:24:28 | 音楽
いつもは4:30に起こされているのに、
夏バテ気味なのかM嬢に起こされたのは
朝5:00過ぎ、

コンクール当日だというのに寝過ごした。

もう6:08の始発に間に合わない。
調べてみると、もう1本乗り換えなしの電車があった。

6:41分の平塚行きに乗って9:05分に新橋で降りれば丁度いい…

新幹線で行くと30分以上時間短縮ができるが、
東京駅から乗り換えて新橋まで行くのは
通勤ラッシュに慣れない自分には苦痛で仕方ない。
それに東海道線直通の始発電車のグリーン車ならのんびりできる。

まぁ、帰りはグッタリ疲れているだろうから、
行きだけでも楽な方法を選ぼう。


HPの親切な案内図が役に立ち、
新橋駅から会場の内幸町ホールまで難なく着いた。


会場控え室に出演順が貼ってあるというので見てみると…

なんと!自分の名前が1番最初に書かれているではないか‼︎

主催者側が意図的に順番を決めている…という事は、

イベント的に構成を考える立場からすれば
いわゆる私の歌は【前座】である。

そういう事か。
(^◇^;)


今回のコンクールには時間制限がない分、演奏曲は大曲が多く、従って演奏時間も長い。
私の演奏時間は3分30秒と、たぶん33名の出演者の中で一番短い。

しかも今回のアレンジはフレンチジャズ風…
確かにオープニングにはピッタリだ。

私が主催者でも、オープニング曲として選ぶに違いない。

自分に与えられた役目を果たせばいい。

そう思って本番に臨んだ。

ピンスポが当たる、
15秒程度の自己紹介をしながら客席を見回した。

180程度の客席だと聞いていたが、空席が目立つ…

コロナ禍を思い出したが、こんなに少ないとは…ちょっとびっくりした。


元銀巴里のピアニスト、F氏に合図を送る…

F氏の前奏は弾んでいた。

その軽やかなピアノに乗って、
私の身体は自然にスイングした…

2番で日本語の歌詞を一瞬、間違えそうになったが
テキトーに誤魔化した。^^;

伴奏のF氏が提案してくださったコーダのところでピンスポが一段と明るくなった…

(哀しい歌は唄えない②に続く)


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