宮川さんからチケットをいただいたので 友人を誘い横浜みなとみらいホールで待ち合わせしました。無常にも目の前で湘南新宿ラインのドアはしまり 一電車乗り遅れてしまい、1曲目は映像で聴きました。
シューマンの子どもの情景 を聴いたときは まるで別の曲を聴いているようでした。ベースを四面の琴が受け持っています。琴もですが 和楽器の音色には 揺らぎ 唸りのような 爽雑音が多く含まれます。そのせいか 西洋音楽を和楽器で演奏するのを聴くとクリアーではないのです。元気なにぎやかな曲は祭のような雰囲気があっていいのですが 研ぎ澄まされた旋律のときは違和感を感じないわけでもありませんでした。
けれども 有馬礼子作曲の 「春の宵」 「春のラプソディ」はすばらしかった。琴の音がさざなみのようでした、それに笛 尺八 二胡 .... 鼓 太鼓 ..... 風のそよぎ 葉ずれの音 鳥の声 岩を打つ水の音...... 一幅の絵を見るよう...... そうか 和楽器は自然にある音色を模した音色なのかと得心がいきました。身体も心も飛翔していく...心地よさ 思わず涙がにじみました。 杏色といいますか伽羅色といいますか ベージュがかったオレンジ色の着物の方の琴の響きがことに胸に沁みました。
日本人は澄んだ声より 浪曲師のダミ声が好きだったそうです。(今はどうだか知らないけれど)倍音をたくさん含んだ声なんですね。自然のんかにも倍音がたくさんあります。生命の音です。
帰り ポンパドールでパンを買いました。昔 横浜に住んでいました。森永ラブという喫茶店があって 顔を白く塗ったメリーさんがときおりきていました。お化粧をしてロングドレスを着たメリーさんはちいさなお人形さんのようでした。
宮川さん ありがとうございました。音楽の響きとともにパンフレットのなかの「芸術品をみなが下でじっと鑑賞するという一方通行ではなくて音楽とみなさまの心の対話がはずむ演奏会にしたい 聴いていただくだけでは音楽は生き物にならない」という指導者のことばに頷きました。そうです 語りもおなじ 語るだけではさみしいのです。