石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

世界最大のガス輸入国になった中国:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ天然ガス篇 (8)

2019-08-12 | BP統計

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

3.世界の天然ガスの消費量

(1兆㎥を超えた北米の年間消費量!)

(1)地域別消費量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G01.pdf 参照)

2018年の世界の天然ガス消費量は3兆8,500億立方メートル(以下㎥)であった。地域別では北米が1兆223億㎥と最も多く全体の27%であり、次いでアジア・大洋州の8,253億㎥(22%)である。この両地域で世界の消費量の半分を占めている。これに続いてロシア・中央アジア(5,808億㎥、15%)、中東(5,531億㎥、14%)、欧州(5,490億㎥、14%)の各地域が5千億㎥で並んでいる。その他の地域は中南米1,684億㎥、アフリカ1,500億㎥であった。アフリカの天然ガス消費量は世界全体の4%で北米の7分の1にとどまっている。

 

 各地域の消費量と生産量(前章参照)を比較すると、北米の生産量シェアと消費量シェアは同じ27%である。その他の地域はロシア・中央アジア(生産量シェア22%、消費量シェア15%)、中東(同18%、14%)、アジア・大洋州(同16%、22%)、欧州(同6%、14%)、中南米(同5%、4%)、アフリカ(同6%、4%)である。

 

北米及び中南米は生産と消費の比率がほぼ等しく地域内で需給がバランスしていることがわかる(域内消費型、地産地消型)。これに対してロシア・中央アジア、中東及びアフリカは生産が消費を上回っており、一方アジア・大洋州及び欧州は消費が生産を上回っている。このことから天然ガスはロシア・中央アジア、中東及びアフリカの各地域からアジア・太平洋或は欧州地域へと地域を超えた貿易が行われている様子がうかがえる(域外貿易型、なおガス貿易については次章で詳述)。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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五大国際石油企業2019年4-6月期決算速報(5)

2019-08-12 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0475OilMajor2019-2ndQtr.pdf

 

 

 

 

2.2018年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)

(上流に弱く下流に強いShell!)

(4)部門別利益の推移

(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)

 前年の2018年第2四半期の各社の上流部門の利益が最も多かったのはBPの35億ドルであり、Chevronの33億ドル、ExxonMobilの30億ドルがこれに続いている。、Totalの利益額は27ドルで5社の中で上流部門の利益が最も少なかったのはShellの11億ドルであった。

 

続く第3半期はExxonMobilの利益が42億ドルに急増し5社のトップとなった。最下位のShellも改善して23億ドルの利益を達成した。しかし第4四半期2019年第1四半期は各社とも連続して減益となり、Chevron、BP及びExxonMobilが30億ドル前後で並び、Total及びShellの利益は17億ドルにとどまった。今期(第2四半期)の各社の利益水準はわずかながら改善しているがShellのみは利益が低下している。

 

 5四半期を通じて各社の上流部門の利益を比較すると、Shellが5社の中で最も利益水準が低く、同社の上流部門は他の4社に比べて見劣りがする。上流部門ではExxonMobil、BP、Chevronの3社がトップ争いを演じながら上位グループを形成し、Shell及びTotalが下位グループとなる状況が続いている。

 

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)

 下流部門は2018年第2四半期から第4四半期までは全社が利益を計上していた。昨年第2四半期はBPが15億ドル、Shellが12億ドルの利益を計上、ExxonMobil、Total及びChevronの3社は7~8億ドルの利益水準であった。続く第3及び第4四半期はShell及びExxonMobilの利益が急騰Chevron及びTotalは低迷した。しかし今年第1四半期にはShell及びExxonMobilの利益は急減、ExxonMobilは5社の中で唯一3億ドルの欠損となった。今期は各社の明暗が分かれ前期に比較的高い利益を計上したBP及びShellが減益になった一方、ExxonMobil及びChevronは増益となったため、5社の利益はほぼ一年前の水準に戻っている。

 

 過去1年間を通じて下流部門の利益変動が最も大きかったのはExxonMobilであり、2018年第2四半期の7.2億ドルから16.4億ドル(’18 3rd Qtr)→27億ドル(’18 4th Qtr)→▲2.6億ドル(’19 1st Qtr)→4.5億ドル(2nd Qtr)と振幅が激しい。

 

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)

 5社の四半期ベースの設備投資額はExxonMobil、Shell及びChevronが毎期ほぼ安定した投資を行っている。各期のExxonMobilの投資額は66億ドル(’18 2nd Qtr)→66億ドル(’18 3rd Qtr)→78億ドル(’18 4th Qtr)→69億ドル(’19 1st Qtr) →81億ドル(2nd Qtr)であり、全期を通じて常に5社で最大の投資を続けている。

 

同社に次ぐ投資を行っているのはShellであり、その金額は53億ドル(’18 2nd Qtr)→58億ドル(’18 3rd Qtr)→71億ドル(’18 4th Qtr)→51億ドル(’19 1st Qtr) →52億ドル(2nd Qtr)と推移している。Chevronの場合は毎期50億ドル前後でほぼ安定している。

 

 Totalの設備投資額は昨年第3四半期を除き5社中では最も少なく、25億ドル(’18 2nd Qtr)→62億ドル(’18 3rd Qtr)→27億ドル(’18 4th Qtr)→31億ドル(’19 1st Qtr) →34億ドル(2nd Qtr)である。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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