BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
(4) パイプラインによる輸出入(2018年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G05.pdf 参照)
2018年のパイプラインによる天然ガスの国別輸出入量は概略以下のとおりである。なおパイプライン貿易では米国とカナダのように相互に輸出入を行っている国がある。例えば2018年に米国はカナダから773億㎥の天然ガスを輸入する一方、カナダとメキシコへ合わせて676億㎥を輸出している。国境をまたぐ多数の天然ガスパイプラインがあるためである。この他国境をまたがるパイプラインが発達しているヨーロッパでは輸入した天然ガスを再輸出するケースも少なくない。本項で述べる各国の天然ガス輸出量或いは輸入量は輸出入を相殺したNETの数量である。
(世界のパイプライン貿易の4分の1を握るロシア!)
(4-1)国別輸出量
パイプラインによる天然ガス輸出が最も多い国はロシアでありその輸出量は1,978億㎥、世界の総輸出量の25%を占めている。ロシアの輸出先は東ヨーロッパ及び西ヨーロッパ諸国である。第2位のノルウェーの輸出量は1,143億㎥(シェア14%)であり、年間輸出量が1千億㎥を超えているのはこの2カ国だけである。両国に次いで輸出量が多いのはカナダ(554億㎥)、アルジェリア(389億㎥)、トルクメニスタン(352億㎥)であり、カナダの輸出先は米国、アルジェリアは地中海の海底パイプラインにより西ヨーロッパ諸国に輸出している。なお冒頭に述べたようにカナダは米国と相互に輸出入を行っており、輸出総量ベースでは772億㎥である。
上記5カ国による輸出量は全世界の55%を占めている。従来パイプラインによる輸出は北米大陸とヨーロッパ大陸が主流であったが、最近ではトルクメニスタンから中国への輸出、或いはドルフィン・パイプラインによるカタールからUAEへの輸出など北米、ヨーロッパ以外の地域でもパイプラインによる天然ガス貿易が拡大しつつあり、カタールのパイプラインによる輸出量は202億㎥に達し世界第6位である。
(パイプラインによる天然ガス輸入量トップはドイツ!)
(4-2)国別輸入量
2018年にパイプラインによる天然ガスの輸入量が最も多かったのはドイツで1,008億㎥であった。これに次ぐのがイタリア(562億㎥)、中国(479億㎥)、メキシコ(457億㎥)、英国(428億㎥)、トルコ(376億㎥)である。ドイツの主たる輸入先はロシア及びノルウェーであり、イタリアはロシア、アルジェリア等から輸入している。英国はかつて天然ガスの輸出国であったが最近では純輸入国に転落しており、パイプラインのほかカタールからのLNG輸入にも踏み切っている。
(続く)
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