石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(77)

2023-11-13 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(14)

 

077 富の分け前を求めて湾岸産油国に殺到する出稼ぎ(2/4)

 カネがあるから建物、道路、橋、港湾などのインフラ整備は難しくない。ヨーロッパの建築コンサルタントに設計を依頼し、トルコやエジプトの業者に工事を発注、労働者はインド、パキスタンの安い労働力で賄う。学校や病院についても同じこと。必要な教材或いは医療機器を揃えることもカネ次第で何とでもなる。

 

 こうして「ハコもの」はカネで片が付く。問題はヒト。インフラを維持するのは人間であり、学校の教師或いは病院の医師などの人材も必要である。それまで満足な学校や病院のなかったサウジアラビアやクウェイトには教師や医師が殆どおらず、学校や病院を急増したイラクでも教師や医師の絶対数が足りない。

 

生徒或いは患者とのコミュニケーションが重要な教師や医師はアラビア語を話せることが必須である。アラビア語を話せる人材が必要なのは教師や医師のような分野ばかりではない。経済発展に伴い商業も活況を呈し始めたが、当時のサウジ人やクウェイト人は帳簿をつけたり簡単な釣り勘定すらできない。人材の供給源はエジプト人、パレスチナ人、レバノン人、ヨルダン人たちであった。人材を求める湾岸産油国と富の分け前を求める双方の需要と供給がマッチし、彼らは出稼ぎ人となってイラク、クウェイト、サウジアラビアの湾岸産油国に殺到した。

 

(続く)

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

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2023年7-9月期五大国際石油企業決算速報(3)

2023-11-13 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(安定しているが見劣りする収益力!)

  1. bp

プレスリリース:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/third-quarter-2023-results.html

(1)売上・利益・利益率

 bpの2023年7-9月期売上高は540億ドルであった。これに対して利益は49億ドルで利益率は9.1%であり、これは5社の中で最も低い。売上高は前期(4-6月期)比で9.2%の増収、前年同期(2022年7-9月期)比では▲6.6%減収であった。また利益は前期比173%の大幅増益となり、前年同期比ではマイナスからプラスに転じている。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは87億ドル、投資キャッシュフローは▲35億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲42億ドルであった。この結果、9月末のキャッシュフロー残高は299億ドルとなっている。

 bpの7-9月期設備投資は36億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 bpの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油101万B/D、天然ガス22億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は138万B/DでExxonMobil (369万B/D)の3分の1強にとどまっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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