石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

キャッシュフロー残高400億ドルを超えるシェル:2023年7-9月期五大国際石油企業決算速報(9完)

2023-11-22 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0590OilMajor2023-3rdQtr.pdf

 

(原油価格の変化に連動する売上高!)

5. 過去8四半期の売上高と原油価格

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 ここでは2021年10-12月期から今期(2023年7-9月期)までの2年間、8四半期の各社売上高と原油価格の推移を概観する。

 

2021年10-12月期売上高はShellが853億ドル、ExxonMobilは850億ドルで並んでいた。2社に次ぐのがTotalEnergies 603億ドル、bp 522億ドルであり、最も少ないChevronの売上高は459億ドルである。因みに同期間のBrent原油平均価格は79.76ドル/バレルであった。

 

 原油価格は続く2022年1-3月期以降3期連続で100ドルを超えている。しかし同年10-12月期以降は下落傾向に転じ、同期は89ドル、2023年1-3月期は81ドルに、前期は78.05ドルまで下落した。今期は4四半期ぶりに反転して86.75ドルに回復している。

 

各社の売上高は原油価格の変動にほぼ比例しており、ExxonMobilの売上高は、850億ドル(2021.10-12月期)→905億ドル(2022.1-3月期)→1,157億ドル(2022.4-6月期)→1,121億ドル(2022.7-9月期)→954億ドル(2022.10-12月期)→866億ドル(2023.1-3月期)→829億ドル(2023.4-6月期) →908億ドル(2023.7-9月期)と変化している。同社の四半期売上高の変化は上記原油価格の変化と極めて近似している。

 

 他社の売上高の推移は以下の通りであるが、ExxonMobilとほぼ同様の傾向を示している。

(単位:億ドル)

                      2021年             2022年                                              2023年

                      10-12月 1-3月   4-6月   7-9月   10-12月            1-3月   4-6月   7-9月

Shell                853→   842→  1,001→   957→  1,013→              870→   746→   764

bp                    522→   512→   695→   578→   704→              570→   495→   540

TotalEnergies      603→   686→   748→   690→   686→              626→   563→   590

Chevron            459→   523→   654→   635→   545→              488→   472→   519

 

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(81)

2023-11-22 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(18)

 

081 第四次中東戦争ー智将サダトの登場 (2/4)

 このような中でエジプトのサダト大統領はイスラエルに対する報復の機会を虎視眈々と狙いつつ体制固めを図り、まずソ連軍事顧問団の追い出しにかかった。ナセルの時代にエジプトに深く食い込んだソ連はアラブ諸国への社会主義革命の輸出を画策し、それは南イエメン独立という形で実現した。しかしソ連型社会主義イデオロギーはアラブ諸国に定着しなかった。アラブ世界では生まれて物心が付く前に、すでに部族或いは民族という生まれながらの「血」の絆と幼心に刷り込まれたイスラームという「心(信)」の絆にからめとられている。成長してから学習によって習得する「智(主義思想、イデオロギー)」が入り込む余地はほとんどない。社会主義イデオロギーを「輸入」するなどとはアラブ人たちには及びもつかないことだったようである。

 

 サダトがソ連の影を薄めようとしたのはもう一つの理由があった。米国製兵器でエジプト軍の装備を近代化することであった。ソ連製の兵器ではイスラエルに到底太刀打ちできない。サダトはソ連の軍事顧問団を追い出すことで米国への接近を図った。戦争に勝つことが最大の使命である軍人は非軍人以上に合理的な思考をするものである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

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