(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・アジアLNG市場、供給過多で価格下落。先週より20セント安の$5.70/mmBtu。
(中東関連ニュース)
・ドバイ1-9月の来訪客1,200万人。トップはインド、中国からも73万人。
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・アジアLNG市場、供給過多で価格下落。先週より20セント安の$5.70/mmBtu。
(中東関連ニュース)
・ドバイ1-9月の来訪客1,200万人。トップはインド、中国からも73万人。
11/20 国際石油開発帝石
幹部社員の人事異動について
https://www.inpex.co.jp/news/pdf/2019/20191120.pdf
11/21 石油連盟
月岡 石油連盟会長定例記者会見配布資料
https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2019/index.html#id1870
(注)本レポートは「マイライブラリー」一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0484WorldRank2.pdf
(世界ランクシリーズその2)
5.主要国の分野別競争力(レーダーチャート)
冒頭に触れた通り世界競争力指数は「制度機構」から「イノベーション力」まで12の分野について世界140カ国を順位づけたものであるが、ここでは(1)シンガポール、米国、日本のトップグループ3カ国、(2)UAE、中国、サウジアラビアの世界20~30位グループ、及び(3)トルコ、エジプト、イランの中東の三大国、の3つのグループについて分野別の世界順位をレーダーチャートで比較する。
(図http://rank.maeda1.jp/2-G02.pdf参照)
レーダーチャート図は最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界151位である。また最上段の総合順位以下時計周りの1から12の数字は各分野を示している。各分野の世界順位を結ぶ輪が各国の状況である。レーダーチャートの輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野で平均した競争力があることを示している。
(1) シンガポール、米国及び日本の比較
これら3カ国の総合順位はシンガポール1位、米国2位、日本6位である。シンガポールは12分野のうち(2)インフラ、(5)健康・医療、(8)労働市場の3分野で世界1位であり、その他(1)制度機構、(3)情報通信技術、(7)製品市場、(9)金融システム、(10)市場規模の各分野でも世界のベスト・ファイブに入っている。比較的世界ランクが低いのは(4)マクロ経済安定性の分野のみであり、ほぼ全ての分野で安定した高いランクである。
米国は12分野のうち7つの分野でベスト・テンに入っており、(10)市場規模、(11)ビジネスダイナミックス、(12)イノベーションの分野では総合世界1位のシンガポールを上回っている。同国の順位が低い分野は(5)健康・保健の世界55位であり、これは共に世界1位であるシンガポール及び日本と大きく異なっている。
総合6位の日本は(5)健康・保健分野が世界1位であるほか、(2)インフラ、(3)情報通信技術、(7)製品市場、(10)市場規模、(12)イノベーションの各分野が世界のベスト・テンにランク付けされている。一方、ランクが低いのは(4)マクロ経済安定性が世界42位である。
3か国に共通しているのは(10)市場規模の評価が世界2~4位と高く、それに対して(4)マクロ経済安定性が世界40位前後と比較的低く評価されていることである。
(2) 中国、UAE及びサウジアラビアの比較
3か国の中ではUAEの総合順位が25位と最も高く、次いで中国28位、サウジアラビアは36位である。3か国は(12)イノベーションの世界ランクが比較的近く(中国24位、UAE33位、サウジアラビア36位)、また(9)金融システムについても30位前後にランクされているが、その他の分野については格差が大きい。例えば(4)マクロ経済安定性ではUAE及びサウジアラビアが共に世界1位であるが、中国は39位にとどまっており、一方(10)市場規模では中国は世界1位であるが、サウジアラビアは17位、UAEは32位である。また(11)ビジネスダイナミックス分野はUAE(31位)、中国(36位)に対してサウジアラビアは大きく差を開けられ世界109位にとどまっている。
(3) トルコ、エジプト及びイランの比較
中東の大国と言われるトルコ、エジプト及びイランの競争力ランクはそれぞれ61位、93位、99位であり、トルコは総合順位及び分野別順位のすべてでエジプトあるいはイランを上回っている。これら3か国は人口が8千万ないし1億人であり、サウジアラビア、イラクなどの周辺国を大きくしのいでいる。(10)市場規模分野のランクがいずれも20位前後と世界的にも高いのは人口規模によるものであるが、その他の多くは世界50位以下であり、分野によっては世界100位以下のものも少なくない。
3か国で比較した場合、(4)マクロ経済安定性は3か国とも130位前後と世界最下位レベルである。(2)インフラ分野ではトルコ、エジプトが50位前後であるのに対しイランは80位である。(8)労働市場分野は3か国とも世界100位以下にランク付けされている。イランがエジプトを上回っているのは(3)情報通信技術、(5)健康・医療、(6)技能など分野が限られており、ほとんどの分野はトルコ-エジプト-イランの順である。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(注)本レポートは「マイライブラリー」一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0484WorldRank2.pdf
(世界ランクシリーズその2)
3.過去5回の順位の推移
(表http://rank.maeda1.jp/2-T02.pdf参照)
(図http://rank.maeda1.jp/2-G01.pdf参照)
第15回(2015年)から第19回(2019年)までの競争力ランクの推移を見ると、スイスが2015年から2017年まで3年連続して世界1位であり、2018年、2019年は上述のとおりそれぞれ米国およびシンガポールがトップである。ちなみに世界最下位は2015年がギニア、2016,17年はイエメン、そして昨年、今年はチャドである。
国ごとに見ると米国は3位(15年)→3位(16年)→2位(17年)→1位(18年)→2位(19年)と常にベスト3以内に入っている。日本の場合は6位(15年)→8位(16年)→9位(17年)→5位(18年)→6位(19年)で5年間を通じてベストテンに入っている。ドイツも日本と同様4位(15年)→5位(16年)→5位(17年)→3位(18年)→7位(19年)と5年連続でベスト10位にとどまっている。
韓国は5年前の2015年には世界26位であったが、昨年(15位)、今年〈13位〉と急速にランクを上げている。中国は5年間を通じて27~28位であり順位が全く変わっていない。中国と並ぶアジアの大国インドの世界競争力の推移をみると55位(15年)→39位(16年)→40位(17年)→58位(18年)→68位(19年)と2016年以降世界ランクが下落し続け、今年は過去5年間で最も低いランクになっている。ロシアも2015年の45位から2017年には38位までランクアップしたが、その後は43位に下落している。
中東諸国の中で競争力があるとされるUAE、イスラエル及びサウジアラビア3カ国の場合、2015年の世界ランクはUAE17位、サウジアラビア25位、イスラエル27位の順序であったが、その後イスラエルが順位を上げる一方、産油国のUAE及びサウジアラビアは競争力が低下しており、2019年の世界ランクはイスラエル20位、UAE25位、サウジアラビア36位となっている。
またトルコは2015年の51位から今回は61位にとどまっており、イランも5年前は世界140カ国中の74位であったが、今年は141カ国中の99位であり、世界の中位国から下位グループに転落している。トルコはEUとの政治・経済関係が悪化しており、またイランは米国と鋭く対立していることが競争力低下の原因と見られる。これに対してエジプトは5年前は116位であり、トルコ或いはイランに比べ競争力がかなり劣っていたが、5年間連続してランクが上昇し、今回は93位でイランをしのいでいる。エジプトは2011年のアラブの春でイスラム政権に交代したが稚拙な経済政策により財政が悪化、それに伴い競争力も落ちた。その後、軍事強権政権により経済再建が進んだことが国際競争力のアップにつながったようである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(英語版)
(アラビア語版)
1.対照的なフランスと英国の植民地支配
第一次世界大戦時のサイクス・ピコ秘密協定(プロローグ5参照)により、フランスはトルコ南部からシリア全域、さらにイラク北部及びレバノンを勢力圏に収め、英国はイラク南部、ヨルダン、サウジアラビア北辺及びクウェイトを勢力下においた。両国はそれぞれの地域に宗主国として君臨した。
しかし第二次世界大戦を境に各地で独立の機運が高まった。この時、フランスと英国が認めた各国の独立後の政治体制は対照的なものであった。レバノンとシリアはフランスが第二次大戦でドイツに占領され海外植民地まで手が回らなくなった間隙を縫って1941年に共和国として独立を宣言した。これに対して英国はフセイン・マクマホン書簡(プロローグ4参照)の約束に従いヨルダンとイラクを王国、しかも預言者ムハンマドにつながるハシミテ家の子孫を国王とする王制国家として独立させた。
フランスは共和制国家を樹立させ、英国は王制国家として独立させたことは興味深い事実である。一つの理由は両国自身の政治体制にあると考えられる。両国は共に議会制民主主義国家であるが、英国はその正式国家名「UNITED KINGDOM (連合王国、略称UK)」が示す通り王制(もちろん立憲君主制の)国家である。従ってヨルダンとイラクを王制国家として独立させることに抵抗はなかったと思われる。
これに対して1798年の革命でブルボン王朝を倒し共和制を樹立したフランスには共和制国家としての長い伝統がある。フランス共和国憲法第二条で「自由・平等・博愛」を国家の標語とし、それを象徴する三色旗(トリコロール)を高々と掲げる以上、シリア及びレバノンは共和制国家でなければならなかった。但しフランスは実質的な支配権は失いたくなかったため、シリアではシーア派少数部族のアラウィ派を権力の座につけた。植民地支配で少数派をバーチャルな(見かけの)支配者に起用するのは宗主国の常套手段である。フランスは外部の支援を必要とする少数派を陰で操り、多数派を弾圧あるいは分裂させることで自国に有利な権力構造を作り上げたのである。
「自由・平等・博愛」を標榜する表の顔と植民地を意のままに操ろうとする裏の顔はフランス外交の矛盾であり、その矛盾を突いたのがソ連である。第二次大戦後、唯一の社会主義国家としてソ連は世界中に階級闘争を展開し始めた。それは中東ではアラブ民族主義と並ぶもう一つの柱である社会主義運動として広まり、シリアの共和制はフランスの意図しない方向に走り出した。このような事態に対してフランスは自らの共和制という足かせに阻まれ強圧的な行動が取れない。フランスはすべてを混乱させたままで逃げ出すのである。後始末を引き受けるのは結局米国と言うことになる。ベトナム戦争でベトコン(ベトナム共産党)に敗れ後始末を米国に委ねたのと全く同じ構図である。戦乱の世でフランスが頼りにならないことは歴史の事実である。つまり中東では昔も今もフランスは問題解決の主役たりえないのである。
それに対して英国は大英帝国の長い植民地支配を通じて極めて老獪な知恵を生み出した。英国はイスラームの教祖ムハンマドの子孫でありながらマッカ太守の座をサウド家に追われたフサインの二人の息子を委任統治領のヨルダンとイラクそれぞれの国王に据えた。民主主義が広く普及した西欧社会では君主制はアナクロニズム(時代遅れ)に映るが、中東はまだまだ部族が幅をきかせる世界であり、何と言ってもイスラームが生活の中に根を張っている。西欧流の共和制あるいは議会制民主主義は時期尚早だった。英国は冷徹に中東の現実を見ていたのである。
1921年にマッカの太守フセインの二男アブダッラーを国王とするトランス・ヨルダン王国が成立、「アラビアのロレンス」で有名なT・E・ ロレンスが大英帝国の代表者として国王のアドバイザー(実際は支配者英国の回し者)となった。同国は1946年にヨルダン・ハシミテ王国として独立した。英国は貴族の子弟の帝王学養成所として名高いサンドハースト王立陸軍士官学校にヨルダン皇太子を留学させ、ハシミテ王家を英国に取り込んでいる。
ヨルダンの一般国民にとってハシミテ王家は英国が送り込んできた天下りの支配者である。しかし彼らにとって国王が預言者ムハンマドの子孫であることはかけがえのない「ありがたい」ことであったに違いない。首都アンマンのアラブ商人たちもハシミテ家を喜んで迎え入れた。第二次世界大戦開戦の1939年に生まれたカティーブはまだ7歳で王国独立の何たるかもわからなかったが、新国王を熱狂的に迎える父親の喜ぶ様子を鮮明に記憶している。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
ホームページ:OCIN INITIATIVE(http://ocininitiative.maeda1.jp/index.html)
(目次)
(注)本レポートは「マイライブラリー」一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0484WorldRank2.pdf
(世界ランクシリーズその2)
国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。
第2回のランキングは世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界競争力レポート(Global Competitiveness Report) 2019」により世界及び中東主要国の競争力について比較した。
* WEFホームページ:
https://www.weforum.org/reports/global-competitiveness-report-2019
1.「世界競争力レポート」について
「世界競争力レポート(Global Competitiveness Report)」は、毎冬スイスで開催される「ダボス会議」の主催者として世界に名を知られている「世界経済フォーラム」が2001年から毎年発表しているレポートであり今回で第19回目となる。第1回レポートの対象国は75カ国であったが、その後対象国は増え今回は141カ国となっている。
「世界競争力レポート」の総合的な競争力ランキングはコロンビア大学のザビエル・サラ=イ=マーティン教授が開発し2004年に導入された世界競争力指数(Global Competitiveness Index, GCI)が用いられている。GCIは競争力に関する12の分野をもとに設計されており、世界の国々のすべての発展段階における競争力の全体像を示している。
12分野とは、①制度機構(Institutions)、②インフラ(Infrastructure)、③情報通信技術(ICT adoption)、④マクロ経済安定性(Macroeconomic stability)、⑤健康(Health)、⑥技能(skills)、⑦製品市場(Product market)、⑧労働市場(Labour market)、⑨金融システム(Financial system)、⑩市場規模(Market size)、⑪ビジネス・ダイナミズム(Business dynamism)及び⑫イノベーション力(Innovation capability)である。
本稿では世界の上位5か国(含、米国)に日本、ドイツ、韓国、中国、ロシア、インドの先進及び開発途上国6か国に加え、中東の主要国であるトルコ、エジプト、イラン、サウジアラビア、イスラエル及びUAEの6か国を取り上げて比較する。比較する項目は総合及び12分野のランク並びに過去5回の総合ランクの推移である。
(競争力世界1位はシンガポール!)
2.世界と中東主要国の世界競争力ランク
(表http://rank.maeda1.jp/2-T01.pdf参照)
世界141か国の2019年競争力ランクの1位はシンガポールである。同国は昨年の世界2位から今回トップに躍り出た。昨年1位であった米国はシンガポールと入れ替わりに2位に後退している。これら2か国に続き世界3位から5位までを占めているのは香港、オランダ、スイスの各国であり、香港は昨年の7位から大幅にランクを上げている。
日本は昨年の5位から1ランク下がり6位であり、昨年3位であったドイツが今回日本に次ぐ7位にとどまっている。その他主要な国を列挙すると、韓国13位(昨年15位)、中国28位(昨年と変わらず)、ロシア43位(変わらず)、インド68位(同58位)であり、インドのランク下落が顕著である。
中東の主要国ではイスラエルが20位であり、UAEが25位にランクされている。これら2か国から少し遅れてサウジアラビアが世界36位にランク付けされている。同国は昨年39位であり若干アップしている。中東の三大国であるトルコ、エジプト及びイランの中で最もランクが高いのはトルコの世界61位である。エジプト及びイランはそれぞれ93位と99位で、世界141か国の中では下位グループである。3か国のうちトルコ及びエジプトの世界順位は昨年と変わらないが、イランは昨年の89位から大幅に下がっており、米国の経済制裁の影響が大きく出ている。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・クウェイト内閣改造、前首相が首長の続投要請を拒否。組閣行き詰まる。
・ワシントンでIS兵士帰還の国際協議、イラクでの拘留継続を求める仏が米と対立。
・レバノン、首相候補が辞退。大統領派と前首相派が鋭く対立、混乱収拾のめど立たず。
・S&P、レバノンのソブリン格付けをB-/Bからジャンク格のCCC/Cに格下げ。 *
・サウジ海軍と中国海軍がジェッダで合同軍事演習「Blue Sword 2019」実施。
・サウジアラムコ、新株価格公表。政府と国際金融業界の妥協で企業価値1.6-1.7兆ドルに落ち着く。
*「世界主要国のソブリン格付け(2019年7月)」参照。