石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(11/10-11/16)

2019-11-16 | 今週のエネルギー関連新聞発表

11/12 国際石油開発帝石 

アラブ首長国連邦アブダビ首長国における マーバン原油取引市場への当社参画について(お知らせ)  

https://www.inpex.co.jp/news/pdf/2019/20191112.pdf

 

11/12 三井物産 

中国の次世代エタノール製造業への出資参画ならびにSAF製造事業の推進 

https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2019/1230077_11237.html

 

11/12 三井物産/丸紅他 

ブラジル沖合プレソルト層ブジオス鉱区向け 大水深対応FPSO傭船事業を三井海洋開発、三井物産、商船三井及び丸紅の4社で推進 

https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2019/1230082_11203.html

 

11/13 石油連盟 

石油増税反対 総決起大会について 

https://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2019/11/13-001869.html

 

11/13 Total 

Abu Dhabi: ADNOC and Total Innovate in the Field of Seismic Acquisition with the Use of Unmanned Drones and Vehicle  

https://www.total.com/en/media/news/press-releases/abu-dhabi-adnoc-and-total-innovate-field-seismic-acquisition-use-unmanned-drones-and-vehicle

 

11/13 Total 

Brazil: Total Announces First Oil from Iara  

https://www.total.com/en/media/news/press-releases/brazil-total-announces-first-oil-iara

 

11/14 出光興産 

2020年3月期  第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 

https://www.idss.co.jp/content/100029059.pdf

 

11/14 出光興産 

中期経営計画 (2020~2022年度) 

https://www.idss.co.jp/content/100029051.pdf

 

11/14 出光興産 

機構変更に関するお知らせ  

https://www.idss.co.jp/content/100029057.pdf

 

11/14 出光興産 

人事異動に関するお知らせ 

https://www.idss.co.jp/content/100029058.pdf

 

11/14 出光興産 

当社マレーシア事業所内に第2SPS製造装置の建設を決定 -自動車の電動化や、コネクテッド社会進展に向けた 高速通信化ニーズに合致したエンジニアリングプラスチックの展開拡大- 

https://www.idss.co.jp/news/2019/191114_10.html

 

11/14 Shell 

Shell and partners add pre-salt production in Brazil 

https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2019/shell-and-partners-add-pre-salt-production-in-brazil.html

 

11/15 経済産業省 

松本経済産業副大臣がアラブ首長国連邦に出張しました 

https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191115003/20191115003.html

 

11/15 経済産業省 

平成30年度(2018年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報) 

https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191115005/20191115005.html

 

11/15 JX石油開発 

ベトナム・フンドン油田の権益期間延長について 

www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/2019/post_60.html

 

11/15 国際石油開発帝石 

オーストラリア イクシスLNGプロジェクト 累計100隻目のLNGカーゴの出荷について(お知らせ)  

https://www.inpex.co.jp/news/pdf/2019/20191115.pdf

 

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生産量は増えても売上・利益は減少:五大国際石油企業2019年7-9月期決算速報(6完)

2019-11-14 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf

 

2.2018年第3四半期以降の四半期別業績の推移(続き)

(6)原油・天然ガス生産量の推移

(6-1)原油生産量(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-68.pdf 参照)

 過去1年間の四半期ごとの原油生産量の推移を見るとExxonMobilが他社を大きく引き離して5期連続でトップを守っている。ExxonMobilの生産量は5社の中でただ1社200万B/D台を維持しており、今年第3四半期の生産量は239万B/Dであった。ExxonMobilに次ぐ二番手グループはShellとChevronであり、両社の生産量は180万B/D台でほとんど同じである。Totalは2018年第3四半期161万B/Dであったが、その後漸増し、現在は172万B/Dに達している。BPの1年前の生産量は5社の中で最も少ない122万B/DでトップExxonMobilの5割であった。その後一時的に130万B/D前後まで伸びたが、今期は再び1年前の水準に逆戻りしている。

 

(6-2)天然ガス生産量(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-69.pdf 参照)

 天然ガスの生産量はExxonMobilとShellの上位グループ2社とBP、Total、Chevronの下位グループ3社の2極に分かれている。Shellの過去1年間の生産量は104億立方フィート(’18 3rd Qtr)→110億立方フィート(’18 4th Qtr)→110億立方フィート(’19 1st Qtr)→101億立方フィート(’19 2nd Qtr) →98億立方フィート(’19 3rd Qtr)である。2018年第4四半期ピークに達した後、今期は100億立方フィートを下回り過去1年間では最も少ない生産量である。ExxonMobilもShellとほぼ同様の軌跡をたどっており、両社の差は10億立方フィート前後で推移している。他の3社は5期を通じてわずかながらも増産傾向にあるが、その差は殆ど無く、70億立方フィート台を維持している。

 

(6-3)原油・天然ガス合計生産量(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-65.pdf 参照)

 天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量の推移を見ると各社とも2018年第3四半期から第4四半期にかけて増産傾向が見られ、その後現在まで停滞している。生産量が最も多いExxonMobilは石油換算で379万B/D(’18 3rd Qtr)→401万B/D(’18 4th Qtr)→398万B/D(’19 1st Qtr)→391万B/D(’19 2nd Qtr) →390万B/D(’19 3rd Qtr)であり、これに次ぐShellの場合はExxonMobilよりも20~30万B/D前後少ない360万B/D(’18 3rd Qtr)→379万B/D(’18 4th Qtr)→375万B/D(’19 1st Qtr) →358万B/D(’19 2nd Qtr) →356万B/D(’19 3rd Qtr)で推移している。

 

Chevronの生産量は昨年第4四半期に300万B/Dの大台を超えて現在に至っており、Totalも280万B/D(’18 3rd Qtr)→288万B/D(’18 4th Qtr)→295万B/D(’19 1st Qtr)→296万B/D(’19 2nd Qtr) →304万B/D(’19 3rd Qtr)と着実に生産を増やして300万B/Dを突破Chevronを上回る生産量を達成している。最も少ないBPの生産レベルは250~260万B/DでExxonMobil或はShellのほぼ7割である。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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石油と中東のニュース(11月14日)

2019-11-14 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・原油価格安定的に推移。Brent $62, WTI $56。OPEC:世界景気後退の兆しなく、来年の米原油生産も予測下回る

・アブダビ、来年初にマーバン原油先物取引(IFAD)開始を計画。BP, Total, JXTGも参加を表明

・カタール、中国万華石油化学と10年間、年80万トンのLPG供給契約締結

(中東関連ニュース)

・トルコ大統領、訪米、トランプ大統領と会談

・エジプト大統領、UAE訪問

・イスラエル、ガザ地区空爆。2日間でパレスチナ23人死亡

・11/24-12/6日カタール開催のサッカー湾岸カップにサウジ、UAE、バハレーンも参加

 

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生産量は増えても売上・利益は減少:五大国際石油企業2019年7-9月期決算速報(5)

2019-11-13 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf

 

 

2.2018年第3四半期以降の四半期別業績の推移(続き)

(上流に弱く下流に強いShell!)

(4)部門別利益の推移

(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)

 前年の2018年第3四半期において上流部門の利益が最も多かったのはExxonMobilの42億ドルであり、BPの40億ドル、Chevronの34億ドルがこれに続いている。Totalの利益額は29億ドルで5社の中で上流部門の利益が最も少なかったのはShellの22億ドルであった。

 

続く第4四半期は各社とも利益が減少する中でBPは前期横ばいの39億ドルの利益を計上して5社のトップになった。Shellの利益は16億ドルに減少、前期に続き5社中の最下位であった。今年第1四半期も各社とも利益水準が低下、第2四半期の利益水準はわずかながら改善したものの、今期は再び悪化、上位3社(ExxonMobil、BP、Chevron)の落ち込みが激しく、ExxonMobil及びBPは1年前に比較すると利益が半減しており、各社とも過去1年で最低の水準である。

 

 5四半期を通じて各社の上流部門の利益を比較すると、Shellが5社の中で最も利益水準が低く、同社の上流部門は他の4社に比べて見劣りがする。上流部門ではExxonMobil、BP、Chevronの3社がトップ争いを演じながら上位グループを形成し、Shell及びTotalが下位グループとなる状況が続いているが、今期は上位と下位グループの差が縮小している。

 

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)

 下流部門は2018年第3四半期及び第4四半期まで全社が利益を計上していた。昨年第3四半期はBPが21億ドルの利益を計上、Shell、ExxonMobil及びChevron3社の利益は10億ドル台であり、Totalは9億ドルにとどまっている。続く第4四半期はShell及びExxonMobilの利益が急騰BP、Chevron及びTotalは低迷した。しかし今年第1四半期にはExxonMobilの利益が急減、ExxonMobilは5社の中で唯一3億ドルの欠損となった。今年第2四半期はShell及びBPが引き続き利益が減少、ExxonMobil及びChevronが増益となり各社の明暗が分かれた。今期は5社いずれもが前期よりも利益が改善しているが、特にShellはV字回復となり他社を大きく上回る26億ドルの利益を出している。

 

 

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)

 5社の過去1年間の四半期ベース設備投資額はExxonMobil及びChevronが毎期ほぼ安定した投資を行っている。ExxonMobilの投資額は66億ドル(’18 3rd Qtr)→78億ドル(4th Qtr)→69億ドル(’19 1st Qtr) →81億ドル(2nd Qtr) →77億ドル(3rd Qtr)であり、全期を通じて常に5社で最大の投資を続けている。

 

同社に次ぐ投資を行っているのはShellであり、その金額は58億ドル(’18 3rd Qtr)→71億ドル(’18 4th Qtr)→51億ドル(’19 1st Qtr) →52億ドル(2nd Qtr) →60億ドル(3rd Qtr)と推移している。Chevronの場合は毎期50億ドル前後でほぼ安定している。Total(62億ドル)は昨年第3四半期の設備投資がExxonMobilに次いで多かったが、その後急減し5社中で最も少なかった。しかし今期は67億ドルで再びExxonMobilに次いで5社中2位となっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(14)

2019-11-13 | その他

ホームページ:OCININITIATIVE 

 

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 第1章:民族主義と社会主義のうねり

 

荒葉 一也

E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

 

8.英雄ナセル:東西両陣営を手玉に取るアラブの星

アラブ世界で誰しもが認める英雄と言えば12世紀にイラクのティクリートで生まれたサラディン(サラーフ・アッ=ディーン)であろう。彼はエジプトを征服してアイユーブ朝を創設、また英国王リチャード1世による第3回十字軍と戦った勇士である。この時十字軍側が捕虜を皆殺しにしたのに対してサラディンは捕虜を殺さなかった。このことから彼は敵味方を問わずに愛され、英雄として歴史に名を残している。

 

サラディンから800年後の20世紀のエジプトに現れたナセル(ガマール・アブドゥル=ナセル)もアラブの英雄と讃えられている。サラディンが中世ヨーロッパのキリスト教十字軍と戦った英雄であったのに対し、ナセルはイギリスの保護国であったエジプトの王制をクーデタで打倒(1952年)、さらに西欧帝国主義国家の英仏を相手にスエズ運河の国有化を勝ち取っている(1956年)。

 

1918年にエジプト地中海沿岸の都市アレクサンドリアに生まれたナセルは陸軍士官学校卒業後スーダンに赴任、1948年のイスラエル独立宣言を契機に始まった第一次中東戦争では少佐として従軍した。この戦争でアラブが致命的な敗北を喫すると(ナクバ・大災厄)、彼は反英愛国の将校組織「自由将校団」を結成、1952年にクーデタでファルーク国王を追放した。エジプトは専制君主制から共和制に移行したのである。

 

この時まだ34歳であったナセルは大統領兼首相の座をナギブ将軍に譲ったが、1954年には権力闘争の末に自ら大統領に就任した。実権を掌握したナセルはその後汎アラブ主義を掲げエジプトをアラブの盟主の地位に押し上げる。汎アラブ主義は社会主義とアラブ民族主義が合体したものであり、その起源はシリアで生まれたバース党にある。汎アラブ主義はその性格上、英仏の植民地帝国主義あるいは米国資本主義と敵対する反面、ソ連社会主義に対しては親近感がある。

 

権力を握り理想に燃えるナセルがまず目指したのがスエズ運河の国有化であった。スエズ運河は19世紀半ばにフランス人のレセップスの手で開通したが、当初から経営への介入を狙っていた英国は放漫財政に苦しむエジプトから運河の株式44%を取得している。その資金源はこれまで同様ユダヤ人のロスチャイルドであった。こうして第二次大戦後までスエズ運河の管理権は英国とフランスが握っていた。

 

これに対してナセルはソ連のフルシチョフ書記長を味方に引き入れアスワン・ハイダムを建設、さらにスエズ運河の国有化を宣言したのである。英仏はこれに猛烈に反発、イスラエルを巻き込み第二次中東戦争が勃発した。戦闘そのものは軍備に勝る英仏イスラエル合同軍が主導権を握りイスラエルはシナイ半島を占領、スエズ運河は閉鎖された。アカバ湾突端の町エイラートは第一次中東戦争に続いて二度目の戦闘に巻き込まれ、戦争が終わってみれば周囲はユダヤ人ばかりでエジプト人たちは姿を消してしまった。エイラート郊外に住むパレスチナ人小作農のザハラ家は難民となり、8歳になった息子を連れて国境を接するヨルダンの港町アカバに逃れた。

 

第二次中東戦争は開戦の端緒となったスエズ運河の名前を受けて別名「スエズ戦争」とも呼ばれているが、米国を含めた国際世論は英仏及びイスラエルに終始批判的であった。この結果、ナセルは戦闘に負けたものの外交で勝利し、これによりアラブ世界で一躍ナセルの名声が上がった。彼は東西いずれの陣営にも属さない第三世界の指導者の一人に祭り上げられるのである。当時の第三世界の指導者にはナセルのほか、インドのネール首相、中国の周恩来首相、ユーゴスラビアのチトー大統領、インドネシアのスカルノ大統領などがおり、このうちナセル、ネール、周恩来、スカルノはアジア・アフリカの各国首脳に呼びかけ、1955年にインドネシアのバンドンで第1回アジア・アフリカ会議(バンドン会議)を開催する。この頃がナセルの絶頂期であった。

 

(続く)

 

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石油と中東のニュース(11月12日)

2019-11-12 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・イラン、埋蔵量530憶バレルの巨大油田発見:大統領が明かす。 *

*「BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ石油篇」参照。

(中東関連ニュース)

・トルコ、収監中のIS戦闘員本国送還手続き開始。米国人1名は送還済み、英独仏人は問題含み

・オマーン国王、サウジ国防副大臣と会談

・ヨルダン、イスラエルからリース土地取り戻す。国王が視察

・サウジアラムコ、幹部・社員の報奨用に10億ドルの株買戻し。IPO目前に異例の対応

・サウジ、73人のプレミアム居住ビザ発行。一時金80万リアルで永久ビザ取得可

・サウジ首都のライブ舞台に刃物の男が乱入、4人刺される。SNSに生々しい投稿

・ドバイ:ブルジュ・ハリーファ経営の大手不動産Emaar、7-9月期の利益3.62憶ドルに

 

 

 

 

 

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生産量は増えても売上・利益は減少:五大国際石油企業2019年7-9月期決算速報(4)

2019-11-12 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf

 

 

2.2018年第3四半期以降の四半期別業績の推移

五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2018年7-9月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

 

(1) 売上高の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 2018年第3四半期から2019年第3四半期に至る四半期ベースの売上高の推移は、この間の原油価格の変動と密接に関連している。ブレント原油の価格は2018年第3四半期の平均で1バレル75.16ドルであった。しかし第4四半期は68.81ドルに急落、今年第1四半期も63.13ドルに下落、下落幅は2期連続して8%以上を記録した。第2四半期は68.86ドルに回復したが、第3四半期には再び62.00ドルに下落、過去1年間で最低の水準に落ち込んでいる。

 

 ExxonMobil、BP及びChevronの売上高は上記の価格変動をそのまま反映しており、Shellは昨年第4四半期は油価の下落にもかかわらずわずかながら増収となったが、しかしそれ以降は油価の動きと軌を一にしている。Totalだけは過去1年間を通じて油価の変動に関係なく連続して売上が減少している。

 

各社の四半期ごとの推移を見ると売上高が最も多いShellは1,002億ドル(’18 3rd Qtr)→1,022億ドル(4th Qtr)→857億ドル(’19 1st Qtr)→918億ドル(2nd Qtr)→895億ドル(3rd Qtr)であり他の四社を大きく引き離してトップを維持している。ExxonMobilとBPは全期を通じて殆ど差が無く、BPは795億ドル(’18 3rd Qtr)→757億ドル(4th Qtr)→663億ドル(’19 1st Qtr)→727億ドル(2nd Qtr) →683億ドル(3rd Qtr)、またExxonMobilは766億ドル(’18 3rd Qtr)→719億ドル(4th Qtr)→636億ドル(’19 1st Qtr)→691億ドル(2nd Qtr) →650億ドル(3rd Qtr)であった。売上高4位のTotalは547億ドル(’18 3rd Qtr)→525億ドル(4th Qtr)→512億ドル(’19 1st Qtr)→512億ドル(2nd Qtr) →486億ドル(3rd Qtr)と毎期減少しており、今期は昨年同期に比し1割の減収であった。売上高が最も少ないChevronは440億ドル(’18 3rd Qtr)→424億ドル(4th Qtr)→352億ドル(’19 1st Qtr)→389億ドル(2nd Qtr)→361億ドル(3rd Qtr)であり、昨年は400億ドル台を維持したものの、今年は300億ドル台に転落している。

 

(2)利益の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 過去1年間の四半期ごとの利益水準は各社によって異なりChevron以外の各社は期毎に利益の振れ幅が大きい。

 

5社の中ではShellは58億ドル(’18 3rd Qtr)→56億ドル(4th Qtr)→60億ドル(’19 1st Qtr)と昨年年初から今年初めまでコンスタントに60億ドル前後の利益を計上している。前期は利益が30億ドルに半減、今期はV字回復を遂げて59億ドルであった。同社は前期以外は60億ドル弱の利益を確保しており、5社の中では安定した高い利益水準を維持している。ExxonMobilの昨年第3四半期及び第4四半期は62億ドル、60億ドルと5社で最も高い利益を誇っていたが、今年第1四半期は一転して24億ドルに急減、その後前期、今期と30億ドル強の利益にとどまっている。

 

BPとTotalは今年の第1四半期までは同じような利益変動の曲線を描いていたが、Totalが今年に入り3期連続で30億ドル前後の安定した利益を計上しているのに対し、BPは今年第1四半期以降利益が急激に低下し、今期はついに7億ドルの欠損になっている。Chevronは40億ドル(’18 3rd Qtr)→37億ドル(4th Qtr)→26億ドル(’19 1st Qtr)→43億ドル(2nd Qtr) →26億ドル(3rd Qtr)と5社の中では比較的安定している。

 

(3)売上高利益率の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)

 1年前の昨年第3四半期の五社の利益率はChevronが9.2%と最も高く、次いでExxonMobil 8.1%、Total 7.2%、Shell 5.8%と続き、BPは最も低い4.2%にとどまっている。Chevronの利益率はその後も8.8%(4th Qtr)→7.5%(’19 1st Qtr) →11.1%(2nd Qtr) →7.1%(3rd Qtr)と高い水準を維持して常に5社のトップである。

 

 一方5社の中で利益率が最も低いのはBPであり、昨年第3四半期以降も4.2%(’18 3rd Qtr)→1.0%(4th Qtr)→4.4%(’19 1st Qtr) →2.5%(2nd Qtr)にとどまり、今期は5社中で唯一マイナス1.1%を記録している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

 

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生産量は増えても売上・利益は減少:五大国際石油企業2019年7-9月期決算速報(3)

2019-11-11 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf

 

1. 五社の1-3月期業績比較 (続き)

(4)売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)

売上高利益率はChevronが7.1%と最も高く、Shell 6.6%、Total 5.8%、ExxonMobil 4.9%と続いており、BPのみ利益率がマイナス(▲1.1%)である。前年同期に比べると、Shellを除く4社の利益率は低下している。

 

(5)設備投資

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)

2019年7-9月期の設備投資額が最も多いのはExxonMobilの77億ドル、これに次いでTotal 67億ドル、Shell 60億ドルが並んでいる。Chevron及びBPの設備投資額はそれぞれ50億ドル及び40億ドルであり、BPはExxonMobilの1/2である。前年同期と比較するとExxonMobilが17%、BP及びTotalは8%増である。Shellは微増であるが、5社の中で唯一Chevronは前年同期を下回っている。

 

(5)原油・ガス生産量
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-22.pdf 参照)

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf参照)
 今年7-9月の原油生産量はExxonMobilが平均日産量239万バレル(以下B/D)で5社の中では最も多い。その他の4社はいずれも200万B/D未満でShell (187万B/D)、Chevron(183万B/D)、Total172万B/Dである。BPの原油生産量は5社の中で最も少なく122万B/DでExxonMobilの5割にとどまっている。ExxonMobilは世界各地で万遍なく原油生産をおこなっており他社を圧倒している。前年同期と比較すると5社はいずれも増加している。

 

 天然ガスの生産量はShellが最も多く日産98億立方フィート(以下cfd)である。第2位のExxonMobilは90億cfd、残る3社は70億cfd台であり、BP78億cfd、Total 74億cfd、Chevron 72億cfdであった。前年同期に比べるとTotalが13%増加しているが、その他の各社の増加率は10%未満であり、Shellは▲5.3%と前年同期を下回っている。

 

 天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量ではExxonMobilは390万B/Dでこれに次ぐのがShellの356万B/Dである。その他の3社はTotalが304万B/D、Chevron 296万B/D、BP257万B/Dである。石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油61%、天然ガス39%であり5社の中では石油の比率が最も高い。その他の各社の石油と天然ガスの比率はChevronが石油60%:天然ガス40%、Totalは石油57%:天然ガス43%である。BPは石油48%、天然ガス52%であり、5社の中では唯一天然ガスの比率が石油を上回っている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                              Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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石油と中東のニュース(11月10日)

2019-11-10 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

(中東関連ニュース)

・イスラエル:ネタニヤフ首相、極右政党党首を防衛相に任命。ガンツ「青と白」党首の組閣期限まで2週間を割る

・エジプト:10月のインフレ2.4%、10年ぶりの低水準に

・サウジアラムコ、国内個人投資家に公開株0.5%を割り当て

 

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生産量は増えても売上・利益は減少:五大国際石油企業2019年7-9月期決算速報(2)

2019-11-09 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf

 

1. 五社の1-3月期業績比較(続き)

(2)総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)

総合損益ではBPを除く4社が利益を計上しており、BP1社だけが赤字決算である。利益額が5社の中で最も大きいのはShellの59億ドルであり、これに次ぐのがExxonMobilの32憶ドル、さらにTotal、Chevronが各々28億ドル及び26億ドルで続いている。BPは5社の中で唯一7億ドルの欠損を計上している。前年同期と比べるとShellは横ばいであるが、その他の4社は大幅な減益である。Totalは前年同期比3割減、Chevronは4割減であり、ExxonMobilの利益は半減している。前年同期には33億ドルの利益を計上していたBPは一転して7億ドルの赤字決算であった。

 

(3)上流部門と下流部門の利益

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56.pdf及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-57.pdf参照)

利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)に分けて比較すると、上流部門では5社の利益に大きな差はなく、トップはChevronの27億ドルであり、ExxonMobil及びBPが22億ドル及び21億ドル、Total及びShellは共に17億ドルであった。各社とも大幅な減益であり、ExxonMobil及びBPは半減、Totalは4割減でありShell及びChevronも2割強の減益であった。

 

下流部門の利益はShellがトップの26億ドルである。同社の場合は下流部門が上流部門の利益を上回っているが、その他の4社はいずれも上流部門の利益の方が多い。Shellに次いで上流部門の利益が高いのはBP(19億ドル)であり、ExxonMobilは12億ドル、Total及びChevronは10億ドルを下回っている。前年同期と比較すると各社によって明暗が分かれ、Shellは51%増と好調でTotalが横ばいであった一方、BPは1割減、ExxonMobilとChevronは▲25%及び▲40%と大幅に落ち込んでいる。

 

なお上記(2)総合損益は各社によって石油化学品部門あるいはその他の損益を含むため上・下流部門の利益の合計額とは一致しないケースがある。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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