ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

スマートウェイ2007

2007年10月16日 | ITS
スマートウェイ2007に行ってきた。結構気合のはいった催しだった。
内容について何回かに分けて報告しよう。

まず、慶応大学の川嶋教授から「セカンドステージを迎えたITS,道路交通社会の課題解決へ」と題した基調演説があった。

前半はわが国のITSの歴史というべき内容で、特に1973年から通産省主導で行われた大型プロジェクトCACSによる初期のナビゲーションなど、非常に興味深いものがあった。

その後、VICSの普及、ETCの普及という一定の成功を収めたのがわが国のITSであることは、私にも異論はない。VICSはサステイナブルなビジネスモデルだと思うし、ETCは、まあ成功して当たり前ともいえるが、普及した。

そして、これからが第2ステージで、それがスマートウェイだという。
ここからは異論がある。

まず、ご存知参宮橋実験
導入した平成17年3月以降、事故がドラスティックに減っている、ということでまったく疑いようのないスマートウェイの成功例として紹介されている。

しかし、以前に紹介したとおり平成17年3月に導入して3ヶ月試験した後、17年9月20日までサービスは停止されている。つまり、平成17年6月から9月は、このサービスが行われていないのだ。それはここにはっきりと書いてある。

そして、不思議なことにその平成17年6月から9月の間においても、それ以前・それ以降とまったく同じ傾向で事故は減少している。

これについては、この過去エントリーを参照ください。

次。

ITSの当初予測を上回ったものはカーナビ、ETCで下回ったものはテレマ、DSRCだ、という三菱総研の調査を引用している。そして、これに変わる新たな市場の広がりとして、「利用者の嗜好に応じたカーナビへの広告配信サービス」をあげている。

本気だろうか。最近の調査で、ケータイへの広告配信を迷惑だと思うユーザーは92%に上がっている。
しかし、ケータイはまだ良い。メール受信に気をとられて電車を乗り過ごしたり転んだりするかもしれないが、死傷事故にはならないだろう。

しかし、本気でクルマの表示機にそんなコマーシャル情報を流そうとしているのだろうか?ITSは安全を目指すのではないのか?

どうやらこの教授は本気なのだ。
プレゼンの最後で、これは私の思いだ、としながら
「美しい日本の秋(稲穂の田んぼ)」が「ロードサイドの消費者金融の看板によって汚されている」ので、「こうした広告は禁止し、車載器に表示する」べきだといっている。

景観が大切だとは思うが、まさか安全に優先するとは思わなかった。